千之ナイフ「少女パンドラ」(1995年12月1日初版発行)

 収録作品

・「少女パンドラ」(「学園ミステリーNo.31('95年8月20日号)」掲載)
「奥野麻紀は、いじめられっ子をかばったために、次は自分がいじめの標的となる。
 クラスメート達から暴行を受け、逃げるうちに、彼女は教会の塔から転落死する。
 彼女の死は自殺と扱われ、クラスメート達の誰一人、彼女の死を悲しむ者はいない。
 怒りと復讐心に満ち満ちた彼女の魂が魔空間をさまよっていると、彼女の前に、闇の神が現れる。
 闇の神は彼女に復讐のチャンスを与えると言い、新しい身体を提供する。
 そして、人を苦しめる人間、不必要な人間の命を奪い、魔空間で苦しむ、迷える魂にその死体を与え、甦らせるよう頼むのであった。
 奥野麻紀は、天乃冥という名と新しい身体を得て、もとのクラスに戻って来る。
 彼女の身体にある、魔界と現世をつなぐ門が開く時、彼女の復讐が始まる…」

・「beauty」(「サスペリア'95年3月号」掲載)
「香織は、山間の屋敷に、メイドの仕事のため、訪れる。
 屋敷には元・病院長だった老人とその娘の二人だけで、娘の繭美は病気のため、人形の中に入っていた。
 翌日、香織は掃除の最中に、手術室に迷い込む。
 手術室にはさほど古くない血が零れ、血の跡を辿った先で、香織は隠し扉を発見する。
 扉の向こうには地下に下る階段があり、階下の部屋には、身体の部分部分を継ぎはぎした、女性の首なし死体が機械につながれていた。
 香織は屋敷から逃げ出そうとするが、老人に乞われ、居続けることとなる。
 そして、ある夜、香織は手術室で老人と繭美の真の目的を知る…」

・「半魚人」(「学園ミステリーNo.29('95年4月20日号)」掲載)
「美術部顧問の清水先生が失踪して三か月。
 手掛かりは、彼が、部員の美樹にした、故郷の魚神沼の話と、魚人を描いた絵だけであった。
 彼の故郷の魚神沼には魚人が棲むと言われ、霧が出ると現れ、噛まれた人は魚人になってしまうらしい。
 そして、彼は、少年時代、魚人に遭遇し、命からがら逃げ延びたという体験があった。
 美樹は清水先生が過去の記憶を確かめるために魚神沼を訪れたのではないかと考え、美術部の中沢先輩と鈴森、写真部の四谷と共に、魚神沼に向かう。
 沼には、彼らの様子を遠くから窺う、見知らぬ少年の姿があった。
 いろいろあって、帰りそびれた彼らは、潰れたペンションへ集まる。
 霧深い夜、彼らは一人また一人と魚人の毒牙にかかっていく…」

・「人形使い」(「学園ミステリーNo.30('95年6月20日号)」掲載)
「青野彩子は人形作りが趣味の、内気な少女。
 彼女はクラスで孤立し、いじめっ子達からネチネチといびられていた。
 ある夜、彼女は夢を見る。
 夢の中で、「あなたの味方」と名乗る少女が現れ、そちらの世界に行くために、彼女の身体を作るよう頼まれる。
 彩子はその少女の等身大の人形を作りあげるが、顔だけがどうしても思い出せない。
 その夜、彼女をいじめていた少女達が公園で惨殺される。
 そして、彩子の作った人形は、中身の綿を抜かれて、部屋に放り出されていた。
 彩子は人形が殺人を犯したのではと怪しむが、再び殺人事件が起きる…」

2019年4月4日 ページ作成・執筆

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