玉越博幸・漫画/守靖ヒロヤ・原作
「キボウノシマ@」(2016年1月21日初版発行)
「キボウノシマA」(2016年7月21日初版発行)
「キボウノシマB」(2017年3月3日初版発行)


単行本@
・「第一夜 希望の島」(「月刊キスカ」2015年8月号)
 六人の青年(タカアキ、マモル、トモカズ、ケンイチ、ユウキ、ダイスケ)がフェリーで「キボウノシマ」を訪れる。
 この島では島の娘と乱交できるという噂があり、彼らの目的は脱・童貞であった。
 港ではきれいな娘が彼らを出迎えてくれるが、その中で着物の娘はタカアキに関心があるらしい。
 彼女の名前は「きい」で、島の娘たちの中では最も立場が弱かった。
 娘達の案内で彼らは旅館に案内される。
 そこの一室で待っているうちに、あちこちの部屋から嬌声が漏れてくる。
 ユウキは乱交をビデオに収めようと部屋を出ていくのだが…。
・「第二夜 撲殺の島」(「月刊キスカ」2015年9月号)
 ユウキは戻って来ず、タカアキとケンイチは彼を捜しに出る。
 夜道で彼らはユウキのビデオカメラを見つけるが、それには島の娘とセックスした男が死に、島の娘が異形のものに変化する映像が残されていた。
 タカアキはその映像に映っていた宿に行き、生き残りの男性と出会う。
 その頃、残りの三人がいる部屋には島の娘がやって来て、三人を誘惑する…。
・「第三夜 断絶の島」(「月刊キスカ」2015年10月号)
 彼らを助けてくれたのは、島の娘、きいであった。
 彼女によると、先程の娘達は「縁障女(えんしょうじょ)」で、それは男の精を搾り取り、肉を喰らう魔性のモノであった。
 彼らはきいも妖怪ではないかと疑うが、彼女以外に頼れるものもない。
 きいの案内で、彼らはフェリー乗り場へ急ぐのだが…。
・「第四夜 因縁の島」(「月刊キスカ」2015年11月号)
 退路を断たれ、とりあえず、彼らはきいの秘密の洞窟に身を隠す。
 きいは入り口で見張りをするが、ダイスケが彼女を犯そうとする。
 タカアキはきいを助けるも、彼女は走り去ってしまう。
 彼女の後を追うと、海岸の岩場で音楽を聴いていた。
 タカアキは彼女とイヤホンを分け合って音楽を聴くが、そのプレイヤーは海で行方不明になった兄のものであった…。
・「第五夜 虜囚の島」(「月刊キスカ」2015年12月号)
 きいは飛緑魔(ひのえんま/緑障女よりも強力)の攻撃により瀕死の重傷を負う。
 彼女を助けるには、飛緑魔と共に玉藻御殿に行くほかない。
 御殿の人間厩舎にはユウキが捕らえられていた。
 この場所には童貞を集められており、彼らは精を搾り取られ、最後には緑障女にセックスされて死んでしまう。
 タカアキもここに拘束されそうになるが…。
・「絶夢の島」(ショート・ストーリー/文章)
 きいが幼い頃の思い出話(第零夜に続く)
・「第零夜 キボウノシマ」(「月刊キスカ」2015年5月号)
 きいが海に行くと、浜辺で漂着した青年を発見する。
 彼の名はヒロアキで、ボートから転落して、ここに流れ着いたのであった。
 きいは彼を秘密の場所に案内し、彼から東京の話を聞き、また、彼から最近の音楽を聴かされる。
 きいはヒロアキに彼の住む場所に連れて行ってくれるよう頼むのだが…。

単行本A
・「第六夜 破壊の島」(「月刊キスカ」2016年1月号)
 人間厩舎に突如、現れた晴明と明明の姉妹。
 彼女たちは「葛の葉」という種族で、緑障女を木っ端みじんにしていく。
 タカアキとユウキはこの姉妹についていくが、彼らの前に飛緑魔が現れる。
 その圧倒的なパワーを前に、彼らは一時退却するが、ユウキが緑障女たちに捕まってしまい…。
・「第七夜 復仇のの島」(「月刊キスカ」2016年2月号)
 ユウキを助けるため、タカアキは玉藻御殿を目指す。
 晴明に港の近くの海岸まで案内してもらい、別れ際に彼は飛緑魔の骨で作られた弓矢をもらう。
 飛緑魔を倒せるのは、同じ強度を持つ飛緑魔の骨だけであった。
 彼は港に行き、仲間が隠れている場所に行くが、そこは血まみれで誰もいない。
 呆然自失のまま、彼が玉藻御殿に向かうと、御殿前の橋で飛緑魔が現れる。
 彼はどうせ死ぬのなら、童貞を捨てたいと言うのだが…。
・「第八夜 覚醒の島」(「月刊キスカ」2016年3月号)
 瀕死の重傷を負ったきいであったが、母親の九重により復活する。
 九重はきいに人間に入れ込むのをやめるよう諭すも、人間世界への憧れは抑えようがない。
 だが、九重は飛緑魔の血がそれを拒むと冷たく言い放つ。
 一方、タカアキ、晴明、明明の三人はユウキ達ときいを助けるため、玉藻御殿に殴り込みをかけようとしていた。
 御殿を混乱させるためにタカアキが思いついたこととは…?
・「第九夜 邂逅の島」(「月刊キスカ」2016年4月号)
 話は20時間前に遡る。
 マモル、トモカズ、ケンイチ、ダイスケの四人はきいの隠れ場でタカアキの帰りを待っていた。
 その場所を緑障女に見つかるが、その背後にまた謎の娘が現れる。
 娘は「鍛冶が嬶」という種族で、巨大な狼に乗り、動物の骨の仮面をつけていた。(も※※け姫じゃん…)
 彼女は緑障女を一刀両断し、マモル達を洞窟から連行していく。
 このままでは殺されると考え、途中、ダイスケは滝にとび込む。
 川底の岩で顔半分に傷を負うも、これで逃げられたと考えたのだが…。
 そして、今、タカアキはダイスケとユウキと再会する。
 彼らは玉藻御殿から脱出しようとするが…。
・「第十夜 邂逅の島」(「月刊キスカ」2016年5月号)
 きいを連れ、タカアキ達は玉藻御殿を脱出する。
 晴明はとりあえず、自分達の里に皆で向かうことを提案。
 そこに晴明・明明の姉妹の母、浮雲が現れ…。
・「第十一夜 邂逅の島」(「月刊キスカ」2016年6月号)
 マモル・トモカズ・ケンイチの三人は「鍛冶が嬶」の女に廃墟の動物園の中にある檻に閉じ込められていた。
 この島では童貞は稀少価値があったが、鍛冶が嬶にとっては狼の餌でしかない。
 夜、女が巨大なハサミを持って、マモルたちに迫ってくる…。
 一方、タカアキたちは神社の前で野宿をしていた。
 ダイスケが一人起きていると、きいが彼を誘惑してくる。
 彼女は彼の前で全裸になるのだが、彼女の目的とは…?

単行本B
・「第十ニ夜 媾合の島」(「月刊キスカ」2016年7月号)
 三週間後、ダイスケは廃ホテルにいた。
 そこでは島の生き残りの男達が暮らし、中でもリーダー格の池田は彼の面倒をよく見てくれる。
 一方、鍛冶が嬶に囚われたマモルたちはケンイチが重傷を負い、パニックになっていた。
 そこに鍛冶が嬶の娘が現れる。
 彼女はマモルに用があるようなのだが…。
・「第十三夜 追蹤の島」(「月刊キスカ」2016年8月号)
 ダイスケは毎夜、仲間を捜しに外出する。
 ダイスケは池田に「緑障女避け」を渡された後、ある旅館に向かう。
 そこには晴明が隠れていた。
 そして、奥の部屋には明明が…。
 一方、廃墟の動物園ではケンイチが瀕死の状態にあった。
 すると、鍛冶が嬶とマモルが緑障女を連れてやって来る。
 鍛冶が嬶は緑障女を刀でぶつ切りにすると、その血を…。
・「第十四夜 謀叛の島」(「月刊キスカ」2016年9月号)
 三週間前(「第十一夜 邂逅の島」の続き)。
 正体を現したユウキに続き、本物のきいがその場に現れる。
 だが、彼女は九重に操られていた。(何回読んでも、よくわからないので、多分そういうことだと思う。)
 タカアキはそれでも彼女を説得しようとするが…。
 その時、母親の死により限界を超えた明明がキツネへと変身し、きいに襲いかかる…。
・「第十五夜 回想の島」(「月刊キスカ」2016年10月号)
 その頃、タカアキは洞窟できいの世話をしながら暮らしていた。
 きいはあの日以来、ずっと意識不明で、彼は自分の「童貞の力」を使えば目覚めるのではないかと迷う。
 ある日、洞窟に侵入者があるが、それは鍛冶が嬶から解放されたケンイチとトモカズであった。
 再会した彼らが話し合っていると、きいが目覚める。
 しかし、彼女の記憶は…。
 一方、ダイスケは「緑障女避け」を壊してしまったことで、ホテルの男達に責められていた。
 代わりを捕まえるよう言われ、彼は再び晴明のもとを訪ねるのだが…。
・「第十六夜 外道の島」(「月刊キスカ」2016年11月号)
 タカアキ、きい、ケンイチ、トモカズは埠頭へと急ぐ。
 途中、彼らはホテルの中を探り、男達に捕らえられる。
 男達はタカアキ達をダイスケの友達と知り、打って変わって歓待するが、それにはある目的が…。
・「第十七夜 精命の島」(「月刊キスカ」2016年12月号)
 きいを守り、タカアキは被弾。
 きいは、彼を救うために玉藻御殿へと向かう…。
 一方、ダイスケは晴明に幾つかの疑いを抱く。
 このままでは殺されるところであったが、明明を救うために彼の精が必要で…。
・「第十八夜 修羅の島」(「月刊キスカ」2017年1月号)
 玉藻御殿には緑障女の死体で溢れていた。
 と言うのも、晴明・明明・ダイスケが先に乗り込んで、殺しまくっていたからであった。
 そこに九重が現れる。
 九重はきいと瓜二つであった。
 九重は九尾狐で、昔、人間に敗れ、身体を三つに引き裂かれたというのだが…。
 そして、今、九重は真の九尾狐の復活を目論む…。
・「第十九夜 不滅の島」(「月刊キスカ」2017年2月号)
 きいが九重の相手をしている間、残りの皆はフェリー乗り場へと走る。
 フェリーを目前にした時、彼らの前に力尽きたきいが投げ出され、九重が現れる。
 九重は全ての元凶であるタカアキをきいの目の前で犯そうとするのだが…。
 彼らは無事にこの島から脱出できるのであろうか…?
・「終わりの島」(ショート・ストーリー/文章)
 マモルが鍛冶が嬶に「アイズ・ワイド・シャット」という映画の話をする内容。

 ぶっちゃけ、奇作です。
 と言っても、誉め言葉ではなく、「ストーリーが迷走しまくった挙句、ワケがわからなくなった作品」という意味で使ってます。
 ろくな説明がないまま、いろいろなキャラクターが出て来て、勝手にストーリーが展開していくので、粗筋をまとめるのに(あまりまとまってないけど…)非常に骨が折れました。
 何回読み返しても、意味不明なところも幾つかあり、いまだにこの作品を理解できたのか心もとないです。(特に、晴明の正体には全く納得がいかない。)
 しかも、ラストは、大どんでん返しを狙ったのでしょうが、如何にも取ってつけたようで、ますます混乱に拍車をかける結果になっております。
 そういうわけで一般的には失敗作扱いされるでしょうが、セックスすると死んでしまう緑障女の描写があまりに強烈で、単行本@はなかなか楽しめます。
 また、作画が「BOYS BE」で有名な玉越博幸先生である点もポイント高いです。
 相変わらず「童貞スピリット」が健在なところが嬉しくありました。

2023年10月27・31日/11月1・2・4・6・8日 ページ作成・執筆

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