古賀新一「エコエコアザラクH」
(1977年10月30日初版・2014年11月25日18版発行)

・「幻覚の非常階段」
「出所した五郎は、兄貴分の大田黒がやっているという商事会社へ向かう。
 五年前、二人は銀行強盗をして、逃げる途中、五郎は、大田黒に大金を持たせて逃がし、自分が罪をかぶったのであった。
 しかし、商事会社が入っているというビルは恐ろしく古めかしい。
 明かりもついてなく、エレベーターも動かない。
 仕方なく、裏の非常階段を上がっていくと、商事会社があるという六階に灯りが見える。
 中に入ると、ストーブは付いたまま、金庫の中には大金があるのに、誰もいない。
 予定表に「喫茶店ミサに行ってくる」と書かれてあったので、五郎はその喫茶店を訪れる。
 だが、ミサによると、大田黒は昨年、事故死したらしく、五郎が六階に戻ると…」

・「人を呪わば穴二つ」
「ある夜、蛇に似た容貌の男が黒井ミサにある依頼をする。
 それは、自分の妻を、彼と同じように、蛇人間にしてほしいというものであった。
 彼の妻は非常に美しく、彼を忌み嫌い、こき使う。(だったら、彼を養子に迎えたのは何故?)
 ミサは、男とその友人達を集め、「サバトの呪い」を妻にかける。
 それは、相手を魔物憑きにして、顔だけでなく、肉体も変えてしまうという術であった。
 数日後、妻は体調を崩す。
 男の目的は、妻を自殺に追い込み、財産を手に入れるというものであったが、さて…」

・「ふるさと慕情」
「街頭占いをしているミサに、中年の男が運勢を見てくれとやって来る。
 彼は、都会に働きに出てから十年間、妻子のもとに帰っていなかった。
 大金を貯めたものの、今更、妻子のいる九州に帰るのも躊躇われる。
 肩を落とす中年男に、ミサは自分と一緒にいるとツキが舞い込むと、彼と共に九州を目指す。
 ヒッチハイクしようとダンプを停めると、運転手は強面で無口な男にもかかわらず、二人を乗せてくれる。
 途中、パーキングエリアに寄るが、ミサ達が休憩しているうちに、運転手は金の入ったカバンと共にとんずらしてしまい…」

・「二人の転校生」
「図体は大きいが気の小さい熊本は、これから転入する学校に入る勇気がない。
 公園に行くと、彼と同じ転校生の牟田と知り合う。しかも、二人とも、同じクラスであった。
 彼によると、彼らの通う学校は札付きの不良ばかりらしい。
 なめられないよう最初が肝心と二人は学校へ行くが、何故か、熊本を不良達は歓迎してくれる。
 しかも、先生達まで彼を特別扱い。
 訝る彼に、ミサは、牟田がよその学校で、もの凄く有名な番長だったことを明かす。
 彼は一月前、喧嘩を止めに入って、負傷し、記憶喪失になったのであった。
 ミサは、牟田の記憶を取り戻すために、熊本に彼を呼び出すよう頼むのだが…」

・「卒業式の報復」
「大倉先生はスパルタだが、熱血で、真に生徒のことを思う教師(なのに、入れ墨してますが、大丈夫なんでしょうか?)。
 だが、愛の鞭を振るい過ぎたため、大勢の生徒達の反感を買い、卒業式の後にリンチする計画が持ち上がっていた。
 かと言って、卒業式を休むわけにいかず、悩む彼に、黒井ミサがある提案をする。
 それは、卒業式の後、魔術を使って、変身するというものなのだが…」

・「カバタンおじさん」
「カバタンおじさんのカバタン踊りは子供達に大人気。
 先天性の心臓病で入院中の少年、本山敏広はテレビでその踊りを観て、順調に回復する。
 だが、急にカバタンおじさんはテレビに現れなくなり、容態が急変。
 おじさんと知り合いのミサは彼を訪ねるが、テレビ出演は頑として断る。
 実は彼は病気であった。
 しかし、ミサから敏広のことを知らされ、もう一度、テレビに出る決心をするが…」

・「初白星を黒魔術で!?」
「大里権太は入門以来、黒星続き。
 ある時、権太の親戚、みどりが、黒井ミサと共に、宿舎の彼を訪ねてくる。
 ミサが黒魔術を使うと聞き、権太は相撲を強くしてくれと懇願。
 渋々、ミサは彼の願いを聞き、その夜、公園で降魔術を行う。
 魔法陣の中に山羊の顔をした悪魔が現れ、悪魔を相手に権太は稽古をつけてもらうのだが…」

・「変身は美容院で」
「黒井ミサは美容院で見習いをする。
 そこに、男のようにがたいのいい女性が入って来る。
 彼女は、ミサが漫画雑誌に投稿して、入選した「魔女の呪い」のヒロインにそっくりであった。
 女性はその漫画に興味を持ち、読んでみる。
 漫画の内容は、夫婦喧嘩で夫を殺した妻が、夫を埋めるというものであった。
 女性は、これだけだと真実性に欠けると、漫画のヒロインが家を売って引っ越ししたと見せかけたらどうかとアドバイスする。
 その時、ミサは、女性の持っているスーツケースからお札がはみ出ていることに気付く。
 他にも、いろいろと不審な点が見つかって…」

・「逆転!サルまわし」
「黒井ミサは、大道芸の猿回しに夢中になる。
 しかし、数日前から、猿回しの男性が姿が見せない。
 クラスメートによると、この町の住人ということで、ミサが占うと、彼の部屋には争った形跡があり、二匹の猿が檻に閉じ込められたままであった。
 ミサ達がその部屋を訪れると、猿回しの男性の書いた日記が見つかる。
 それによると、男性は、二人の息子を交通事故で亡くした悲しみを紛らわすために、猿を飼い始めたという。
 彼は猿を人間と同じように三年間も教育し、躾ける。
 猿回しとして成功した彼に何が起こったのであろうか…?」

 ちょびっと考察。
・「ふるさと慕情」→ヘンリイ・スレッサー「父帰る」がもと。「ヒッチコック劇場」で観たのでしょう。人情ものにアレンジしております。
2021年3月10・16日 ページ作成・執筆
2021年5月12日 加筆訂正

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