未将崎雄・画/零野甲児・作(Cのみ、水無月あゆ・名義)
「獣の列島@ 狂獣都市編」(1991年5月1日初版発行)
「獣の列島A 追撃池袋編」(1991年6月1日初版発行)
「獣の列島B 極黒の浜名湖編」(1992年5月1日初版・7月25日7版発行)
「獣の列島C 滅びゆく列島編」(1992年10月1日初版発行)


・単行本@「狂獣都市編」
「第1話 地獄都市・東京!!」
 1990年9月。
 東京の地下から無数の「ワーム」が現れる。
 自衛隊は壊滅し、東京は崩壊。
 ワームは男は殺して、食料にし、女は次々と犯していく。
 犯された女性の胎内では、ワームの幼生が育ち、腹を突き破って産まれてくる。
 それにより、ワームは人間の知能を得ていくのであった。
 廃墟と化した東京で、ワームに立ち向かう男が一人がいた。
 彼の名は池田浩二。その正体とは…?
「第2話 亜夜美…」
 ワームと死闘を繰り広げる池田浩二。
 どうやら彼は人間がワームに産ませた子供らしい。
 彼は人間離れした怪力でワームを引き裂いて行く。
 また、その背中からはワームが生えていた。
 彼の姿を、廃ビルの陰から、一人の娘が眺める。
 彼女の名は宮坂亜夜美といい、東久留米市にある宮坂病院院長の娘であった。
 宮坂病院ではワームの研究をしており、宮坂院長は池田浩二と関わりがあるようなのだが…。
「第3話 血にもがく少女」
 突如、宮坂病院はワームの襲撃を受ける。
 亜夜美の妹、亜季はワームに犯され、宮坂院長は自分の身を犠牲にして亜季を助ける。
 彼は今わの際に、亜季を守るよう亜夜美に頼み、池田浩二への手紙を託す…。
「第4話 邂逅」
 亜夜美と亜季は、ワームに占領された病院から脱出を図る。
 二人はジープのある北口に向かうが、出口を目前にして亜夜美がワームに捕まってしまい…。
「第5話 池田浩二出生の秘密」
 再び池田浩二が亜夜美の前に現れる。
 彼は二人を逃がし、ワームだらけの病院へと入っていく。
 亜夜美は、亜季だけを行かせ、自分は池田浩二の後を追う。
 池田浩二と宮坂院長の関係とは…?
「第6話 RZ−T−02」
 砲撃された病院から脱出した浩二と亜夜美。
 亜夜美は彼が「人」だと感じ、彼と行動を共にする決意をする。
 そして、彼から、彼自身のこと、ワームのことを聞かされる。
 それは米軍の生物兵器開発に関わる話であった…。
「第7話 移り行く戦場」
 浩二の前に、人面のワーム、「グレート」が現れる。
 このワームは昨夜、病院を襲ったワームのリーダーであった。
 ワームは浩二に、「T−03」(ワーム達の親玉)に従い、新しい時代を生きるよう命令する。
 それに対する答えは…?

・単行本A「追撃池袋編」
「第1話 慟哭の池袋!!」
 グレートの戦いの後、浩二と亜夜美は池袋の避難所に身を寄せる。
 そこにはわずかな生き残りが脱出路を探して、立てこもっていた。
 浩二の命を狙い、双頭の「Wワーム」が避難所を襲撃する。
 浩二はWワームに立ち向かうが、そこに新たな見方が二人現れる。
 藤ヶ丘猛と上社剛、彼らはワームに対抗するため、身体にワームの細胞を移植していた…。
「第2話 美貌」
 Wワームは浩二達に「α波」を発するが、何故か、姿を消す。
 浩二はワームの行動にα波に副作用があるのでは?と考える。
 その後、浩二は、UMAディレクターと言われた追矢純二(おいおい…)と出会う。
 彼は、米軍の生体改造実験の秘密に迫り、事件の黒幕である「T−03」の生存を唯一予見していた日本人であった…。
「第3話 猛と鈴」
 亜夜美は、猛の恋人、山本鈴の部屋を訪れる。
 部屋で、鈴は、猛との出会いについて話す。
 ワームに犯され、気絶した彼女をここまで運んできたのが彼であった。
 そして、堕胎した彼女に、彼がワーム細胞の移植手術を受けた時のことを淡々と話す。
 彼が移植人間になった理由とは…?
「第4話 季節風」
 茨城県の原子力発電所に向かうワーム達。
 ここが破壊されれば、東京は十時間で放射能に覆われ、日本列島は分断されてしまう。
 池袋からでは脱出の手段はなく、皆は窮地に陥る。
 その時、追矢純二は浩二に「SR装置」の秘密を話す。
 それは「RZ−T−02」(池田浩二)を司令塔とし、ワームを自由に操る装置であった。
 だが、それには恐ろしい代償が…。
「第5話 対決!!Wワーム」
 避難所に現れたWワーム。
 それの発するα波は、人間細胞とワーム細胞の分離を促し、猛はひどいダメージを受ける。
 更に、鈴と陶子が別のワームによって地中へとさらわれてしまう。
 浩二はWワームと対峙するが、その弱点とは…?」
「第6話 第4の獣化!その正体!?」
 ワームにさらわれた鈴と陶子は、地下の核シェルターで実験体にされる身となる。
 追矢純二は、この緊急時に、浩二達を失うリスクは取れないと、鈴達のことをあきらめるよう訴える。
 しかし、猛達は…。
 一方、囚われの鈴の身体には異変が起きようとしていた…。
「第7話 決戦間近!潜入地下要塞」
 浩二、猛、剛の三人は、グレートのいる池袋駅に侵入する。
 浩二はグレートのもとへ、猛と剛は鈴達との合流を目指す。
 だが、それにはグレートのある計画があった…。

・単行本B「極黒の浜名湖編」
「第1話 死闘!!地下要塞」
 池袋要塞のグレート vs 浩二、猛、剛、鈴の四人。
 浩二達は数においてグレートを圧倒するが、グレートには秘策があった。
 グレートの真の能力はα波で、ワーム細胞を操ること。
 猛達は身体の自由がきかなくなり…。
「第2話 蹂躙」
 浩二達の帰りをただ待ち続ける亜夜美と追矢。
 彼らが待つ避難所を一匹のワームを襲い、建物は崩壊する。
 そのワームは成長体であった。
 そして、それは、ワームを統率する「T−03」が日本に上陸したことを意味していた…。
「第3話 炎の旅路へ」
 浩二達の目的地は茨城県の浜名湖。
 そこの弁天島は、自衛隊の精鋭部隊が集められ、要塞となっていた。
 城南大学水産試験場では、SR装置の開発が進められる。
 チームのリーダーは池田宏という人物なのだが…。
「第4話 父!!その許されざる男」
 追矢、浩二の一行は浜名要塞に到着する。
 追矢の持つ「α波安定装置」の設計書があれば、SR装置は完成。
 そして、α波を出せる脳を持つ池田浩二に装着すれば、人類は勝利する。
 だが、その代償は重く、亜夜美は嘆かずにいられない。
 そんな彼女に浩二は自分の覚悟を語る…。
「第5話 絆を赤く染めて」
 浩二は、父である池田宏に24年の時を経て対面する。
 浩二は父に「あんたにとって遺伝子工学とはなんだったんだ?」と問う。
 池田宏は、米軍基地での生体実験、そして、それを行った理由を包み隠さず話す。
 自分の失敗の数々を嘆く父に、浩二は…」
「第6話 暗雲渦巻く刻」
 ワーム襲来の警報。
 それを聴いて、浩二は、自分達の行動が「T−03」に筒抜けだと確信する。
 また、「T−03」には何か大きな目的があるのではないか?との推測も…。
 一方、亜夜美は、悲しみから逃れるため、基地の建物から歩み出て、夜の町をさまよう。
 そこは安全なはずだったが、地下の高圧電流を突破したワームが彼女を襲う…。
「第7話 鼓動高鳴る瞬間」
 ワームを倒した彼女の前に、もう一匹、ワームが現れる。
 そのワームは、Wワームの片方の首が復活したものであった。(単行本Aの第5話参照)
 Wワームに対して自爆攻撃をしかけた自衛隊員を目にして、亜夜美は戦う決意をする…。
「第8話 核兵器元素115番」
 その場に現れた浩二はWワームを叩きのめす。
 捨て台詞を残し、Wワームの首は逃げようとするが、亜夜美は一人でとどめを刺そうとする。
 それは、浩二がいなくても、生きていけると証明するためであった…。

・単行本C「滅びゆく列島編」
「最終話」
 SR装置の設計に三日。
 その間、自衛隊は試験場を死守することとなる。
 そのために、まず「D作戦」を敢行。
 「D作戦」とはWAC(女性部隊)を囮にしてワームをおびき出し、核爆弾でワームを殲滅させるというものであった。
 しかし、多勢に無勢、自衛隊はじりじりと追い詰められる。
 前線で血みどろの戦いが行われる中、研究所ではSR装置が完成し、後は浩二に脳手術を行うのみになる。 
 だが、研究所の近くにワームが出現し…。
 人類はワームとの戦いに勝てるのであろうか…?
 そして、広島で、浩二は「T−03」の片腕、「ブルー」と対決する…」
「エピローグ 新たなる時代へ」
 浩二は「T−03」の行動の意味を理解する。
 和解の後 全てが終るのだが、希望は失われない…。

 「獣(じゅう)の列島」は「終末もの」の隠れた力作です。
 最初はワームが人を殺したり、女性を犯したりするエログロ描写が多めですが、やがて、主人公の池田浩二(かなり「バイオレンス・ジャック」が入っている模様)をはじめとするワームとのハーフ人間達のバトル漫画…っぽくなったかと思いきや、人類の存亡を賭けた、自衛隊とワームとの激戦がメインとなり、カストロフィ―が訪れます。
 かなりスケールの大きなストーリーで、中途半端だったり、わかりづらいところはあるものの、テーマに全力を挙げて取り組んだ姿勢には頭が下がります。
 当時の作品らしく、公害が大袈裟に扱われておりますが、温暖化で大騒動の今、読むと、ちっとも「大袈裟」ではないなあ…。

2021年11月15〜18日 ページ作成・執筆

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