楳図かずお「黒いねこ面」(1967年4月15日初版・1983年10月30日58版発行)

 収録作品

・「黒いねこ面」(1966年「週刊少女フレンド」30〜45号掲載)
「安政四年。
 竹庵は、柴田家に仕える御殿医であったが、薬の処方を誤ったために、殿に斬殺される。
 その妻と娘も牢屋に監禁され、妻は獄死。
 竹庵の飼い猫の黒猫は復讐のため、殿の母親を殺して、彼女に化ける。
 だが、見破られてしまい、黒猫は射殺、竹庵の娘は城壁に生きたまま、塗りこめられる。
 そして、時は移り、現代。
 ある夜、柴田家の子孫が営む医院で、彼の妻が出産する。
 産まれた女児は、猫そっくりであった。
 柴田医師は、大森たまみという赤ん坊と自分の赤ん坊と取り換える。
 時は流れ、えみ子と名付けられた赤ん坊は、可憐な少女に成長する。
 だが、柴田医師は、猫の赤ん坊のその後を考えると、気が気でない。
 ある日、柴田医院に大森夫妻がたまみを連れて訪れる。
 夫妻はたまみを手術で普通の人間にしてくれと柴田医師に頼み、たまみを残して去る。
 たまみは柴田医師にえり子と同じ顔にするよう迫るが、柴田医師は手術中にたまみを殺そうと目論む。
 しかし、たまみを傷つけても、苦痛を与えることはできず、何故か、えみ子がたまみの代わりに苦しみ悶える。
 遂に、柴田医師は気が触れてしまい、たまみに言われるまま、手術を続行。
 手術は成功し、たまみの両親がたまみを迎えに来たのと同じ頃に、えみ子も昏睡状態から回復する。
 えみ子が登校すると、彼女にそっくりな少女、大森たまみがクラスに転入してくる。
 えみ子とたまみはすぐに仲良くなり、えみ子はたまみの家に遊びに行く。
 たまみの部屋には、手術の際に剥がされた猫面と両手の皮が飾られていた。
 えみ子はその猫面と手の皮に襲われ、たまみにより地下室に監禁される。
 クロの転生である、たまみはえみ子になり代わり、柴田家への復讐を開始する…」

・「赤い服の少女」
「ドリーム劇団の予科生として、練習に励む、春山そよぐ。
 彼女には、香川美保というライバルがおり、二人のライバル意識は日々募っていった。
 そよぐは、努力だけでは限界があるように思い、他よりも目立つ必要性を感じる。
 そんな時、彼女は、ある店のショーウィンドウに飾られた、赤い服に心奪われる。
 この服だという直感を受けた、彼女は急いで家に帰り、必要な金をかき集めて、店へと向かう。
 だが、一足遅く、香川美保が赤い服を購入していた。
 そよぐの直感通り、赤い服を身に付けた美保は、すぐに映画プロデューサーの目に留まる。
 とんとん拍子に、彼女はスター街道を歩み出す美保であったが…」
 劇団の練習風景に、楳図かずお先生の俳優としての経験が活かされているのでしょうか?
 そう思うと、演技の勉強に励む少女達の溌剌とした描写も納得です。

2018年6月6日 ページ作成・執筆
2018年12月12日 加筆訂正

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