古賀新一「エコエコアザラクA」
（1976年3月10日初版・12月20日8刷発行）
・「母神像の呪い」
「蛭山中学校の文化祭。
黒井ミサのクラスの出し物は「魔法の世界」で、その本格的な内容から大盛況。
特に、ミサが持ち込んだ「母神像」は皆の度肝を抜く。
そこに、高校生の不良グループが乱入し、ミサは不良達にはむかう。
ミサは、文化祭終了後に母神像が不良達に罰を与えると予言し、そうならなかったら自分を好きにするよう、不良達に言う。
不良達が去った後、ミサは、不良達に魔術をかけるため、母神像に祈るよう、クラスメート達に求めるのだが…」
・「よみがえった化石」
「内気なために、いじめの対象になっている男子生徒の内藤。
黒井ミサは彼を心配し、彼が祖父から受け継いだ化石のコレクションを理科の授業に持っていくよう勧める。
しかし、そのコレクションを、いじめっ子の鬼頭は彼から取り上げ、手柄を横取りする。
その夜、鬼頭が水音で目を覚ます。
その水音は、化石の中から出てきた水を入れた瓶から聞こえる…」
・「魔法の薬」
「昔は真面目だったが、今はグレて、喧嘩ばかりしている石田。
彼は草原で高校生と喧嘩をし、相手を殺してしまう。
狼狽する彼の前に、黒井ミサが現れ、改心するという約束と共に、死人を生き返らせる魔法の薬を渡す。
だが、石田は、この薬さえあれば不死身だと、薬を着服して、以前よりも調子に乗るようになる。
そんな彼の前に再び黒井ミサ（防具姿がステキ）が現れ、二人は真剣で勝負をすることとなるのだが…」
・「ミサのいけにえ術」
「矢森麻也子は、男子生徒に媚びを売りまくる、かわい子ちゃん。
だが、転校生の黒井ミサに嫉妬を燃やし、様々な嫌がらせをする。
遂には、化粧水に劇薬を仕込み、ミサの顔にひどい火傷を負わせる。
その日の晩、学校の焼却炉の前に佇むミサの姿があった。
帰宅しない麻也子を心配して、母親はミサに麻也子の行方を尋ねるのだが…」
・「降魔術」
「田中と恵美子は気心の知れたカップル。
田中は、転校生の黒井ミサに、二人の愛がもっと育つように、魔術の儀式を依頼する。
夜、学校の体育館で、ミサは、悪魔ルキフェルを呼び出し、二人の願いを叶えようとする。
しかし、恵美子は、ミサに田中を取られると疑い、魔法陣から出てしまう…」
・「黒魔術の儀式」
「黒魔術の儀式。
悪魔崇拝者達は年に一度、悪魔に子供の魂を捧げていたが、黒井ミサにその役割が回って来る。
いけにえに選ばれた少年の家では、黒猫が飼われていた。
その黒猫が子猫を産んだので、少年の兄は子猫を捨てに行く。
彼は子猫を用水池に捨てたところ、親猫が彼や母親を襲うようになる。
彼は親猫を湯船につけて溺死させるが、数日後、奇妙な夢を見る。
それは、用水池に捨てた子猫達が、魚を食べて、成長しているというものであった。
彼が、弟を探しに、用水池に行くと…」
・「人形トロルドム術」
「雨降りの放課後。
ある教師が、松岡という生徒を、車で送る。
途中、教師は、松岡と同じクラスの黒井ミサを車で轢き逃げしてしまう。
彼は松岡を口封じさせ、車に引っかかっていた人形を庭に埋める。
その人形は、黒井ミサが大事にして、形見離さず持っていたものであった。
松岡によると、ミサがこの人形を思い通りに動かせるらしいのだが…」
・「奇術」
「吉岡と川中は犬猿の仲で、些細なことで喧嘩ばかり。
だが、黒井ミサに勧められ、吉岡は川中との和解を決意する。
そんなことはつゆ知らない川中は、吉岡に飼い犬を放って、かみ殺させてしまう。
吉岡の葬式の日、火葬場でミサの見せた「奇術」とは…？」
・「無人街」
「盗品を売って、荒稼ぎする、風間をリーダーとする三人組。
彼は黒井ミサが魔女であることを見抜き、自分達の仲間に入るよう強制する。
一週間後、三人が泥棒をするために、町に出ると、全く人通りがない。
しかも、店は開けっ放しで、盗り放題。
三人は大喜びで金庫の金をバッグに詰めるのだが…」
・「鏡」
「小野美津男は、猛烈な教育ママのせいで、半ば死人のよう。
彼は機会があると、保健室の鏡の前で、ぼ〜っと佇んでいたが、それには理由があった。
それは以前、彼が母親から逃げようとした時、身体が保健室の鏡に吸い込まれ、気が付くと、蝶になっていたというものであった。
以来、彼は再び蝶になりたいと願うのだが…」
ちょびっと考察。
「人形トロルドム術」→「人と人形が一体化するアイデア」は「健啖家」（「怪談・78」）がもとのようです。
「鏡」→アポリネール「オノレ・シュブラックの消滅」と「故蝶の夢」をミックスしたものではないでしょうか？
2019年10月24・25日 ページ作成・執筆