古賀新一「エコエコアザラクK」
(1978年6月30日初版・2014年8月30日第17刷発行)
・「二度死んだ男」
「重太と美也子は、ふとしたきっかけから、ミサの毒草庭園に足を踏み入れる。
彼は、ミサから、仮死状態になるというキノコの粉末を譲ってもらい、ある計画を思い付く。
彼には多額の生命保険がかけられており、これを飲んで、仮死状態になった後、土葬してもらい、美也子に救出してもらうという計画であった。
だが、途中、彼の車は人をはねて、死なしてしまう。
二人は死体を置いて、立ち去るが、この死体が後に彼の計画に思わぬ齟齬をもたらす…」
・「海底の舞踏会」
「ミサは、バレエ学校の白鳥学園を訪れる。
そこの先生で経営者である谷中は、魚マニアであった。
ミサは彼に気に入られるが、彼に気に入られた女子生徒は皆、行方不明になっていた。
宿舎に泊まった夜、ミサは、彼がアクアラングを付け、海に出ていくのを目撃する。
彼の後をつけるミサが、海底で見たものとは…?」
・「サカナになった少年」
「貧しい小さな島。
ケン坊の父親は、殺人犯であった。
母親は家を出て、病気の祖父が老体に鞭打って、彼を養う。
ある時、祖父にひどく叱られて、彼は家をとび出す。
海岸の岩場で一人落ち込んでいると、ミサが話しかけてくる。
ミサは彼に友達をたくさん紹介すると言い、海面に向かって呪文を唱えると、海の中から見知らぬ子供達が現れる。
彼らに連れられて、ケンは海の中へと入っていくが、何故か苦しくならない。
なんと彼の下半身は魚になっていた…」
・「悪霊バス」
「あるバス営業所。
神経質な竹中は、以前、大事故を起こしたバスを運転することとなる。
ナンバーも「0948(霊柩車)」で、薄気味が悪くして仕方がない。
それでも、仕事なので、仕方なく運転するが、乗客は何故かミサ一人。
しかも、彼女は、このバスは呪われている、運転しない方が身のためと告げる。
ミサが降りた後、数時間経っても、バスには誰も乗らない。
雨の中、ようやく男女がバスに乗るのだが…」
・「海獣現る」
「ミサは、テレビ番組で、ニュージーランド沖から海獣の霊体を呼び出す。
魔術は成功したものの、否定派の鬼村は納得がいかず、帰宅途中のミサをチンピラを使って、拉致。
彼らは、人目のない橋の真ん中で、彼女に暴力を振るい、裸にして、奇術の仕掛けがないか探す。
そんな彼らを、ミサは嘲り、ここにもう一度、海獣の霊体を呼び出すというのだが…」
・「恋のかけひき」
「春夫と由加は、傍から見て呆れるほどのバカップル。
ある日の下校途中、二人はスケバングループに因縁をつけられる。
春夫は怖気づき、由加が暴力を振るわれても、何もできない。
そこに大井が現れ、由加を助け出すが、これは全て、由加に気のある大井の計画であった。
春夫は由加にそれを訴えるが、由加の気持ちは、助けてくれなかった春夫を離れ、大井になびく。
可愛さあまって憎さ百倍、春夫は、由加に呪いをかけるようミサに頼むのだが…」
・「スケ番壊滅作戦」
「ミサは生徒会長達と共に、学校からスケ番を追放しようと考える。
だが、相手の規模は数万人。
そこで、ミサは、黒魔術で対抗しようという。
体育館で、巨大な魔法像の前(どうやって運び込んだの、アレ?)に、彼らは全裸(!)になって座り、ミサに魔法をかけてもらう。
翌日のスケ番達との果たし合いの行方は…?」
・「和尚と大仏」
「飲んだくれの和尚さん。
彼の寺には、立派な大仏様があった。
一人の男が、その大仏様を毎日、熱心に拝みに来る。
信心深いかと思いきや、彼は、この大仏に拝んだ後、ギャンブルに勝ちまくっていた。
彼の甘言に惹かれ、和尚は寺の金を、賭博の資金として彼に預けてしまうのだが…」
・「ミサの魔法カメラ」
「カメラの夢中のミサは「人の心を写す魔法カメラ」を作る。
早速、実験のため、通りがかりの美しい女性を撮影する。
だが、魔法カメラで撮った写真の顔は非常に醜く、恐ろしいものであった。
再度、彼女を撮るが、その写真の顔も極めて異様。
彼女の婚約者が二度、不審死していることを知り、ミサ達は彼女の犯行を暴けるのではないかと考えるのだが…」
・「狂った賭け」
「町内野球大会。
末広町のチームは、ダンプ運転手の寅さんの活躍で、快進撃を続ける。
ミサの占いでも、今年も優勝間違いなし。
末広町の人々が飲み屋でうかれていると、一人の男が明日の試合で完敗すると断言する。
男は全財産賭けてもいいと言うが、それには理由があった。
実は、男は寅さんと決闘の約束をしており、その代役を元・ボクサーの男に頼んでいた。
寅さんは翌日の試合には出れない身体にされたのだが…」
ちょこっと考察。
・「海底の舞踏会」→冒頭が「サスペリア」で、内容は、古賀しんさく・名義「海底の美女」(「怪談・61」)。
・「スケ番壊滅作戦」→名作「殺し屋カプセル」ぽいです。
・「和尚と大仏」→ヘンリイ・スレッサー「アミオン神父の大穴」が元ネタ。「ヒッチコック劇場」でドラマ化されておりますので、それを観たものと推測します。
・「ミサの魔法カメラ」→古賀しんさく・名義「怪奇な容貌」(「怪談・72」)のリメイク…なんですが、ここまで来ると、もはやギャグです…。
・「狂った賭け」→ヘンリイ・スレッサー「褒賞は美女」の影響あり?
2021年4月13日 ページ作成・執筆