古賀新一「エコエコアザラク@」
(1976年3月10日初版・12月20日8刷発行)

・「恐怖の黒魔術」
「内気で、成績の悪い一成は、優秀な兄、由記夫と比較されてばかり。
 下校途中、彼は、美しい女占い師から声をかけられる。
 彼女は、黒魔術で彼の頭を良くしてあげると言うが、一成はその場から逃げ出してしまう。
 しかし、両親が兄だけをちやほやするのに嫌気がさし、再び女占い師のもとに向かう。
 女占い師は藁人形を取り出し、神社で呪文を唱えながら、頭の部分に釘を打つよう教える。
 ただし、このことは決して誰にも見られてはいけないし、話してもいけない。
 女占い師の言う通りにした翌日、彼は、これまでとは打って変わって、利発になっていたのだが…」

・「美少女黒井ミサ」
「町中の中学校に転校してきた黒井ミサ。
 彼女の隣の席は学級委員の菱田利一であった。
 数学のテストの後、ミサは番長の鉄一男からカンニングの疑いをかけられる。
 菱田はミサを守ろうとするが、多勢に無勢で、鉄一男はミサを男子便所でレイプしようとする。
 しかし、ミサは何食わぬ顔で男子便所から出て来て、中には、発狂した鉄一男の姿があった。
 この件でミサと菱田の仲は接近するが、下校途中、彼もまた、ミサの秘密を知ってしまう…」

・「呪われた決闘」
「ある中学校。
 そこの番長は、喧嘩のめっぽう強い石黒がのし上がってくるのに危機感を覚えていた。
 ある時、番長は転校生の黒井ミサが黒魔術を使うことを知り、彼女に、魔術で喧嘩に勝てるよう、懇願する。
 翌日の夜、学校の体育館でミサは番長に「トロルド」の魔術をかける。
 そして、番長と石黒が決闘することとなるが…」

・「人面瘡の呪い」
「根津鉄也は、資産家の親の威光を笠に着て、学園でやりたい放題。
 生徒も先生達も彼の言いなりになっていたが、ただ一人、黒井ミサだけは彼に従わない。
 そこで、根津は番長グループを使い、ミサに焼きを入れる。
 翌日、数学の授業中、彼は気分が悪くなり、保健室に行く。
 そこには彼の名前を書いた藁人形が打ち付けられていた…」

・「踊る変身術」
「秋田学園三年E組のスケバン・グループ。
 彼女達はあるスナックでインド人らしい外国人から写真の人物について尋ねられる。
 その写真に写っていたのは、同じクラスの黒井ミサであった。
 外国人によると、ミサは世界でも有数の魔女であるという。
 翌日の授業中、スケバン達はミサを襲い、裸にする。
 そして、ピアノに合わせて、踊るよう強制するのだが…」

・「憎い先公には魔術をかけろ」
「ある中学校。
 一年B組(注1)の担任、沼津は強圧的かつセクハラ教師で、生徒達から憎まれていた。
 仕返しを考える彼らに、転校生の黒井ミサは「トロルドムの魔力」を提案する。
 これは、植物や動物の性格による引力・斥力を利用した自然魔法であった。
 沼津が宿直の夜、クラスメート達は体育館に集まり、呪いの儀式を行うのだが…」

・「秘伝魔法のランプ」
「和泉学園の男子生徒達は山で遭難する。
 中でも山田という男子生徒は臆病で、みんな呆れ顔。
 すると、墓場があり、山田を驚かそうと、皆、姿を隠す。
 山田はその場から逃げ出すが、崖から転落。
 男子生徒達は彼を探すが、彼の姿はどこにもない。
 そのうちに、山小屋の灯りが目に入る。
 そこには、先客として黒井ミサがいた…」

・「悪夢の呪い」
「夏、茨木達が海水浴に行った時に撮った写真。
 その写真には、腫物だらけの、気持ちの悪い男の顔が写り込んでいた。
 茨木はその男を何度か目にしたことがあり、凄まじい嫌悪を感じる。
 一方、クラスでは、エジプトの呪術を用いた秘符が、机やカバンに入れられるという嫌がらせが頻発していた。
 疑いは転校生の黒井ミサにかかるが…」

・「魔術師沼田先生」
「理科と生物の教師、沼田は魔術を使って、生徒達を意のままに操っていた。
 それに気付いた黒井ミサは皆に注意を促す。
 だが、沼田の催眠術にかかった生徒達は、ミサに協力しようとした前川という男子生徒を殺害し、ミサにも危害を加えようとする。
 沼田は、自分に逆らわないよう、ミサに警告するのだが…」

・「ネズミが襲う」
「イケメンの水田哲は、自惚れの強い、軽薄で小ずるい男だった。
 彼は早速、転校生の黒井ミサに目を付け、いつものように、ネズミで脅かして、彼女と接近する。
 だが、ミサの周辺にどこからかネズミが現れ、彼女を襲う。
 彼は、早退したミサを送るのだが、その途中…」

 怪奇マンガ史上、最も有名なヒロインと言えば、「黒井ミサ」でありましょう。(個人の意見です。)
 その黒井ミサをヒロインに据えた「エコエコアザラク」は、四十年以上経った今もなお、怪奇マンガの金字塔の一つであります。
 とは言え、続編等も含めると、長年執筆されていた作品であり、総括するのは容易な事ではありません。
 とりあえずは、単行本を一巻一巻眺めていって、大まかな変遷だけでも浮かび上がらせることができたら…と考えております。

・注1
 黒井ミサは基本、「中学三年生」でありますが、この回では一年生です。

2019年10月24日 ページ作成・執筆

秋田書店・リストに戻る

メインページに戻る