細川知栄子
「黒い微笑@」(1982年11月25日初版・1983年7月30日5版発行)
「黒い微笑A」(1985年7月30日初版発行)
「黒い微笑B」(1985年9月5日初版・12月20日3版発行)
「黒い微笑C」(1985年12月1日初版・1993年7月10日8版発行)



・第一巻
「東北の山奥にある地獄谷。
 そこに、夫を亡くした若い女と幼い姉妹、摩奈と理沙が迷い込む。
 日も暮れ、天候も悪化し、途方に暮れているところに、摩奈が落雷で黒こげになる。
 母親が摩奈の死体に取りすがって、助けを求めると、天から声が聞こえ、摩奈は蘇える。
 しかし、その声の主は「悪霊」と呼ばれるものであり、十五年後、摩奈が成長した時にその身体をもらうと告げる。
 母親は倒木により命を失い、二日後、記憶をなくした摩奈と理沙の姉妹は村人により発見される。
 姉妹は母親の親友の桜木家に引き取られ、摩奈はお淑やかで美しい娘に、一方の理沙は活発な娘へと成長する。
 十五年後の約束の日の夜、悪霊は摩奈を墓場に誘い出し、彼女に「血の洗礼」を施す。
 摩奈と一体になった悪霊は、邪魔者の理沙を排除しようとするが…」

・第二巻
「摩奈と理沙は二人とも、臨時の英語教師、レオン・R・スチュワートに心惹かれるようになる。
 実は、摩奈と理沙は実は、イギリスの名門ロザモンド家の血をひく者で、レオンは二人のどちらをロザモンド家に迎え入れるか極秘に調査に来ているのであった。
 そのことを知った悪霊は、摩奈の身体でレオンを誘惑し、ロザモンド家の娘になろうと画策する。
 摩奈は自分の身体に悪霊が宿っているのに気づき、抗おうとするが、悪霊の力はあまりにも強大であった。
 育ての母親は摩奈の異変に気付き、悪霊と対峙するのだが…」

・第三巻
「イギリスに向かう途中、飛行機事故により理沙とレオンは漂流。
 その間に、二人はお互いの愛を確かめ合う。
 先に、イギリス入りをした摩奈はロザモンド家で地位を確立する。
 摩奈は、その地にある古城、ギルフォード城にどうしようもない懐かしさを覚え、歓迎パーティを脱け出し、城へ馬を駆る。
 城のあかずの間の封印が解かれる時、悪霊の過去が明らかとなる…」

・第四巻
「遂に、理沙は、摩奈に悪霊が憑りついていることを知る。
 レオン、理沙の幼馴染の和志達は、悪魔払いの一団を組織し、ギルフォード城に乗り込む。
 彼らは摩奈を悪霊から救い出そうとするが…」
・「春の日に愛を」
「資産家の娘、美亜は、幼い頃の事故が原因で、視力を失っていた。
 箱入り娘として育てられていたが、17歳の誕生パーティの時、医学生の勝に恋をする。
 娘の恋を知った父親は、勝を家庭教師に雇い、美亜に外の世界の楽しさを教える。
 しかし、勝の恋人から、全ては金のためと教えられ、美亜は勝と別れる決意をするが…」

 「黒い微笑」(1974年頃?「少女コミック」掲載)は、「王家の紋章」(未読)で現在も活躍中の細川知栄子先生によるオカルト・ホラーの歴史的名作です。
 少女漫画への興味が乏しかったので、長い間、手を付けなかったのですが、もっと早く読めばよかったと後悔しました。
 大ベテランですので、ストーリーや構成の完成度の高さは言うに及ばず、グロ描写・残酷描写も、当時の少女漫画としては、かなり高い水準です。(特に、一巻と二巻)
 また、裸のシーンや、ヒロインが夜這いしたりと、きわどい描写が多いのも、いかがわしさに拍車をかけて、嬉しい所。
 ただ、個人的には、理沙の幼馴染の和志が結局、最後の最後まで報われず、気の毒で仕方ありません。

2019年6月14日 ページ作成・執筆

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