古賀新一「エコエコアザラクC」
(1976年10月5日初版・1979年12月10日14刷発行)

・「タロットカードの死に神が出た」
「ズボラで、冴えないが、生徒達には人気の大久保先生。
 彼の誕生日会で、黒井ミサは彼の将来について占う。
 だが、カードの結果は「死に神」。
 その時は笑いとばしていたものの、以来、大久保先生は生気を失ってしまう。
 ミサが彼に謝りに行くと、彼はミサの占いは当たっていると言う。
 彼が言うのは、紳士服店で試着した際に、もう一人の自分の姿を見たらしい。
 大久保先生につきまとう死に神の正体は…?」

・「ゲテモノ料理」
「寺山中学校。
 英語教師の永山先生は、猛烈なヒステリー女。
 しかも、弁当に虫やトカゲの料理を詰めてくるという、ゲテモノ喰いでもあった。
 ある日、ミサとクラスメート達は、病気で療養中の田中の見舞いに行く。
 田中の家は、永山先生の家に近く、彼は、望遠鏡で永山先生の家を覗いていた。
 彼は、永山先生の家には三歳の男の子がいたが、三日前に、彼女がヒステリーを起こして以来、男の子の姿を見ない、と話す。
 そして、三日間、先生の家の煙突からはずっと煙が出ているのだという。
 ミサ達は、子供の安否を確かめるために、適当な理由をつけて、先生の家を訪れるのだが…」

・「絶叫」
「クラスメート達に乞われ、黒井ミサは水晶玉に、自分の家を映し出す。
 すると、ミサの家に泥棒が侵入しようとしているところであった。
 ミサはクラスメート達と共に慌てて帰宅するが、戸締りが厳重なため、泥棒が侵入した気配はない。
 とは言え、窓にまで鉄格子がしてあることに、クラスメート達は不審がる。
 この家は外国の魔術師ガードナーが建てたもので、ミサは、彼が愛する夫人を黒魔術のいけにえにした話をする…」

・「カラスは死の臭いをかぎつける」
「黒井ミサはクラス中の人気者。
 そんな彼女に、金持ちのボンボン息子、立花秀男はぞっこん。
 彼はミサを手に入れるため、彼女が集めた学級費を盗み出し、その金を立て替えるかわりに、自分の屋敷で召使いをさせる。
 心配したクラスメート達はこっそりと二人の様子を覗くが、どこからかカラスがやけに集まって来る。
 その理由とは…?」

・「サルの首」
「生徒達からはなめられ、校長先生からは怒られてばかりの小田先生(あだ名はデメキン)。
 彼は黒井ミサが黒魔術に精通していることを知り、自分に黒魔術をかけるよう懇願する。
 ミサは、すっかり自信をなくした小田に、幸運をもたらすと言う「サルの首」のミイラを渡す。
 ただし、このことは絶対に他人には話していけない。
 以来、小田は以前とは打って変わって、強気な性格になり、同僚の湯浅という女教師とも急接近。
 ミサは、あまりに調子に乗り過ぎないよう、小田先生に警告するが…」

・「蝋人形館」
「黒井ミサは、たちの悪い不良高校生につきまとわれ、ひどい目にあう。
 だが、彼女が助けを求めても、周りの人は傍観するだけで、ミサは人間不信に陥る。
 翌日、ミサは、彼女を心配するクラスメート達を、知り合いの外国人がやっている蝋人形館へ招待する。
 テーマは魔女狩りで、その蝋人形はまるで生きているようであったが…」

・「黒髪」
「丸ハゲのセクハラ教師、天田捨吉は、廊下でカツラを拾う。
 試しに付けてみると、ジャスト・フィットで、心身ともに若返ったような心持になる。
 早速、ヤングな格好でキメて、ディスコでフィーバー。
 女の子と仲良くなり、さあ、これからという時に…」

・「パパぼくをどこへつれていくの」
「女の赤ちゃんに恵まれた、幸せそうな夫婦。
 しかし、父親は、麻薬の運び屋であった。
 依頼を受け、彼は、麻薬の入ったトランクを持って、電車でN駅に向かう。
 彼の向かいの座席には、黒井ミサが座っていた。
 電車がトンネルに入った時、急に電車から人の姿が消える。
 隣の車両に行くと、赤ん坊が一人、座席に横たわっている。
 赤ん坊は彼を「パパ」と呼び、「わたしをどこにつれていくの?」と尋ねる。
 彼はそこから逃げようとするが、赤ん坊はどこまでも彼にまとわりついてきて…」

・「ミサの悪魔払い」
「学校のバス旅行の日。
 黒井ミサは、不良グループの一人、田川(女性)の影がないことに気付く。
 それを指摘したことから、ミサは、不良グループが乗るバスに連れ込まれる。
 ミサが絶体絶命な時、バスがスリップし、崖から転落しそうになる。
 田川は窓ガラスに顔から突っ込んで、怪我をするが、彼女は最近、ずっと災難続きらしい。
 ミサは田川に悪魔払いをしようとするのだが…」

 前袖で、古賀新一先生が「最近、黒井ミサは性格が明るくなってきている。なぜだろう?」と書いているように、この巻あたりから、黒井ミサは、クラスで孤立した存在ではなく、人気者で、友人にも恵まれるキャラになっております。
 でも、虫を見て悲鳴をあげるかと思えば(自分はカバンの中にカエルやらトカゲを入れているくせに)、人を平然と殺して、高笑いしたりして、このアンバランスさが魅力かも…。

 ちょこっと考察。
・「タロットカードに死に神が出た」→「○○○(ネタばれのため、伏字)」のギミックは、古賀しんさく・名義「目のない顔」(「オール怪談・37」収録)や「新吾シリーズI 死にもの狂い」、古賀しん一・名義「骸骨とせむし男」(「怪談 増刊号」)等で、繰り返し使われております。お気に入りのテーマだったんでしょうか?
・「黒髪」→古賀しんさく・名義「二ノ宮新吾シリーズJ 逆転負け」の中の一編「黒髪」とアイデアは一緒です。

2019年11月3・4日 ページ作成・執筆

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