古賀新一「呪われた吸血少女@」(1986年5月25日初版発行)
「大空美佳は平凡な中学一年生。
婦人雑誌の編集者の母と娘だけの母子家庭で、些細なことで言い争う毎日。
美佳は団地に住んでいたが、その団地でおかしなことが起こり始める。
夜になるとどこからか現れる、コウモリの群れ。
団地の赤ん坊達は皆、夜泣きが激しくなり、若い娘の失踪が相次ぐ。
美佳の母親も、ある夜、美佳のクラスメートの京子と共に姿をくらましてしまう。
一人ぼっちになった美佳は、隣の奥さんの部屋に厄介になる。
そこには赤ん坊がいたが、その首筋には歯型のような傷があった。
ある夜、美佳は、何者かが赤ん坊の首から血を吸うところを目撃する。
吸血鬼の存在を確信した美佳は、母親の日記を調べると、夜更けに出現する献血車の記述があった。
その献血車を探し歩き、美佳はようやくその献血車と発見する。
すぐに追い出されたものの、車の隅に大きな棺桶が置かれていた。
その頃、美佳の町で、家出した少女達が共同生活を送る洋館のことがニュースになる。
美佳は母親に会うために晩方、そこを訪れるのだが…」
秋田書店の「ホラーコミックス」での古賀新一先生の描き下ろし単行本は、基本、「テキト〜」(良く言うと「分裂的」)なものばかりですが、この作品ではまだ力(リキ)入っており、気概を感じさせます。
また、この作品は新たな「吸血鬼」を提示したことでも注目に値します。
ネタばれになりますが、この作品で吸血鬼にされるのは女性ばかりで、吸血鬼になると、乳房が人面になって、その人面が犠牲者から血を吸うのです。(注1)
ちなみに、何故そういうまどろっこしいことをするのか、一切説明はありません。
古賀新一先生は蛙やトカゲに乳を吸わせるマンガを幾つか物しておりますので、その延長線上にあるということなのでしょう。
久留見幸守先生の「怨霊生首供養」(貸本/一晃社)のように「読者サービス」をガンガンかましてくれたら、傑作になったかもしれない…のか?
・注1
そう言えば、細野不二彦先生・原作/マッドハウス・制作のアクション・ホラー・アニメ「バイオ・ハンター」(1995年)がありました。
激しい「エロ・グロ・バイオレンス」描写で(そのスジでは)有名な作品ですが、この作品の冒頭(もろ濡れ場)、おっぱいが男の片手を喰いちぎるシーンがあります。
YouTubeでも観れますので、興味のある方はどうぞ。
2017年9月10・11日 ページ作成・執筆