広永マキ「呪いの花言葉 バラの柩」(1990年1月20日初版発行)

「九条美香と優香は異母姉妹であったが、性格は真反対。
 美しいが、激しい気性の姉とは対照に、妹の優香は、容姿はそれほどでもないものの、内気で心優しい少女であった。
 二人の仲は決してよくはなく、それには複雑な事情があった。
 美香の母親、沙也子は、二階のバルコニーから落ちそうになっていたところを、友人で、後の優香の母親、ふさ子に見殺しにされ、転落死していたのである。  その後、ふさ子は再婚するが、沙也子の亡霊に怯えて、庭のバラの花壇に身を投げる。
 その事実を知った美香は、長ずるにつれ、沙也子に似てきて、母親の復讐をするかのように、優香につらく当たるようになる。
 だが、二人が高校生の時、父親が過労のため、急死。
 それを機に、父親が引き取っていた、親戚の青年、真一が留学先のカナダから帰ってくる。
 真一は、小さい頃から優香に優しく接し、彼女を好きだと言ってくれた、唯一の男性であった。
 美香は、優香から真一を奪おうと目論み、彼に接近する。
 焦った優香は、美香宛のラブレターを使って、真一の心を姉から引き離そうと考える。
 そんな時、真一が急にカナダへ帰国。
 美香は優香を問い詰めようとするが、勢い余って、焼却炉に転落、顔に醜い火傷痕が残ってしまう。
 家に閉じこもる姉を、優香は甲斐甲斐しく世話するのだが…」

 シス・コン(姉に対するコンプレックス)を繰り返し作品で取り上げている、広永マキ先生。
 それをテーマにした作品の中では、個人的には、最高の作品だと思います。
 ドロドロした姉妹の確執をネチネチネチネチ描いており、先生自身も姉とよほどのことがあったのだろうかと勘繰らずにはいられません。

2018年9月28日 ページ作成・執筆

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