日野日出志「死霊の数え唄」(1988年8月20日初版発行)

「豊かな自然に囲まれた、全寮制の私立高校、花輪学園。
 新聞部に所属する白井亜紀のクラスに、黒沼ゆりという女子生徒が転入してくる。
 彼女は非常に美人であったが、亜紀は彼女を一目見て恐怖を覚える。
 初対面のはずなのに、彼女とはどこかで会ったような感覚にとらわれ、振り払うことができない。
 夜、亜紀がトイレに立つと、廊下で黒沼ゆりと出会う。
 ゆりの目を見ているうちに、亜紀は気が遠くなり、ふと気が付くと、鳥居の立つ沼の畔にいた。
 鳥居の下には白装束の黒沼ゆりがおり、彼女は黒百合を手折り、沼に投げ込む。
 すると、彼女の数え唄に合わせて、沼から死霊の群れが姿を現わす。
 また、黒沼ゆりも同じく死霊の姿となっていた。
 亜紀は眩暈に襲われ、ふと気づくと、自室のベッドの中であった。
 翌日、同じ新聞部の男子生徒、星野が亜紀にある写真を見せる。
 彼が黒沼ゆりを隠し撮りした写真には、彼女が全て透けて写っているのであった。
 亜紀は星野に昨日の夢の話をして、黒沼ゆりに秘密があると訴える。
 実際、黒沼ゆりが入部した生物部は皆、様子がおかしくなり、気持ちの悪い生物ばかり育てるようになっていた。
 その夜、亜紀が忘れ物を取りに教室に行くと、生物部の部員達が、不快な動物を手に廊下をぞろぞろ歩いている場面に遭遇する。
 訝る亜紀の背後にいつの間にか黒沼ゆりが潜んでおり、彼女の目を見た亜紀は再びトリップする。
 亜紀が目を覚ますと、そこは昨日夢で見たはずの沼の畔であった。
 鳥居は燃やされ、生物部の部員達がナイフで殺した蛇や鼠等を沼に投げ入れると、またもや死霊が沼から現れる。
 そして、黒沼ゆりは亜紀の命をもらうと言い放つのであった。
 次の日、星野は、亜紀と黒沼ゆりが学校を休んでいることを知る。
 どこかおかしいと思い、彼女達の部屋を調べると、部屋はもぬけの殻。
 亜紀の危機を悟り、星野は、日本心霊研究所の高柳のもとを訪れる。
 そこには、亜紀の父である、花輪学園の学長の姿もあった。
 黒沼ゆりの正体とは…?
 そして、亜紀と黒沼ゆりの、戦国時代にまで遡る因縁とは…?」

2017年7月13日 ページ作成・執筆

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