高階良子「デスハウス」(2013年10月30日初版発行)

・「前編 開けてはならない扉」(「ミステリーボニータ」2013年8月号掲載)
 唯一の肉親だった父親を亡くし、高校中退後、アルバイターとして生活する桜木凛央(りお)。
 ある日、彼女は偶然に出会った男性に強烈な一目惚れをする。
 彼女は初対面の彼に強引に連絡先を教え、後日、その男性と凛央はレストランで食事することになる。
 男性は生島悠貴という名で、彼女よりも年上で独身、だが、それ以外のことは一切わからない。
 彼のホテルへの誘いにどぎまぎしながら、凛央は、彼が飲み物に垂らした「秘伝のブランデーエキス」に興味を持つ。
 凛央が彼に頼んで、一口飲ませてもらうと、非常においしく、いい気持ち。
 何らかの連絡が入り、悠貴が席を外すと、入れ替わるように、高校の先輩だった皆川という男が現れる。
 皆川は、凛央が憧れていた人であったが、万能で人気者だった彼には近づきようがなかったという過去があった。
 その夜、凛央はホテルで悠貴と結ばれるが、実は、酔った彼女は、皆川を悠貴と間違えていた。
 純潔が汚されたショックに加え、以来、悠貴と連絡が取れなくなり、また、自分が妊娠していることに気付く。
 絶望のあまり、凛央は川に身を投げるが、気が付くと、ベッドに寝かされており、そばには悠貴が控えていた。
 そして、彼女のいる場所は、深い森の奥にある、死人が住むと噂される「デスハウス」であった。
 凛央は、悠貴の花嫁として、ここで暮らすこととなる。
 だが、噂の通り、ここの住人は、凛央と悠貴を除いて、皆、生気というものがない。
 そのうちに、凛央の妊娠が皆の知るところとなり、悠貴や彼の母は赤ん坊を待望する。
 そのために、彼女はそれが悠貴の子供でないと言い出せない。
 いたたまれずに、家を出ようとした彼女の前に、彼女のボディガードとして雇われた皆川が現れる。
 悠貴の思惑とは…そして、彼の正体とは…?

・「後編 魔界の邪気」(「ミステリーボニータ」2013年9月号掲載)
 十五年後。
 凛央が産んだ男児は、恐るべき勢いで成長していた。
 凛央は、その子に悠貴の面影を認めながらも、どうしても受け入れることができない。
 また、彼女のそばに控える皆川に対しても、過去のことを引きずっていた。
 ある日、その子が留学先からデスハウスに帰ってくる。
 近いうちに、彼の敵である「邪気」の本体が姿を現わすことを知り、それと対決するためであった。
 彼が「永遠の命」を得ることになった、恐ろしい過去とは…?
 そして、彼は「邪気」の本体を封印できるのであろうか…?

 ホラーかと思って読んでいたら、実際は、もろ「高階良子色」のダーク・ファンタジーでした。
 一読して受ける印象は荒唐無稽(注1)ですが、(ある程度は)ちゃんと筋が通っているのが凄いです。
 とにもかくにも、私は好きです。
 あと、ゾンビの召使いの描写が、やけに人間臭く、面白く思いました。

・注1
 でも、よくよく考えてみれば、漫画というものは基本的にはどれも「荒唐無稽」でありましょう。
 要は、人に受け入れられるか、そうでないか、だけの違いのように思います。
 まあ、ごちゃごちゃ考えずに、好きなものを読めば、それで「all right」です。

2017年9月22日 ページ作成・執筆

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