井出知香恵
「こと座のレガシー PART.1」(1990年12月1日初版発行)
「こと座のレガシー PART.2」(1992年1月1日初版発行)

・「こと座のレガシー PART.1」
「DREAM1 星の子誕生」
 女性芸能記者、伊麻西恵里子は、演歌歌手の宮野冬実のブラジル公演に同行する。
 ある町で、地元新聞の記者、オルナ洋子、宮野冬実の付き人、戸田幸代の四人で食事をしていた時、オルナ洋子が幻覚性のあるカヴァ茶の話を出す。
 四人は山間のバラックのような店で、そのお茶を飲むと、恐ろしく甘美な夢を見る。
 その夢の中で、彼女達は「こと座の男」に抱かれ、エクスタシーの連続を味わう。
 だが、男の顔は見えず、男は、SEXテクニックを手掛かりに、自分を捜してほしいと訴える。(こと座の男には、女に自分の命を分け与えた時から、その女のことを忘れてしまうメカニズムがあるとのこと。)
 一か月後、恵里子は自分の妊娠を知る。
 それはカヴァ茶を飲んだ他の三人も同様で、しかも、オルナ洋子は、子宮を抉り取られて殺害されていた。
 恵里子も謎の男達に襲われるが、お腹の赤ん坊の超能力で守られ、離婚したばかりの医師、堀越誠二と知り合う。
 彼の伊豆の別荘に匿われた恵里子は、戸田幸代が子宮を抉られて殺され、宮野冬実が失踪していることを知る。
 また、別荘には、恵里子の妹、優子を預かっているという電話が入る。
 恵里子の命をつけ狙う「エイリアン・バスターズ」とは…?
「DREAM2 愛追う旅立ち」
 五年後、恵里子は、星日人(ほしびと)という息子に恵まれ、二人で父親と、行方不明になった堀越誠二を捜す旅をしていた。
 彼女は、映画「花婿はエイリアン」の監督、スティーブンス・ヒルズに興味を持ち、ホテルの部屋で彼を誘惑。
 そこに、主演女優のバーバラ・アンジソンがやって来て、恵里子は退散する。
 だが、エイリアン・バスターズに後をつけられていた。
 バスターズをまいた後、恵里子は再びスティーブンス・ヒルズの部屋に戻り、彼から事情を聞き出す。
 彼がこの映画を作った理由とは…?
「DREAM3 逢うための別れ」
 恵里子は、行方不明の堀越誠二についての話を伺うため、元・妻の富岡可奈子の別荘に向かう。
 途中(と言っても、何故か、全裸で滝行をしているのだが…)、彼女は、可南子の元・愛人で画家の狩谷悦史と出会う。
 その日は、可南子の別荘に泊まることになるが、星日人は、狩谷悦史がこと座と何らかの関わりがあると話す。
 夜空の下、恵里子は悦史から、彼が「こと座の女」を抱き、その女を捜し続けるという話を聞く。
 その女は、こと座の最後の女だったという。
 悦史の境遇が自分と共通することを知るが、その時、星日人に危機が迫ってた…。
(「Cute」1989年5〜9月号掲載)

・「こと座のレガシー PART.2」
「プロローグ」
「DREAM1 コピーされた恋人」
 ある日、恵里子は、堀越誠二と再会する。
 しかし、恵里子が彼に話しかけると、彼は急に倒れてしまう。
 彼は記憶を失っていた。
 誠二には、しのぶという恋人がおり、五年もの間、彼の面倒を見て、更に、彼女のお腹には赤ちゃんがいた。
 しのぶは彼の記憶を回復させないよう頼むが、恵里子は、彼の幸せのため、記憶を取り戻させるべきと主張する。
 恵里子が彼に話しかけると、彼は五年前のことを少しずつ思い出す。
 彼はエイリアン・バスターズに捕まり、恵里子のことを全て喋らされ、いつの間にか、熱海の崖の上にいたと言う。
 雨の降る日、誠二、恵里子と星日人は、その崖を訪れる。
 彼は「やるべきこと」を思い出せそうと話すのだが…。
「DREAM2 招かざる旅人」
 恵里子と星日人は、アマチュアカメラマンの高城紀貴に会うため、N県を訪れる。
 彼はUFOの写真を写しただけでなく、星日人は、彼が何かを知っていると感じる。
 あるきっかけで恵里子は彼に出会い、抱かれようとする。
 だが、恵里子が、UFOを見た夜の出来事を尋ねると、彼は顔色を変える。
 また、彼には、長い間、彼を支えてきた恋人がいたが、その夜以来、彼は彼女に対して冷淡になっていた。
 二人の間に何が起こったのであろうか…?
「DREAM3 白き幻影」
 恵里子達は、天文学とUFOの世界的権威、滝沢博士のもとに向かう途中、吹雪で遭難する。
 凍死寸前なところを、滝沢博士の娘、美於(みお)が二人に気付き、助けてくれる。
 美於は一年前、母親が若い男と失踪したことがショックで、口がきけなくなっていた。
 また、滝沢博士も職を捨て、山奥の屋敷に閉じこもる。
 恵里子の目的は、滝沢博士の学説について話を伺うことであった。
 だが、恵里子が「こと座の男」とその子供について話すと、博士は顔色を変え、星日人に殺意を露わにする。
 その夜、屋敷に泊まった恵里子達のもとに美於がやって来る。
 美於は星日人に「たすけて」とテレパシーで語りかけ、恵里子達を地下室へと案内する。
 そこで恵里子達が目にしたものとは…?
「DREAM4 絆は刺客とともに」
 恵里子は、半年も前に、唯一の肉親である妹夫婦が行方不明になったことを知る。
 恵里子と星日人をつけ狙うエイリアン・バスターズの仕業に違いない。
 しかし、星日人は、恵里子が妹を捜そうとするのを止めようとする。
 彼は怖くてたまらないと言い、書置きを残して、恵里子のもとを去る。
 一方、恵里子は、新聞広告に妹の優子からのメッセージがあるのに気づき、恵里子は彼女と連絡を取る。
 妹夫婦はエイリアン・バスターズに誘拐され、夫は殺害されるが、ロデリックという男性に助けられたという。
 ロデリックは、エイリアン・バスターズと敵対する組織の一員で、その組織は宇宙人と平和的共存を望んでいた。
 恵里子はロデリックと会い、妹のもとに連れて行ってもらう。
 妹の優子は妊娠しており、その父親はエイリアン・バスターズのリーダーであった。
 優子は星日人にお腹の子をスキャンしてもらうつもりであったが、赤ん坊のESP能力は星日人を凌駕していて、今の星日人では勝ち目がない。
 また、恵里子はロデリックに抱かれ、彼を「こと座の男」ではないかと考えるのだが…。
(「Cute」1989年11月〜1990年3月号掲載)

 今日は七夕。(梅雨で、曇天模様だけど…)
 おりひめ星のベガは、こと座で最も明るい恒星とのことなので、井出知香恵先生の「この座のレガシー」をご紹介。
 一応、SFで、レディース・コミック版「呪われた村」(ジョン・ウィンダム)かなあ…。
 ぱっと見はロマンティック、かつ、感動系なオーラが出ているけど、男の立場から見たら「侵略SF」の一種だと考えてます。
 と言うのも、この作品に出てくる「こと座の男」というエイリアンは、自分の星が滅ぼされたので、地球人に化けて潜入し、恋人や夫がいようといまいとお構いなく女性を犯すという大変不埒な奴らなのです。
 しかも、セックスの後、相手のことをさっぱり忘れてしまうという「ダメんず」ぷり。(そういう「メカニズム」だと言われても…。)
 こいつらのせいで、多くの家庭や恋人達が不幸になり、更に、妊娠させられた女性は、極わずかな例外を除いて、皆、殺されております。
 地球人にとっては、本当、はた迷惑な奴らですよ!!
 エイリアン・バスターズに皆殺しにされるべきだな。

 単行本では二巻までですが、電子書籍では三巻完結です。

2021年7月1・4・7日 ページ作成・執筆

成人向け・リストに戻る

メインページに戻る