浜慎二「血まみれの幼女」(1988年11月20日初版発行)
「牧村啓子は、弘明女子学園の一年生。
バスケットボール部に入るものの、日々のしごきに、友人達とぶつくさ文句たれる毎日。
ある雨の日、帰宅途中の啓子の前に、黒い服を着た、気味の悪い女性が現れる。
傘に入れて欲しいと、女性は傘に入って来て、家まで付いてくる。
だが、家のあるべきところには、何故か、鬱蒼とした森があり、そこには見知らぬ神社があった。
啓子が不安に駆られて、その場から立ち去ろうとすると、いつの間にか車道にいて、車に轢かれそうになる。
そこは家からかなり離れた、「神社前」というバス停であった。
啓子は母親にあったことを説明していると、それを聞いていた姉の智子(注1)は顔色を変える。
数日前の夜中、智子はその「神社前」というバス停で、幼い女の子を轢き逃げしていたのだった。
このことがあってから、学校からの帰り道、啓子は何度も黒い服の女に会うこととなる。
また、姉の智子も、怪奇現象に悩まされ、どんどん憔悴していく。
轢き逃げされた女の子の祟りなのであろうか…?」
「闇に光る幼女の目」(ヒバリ・ヒット・コミックス)のセルフ・リメイクであります。
短編から長編に内容を膨らませているのですが、もととなった作品に出てくる「わざと轢かれて、助けようとした人物には幸運をもたらしてくれる幽霊」のことを知らないと、ストーリーがわかりにくいかもしれません。
まあ、これも、よく言えば「幻想的」、悪く言えば「分裂的」でありまして、個人的には、味わい深く思っております。
あと、ラストに近づくにつれ、絵が若干荒れていると思えるところがちらほらあります。
考えてみますと、貸本時代から、この単行本の時までの、浜慎二先生のキャリアは約30年…。
単行本を一冊描き下ろすのは、かなり骨が折れたのではないでしょうか?
残念ながら、この単行本が、浜慎二先生の最後の怪奇マンガの単行本となってしまいました。(私の確認する限りですが。)
・注1
浜慎二先生の勘違いか、一部、姉の名前が「千恵」となっている部分があります。
2016年6月12・14日 ページ作成・執筆