古賀新一「エコエコアザラクD」
(1977年1月10日初版・1978年7月10日5版発行)
・「犯人は狼男だよ」
「母親の財布を持ち出して、狼男の映画を観に来た少年。
しかし、露店商に怒られた時に、財布を落としてしまう。
家で母親に財布のことを詰問され、少年は狼男に取られたと嘘をつく。
母親と少年が警察に行くと、留置所に、狼男に似た不審者が入れられていた…」
・「飛行術」
「空想家の長井は、ある日、驚くべき光景を目にする。
黒井ミサが、英単語の暗記に没頭している時、空中を歩いていたのであった。
彼は黒井ミサにそのことについて尋ねるが、相手にされず、クラスメートからもバカにされるばかり。
そこで、彼は図書館や古本屋で魔術の本を片端からあたり、飛行術について調べる。
クラスメート達を見返すために、彼は自身で飛行術を実践してみるのだが…」
・「黒ヒョウは踊る」
「暴走族の黒ヒョウ隊に憧れる高田。
いきがる彼に、黒井ミサは、度胸をつける、黒魔術の儀式を行う。
ミサが呪文を唱えると、彼の学生服が黒ヒョウへと変化し、彼に襲いかかる。
彼が助けを求めると、ミサもヒョウも姿を消してしまい、ヒョウにつかられた傷もない。
翌日の夜、彼は黒ヒョウ隊へと加わるのだが…」
・「名探偵黒井ミサ」
「ミサの父親が黒魔術絵画の個展を開く。
その中で、最も話題を呼んだのが、「十字印の秘法」を描いた絵で、この絵は幸運をもたらすという。
ミサは、貧乏な浪人生の西川に頼まれ、その絵を彼に貸す。
ある夜、西川は、受験勉強に疲れ、外に出ようとするが、アパートの門限が過ぎて、出入りができない。
それならばと、窓からロープを垂らして、飲みに出かける。
数時間後、酔っ払った状態で、ロープを登って、部屋に戻ると、「十字印の秘法」の絵から魔術師が脱け出て、彼を剣で襲う。
背中を刺されながらも、逃げ出し、アパートの住人に助けを求めるが、部屋には何の異状もない。
彼はリサに事情を話すのだが…」
・「ついてない男」
「組の金を持ち逃げし、殺し屋に追われる青年。
ミサは彼に、行き先に現れる自殺志願者を救うことによって、運命が大凶から大吉に変わると告げられる。
翌日、彼は、橋の上で入水自殺を図ろうとしている老人に、大金を渡して、自殺を思いとどまらせる。
これで、悪運から解放されたと思いきや…」
・「夢判断」
「このところ、学校を休むことの多い福島。
黒井ミサは、彼の様子を見に、家を訪れる。
すると、彼は、ガリ勉に疲れ、すっかり未来に希望が持てなくなっていた。
ミサは彼に、想像以上の不幸が未来に待っていると告げ、南米のジャングルで発見された「魔法のしゃれこうべ」を貸す。
これを枕元に置いて眠れば、夢の中で未来を知ることができるらしい。
彼が試してみると、振り子ギロチン(って言うの、アレ?)で殺される夢を見る。
夢に出てきた、眼鏡をかけた、太った中年が、彼に死をもたらすようなのだが…」
・「生首返上」
「二人のチンピラが、露天占いで荒稼ぎしている黒井ミサに目を付け、金をだまし取ろうと画策する。
まず、一流会社の社長のふりをした一人が、大金をちらつかせて、なくした腕時計の行方を占ってもらう。
そして、もう一人が、その腕時計を持っておいて、ミサが声をかけてくるのを待つ。
ミサは彼に腕時計を譲ってくれるよう頼むが、彼は、この時計は殺人現場に落ちていたと嘘をついて、高値をふっかける。
この計画はうまくいくのだが…」
・「秘法 読心術」
「短気かつ短絡的な教師、山本。
彼はミサに読心術をかけられ、人の心がわかるようになる。
病院で彼は、ある男が轢き逃げしたことを知り、彼を脅迫。
教師をやめて、強請で生計を立てていくことにする。
ところが、彼が、その男の家を訪ねると…」
・「安楽死」
「ミサは、中年の男から、義理の妹を安楽死させるよう頼まれる。
義理の妹は、病気で医者から見放され、ひどい苦しみようらしい。
ミサは、粉々に砕けたドクロを少しずつ病人に飲ませるよう、彼に教える。
そうすると、苦しみが消え、気分爽快になるが、そのうち、静かに息を引き取るという。
しかし、この男は、義理の妹の財産目当てに、彼女を毒殺しようとしていた。
彼は、ミサに言われた通りに、ドクロの粉末を、義理の妹に少しずつ飲ませるのだが…」
・「生きている人形」
「ミサは、エミ子という、孤児の少女と出会う。
エミ子のため、ミサは、両親の人形を作ると、エミ子は、夢で見たのと同じと大喜び。
数日後、エミ子に新しい両親ができるが、それは人形にそっくりであった。
新しい両親にもらわれても、エミ子は人形を離さず、母親は人形を気味悪く思うようになる。
そんな時、母親のもとに、怪しい男が訪ねてくる。
彼は、母親の万引き現場を目撃して以来、ずっと強請続けてきたのであった。
彼は、エミ子の両親の人形をバラバラにしてしまうのだが…」
ちょこっと考察。
・「飛行術」→チェコの作家、カレル・チャペック(1890〜1938/「ロボット」「山椒魚戦争」の作者)の短編が恐らく、元ネタなのですが、ちょっと確認とれてません。
・「ついてない男」→古賀しんさく・名義での「ついてない奴」(「オール怪談・33」)のリメイクです。
・「生首返上」→「ある殺人犯」(「オール怪談・増刊」)のリメイクです。
2020年8月17・19日 ページ作成・執筆