古賀新一「エコエコアザラクO」
(1979年5月20日初版・1982年7月20日5版発行)

・「怪談鍋島猫騒動」
「ミサが観た深夜映画は、鍋島猫騒動を描いた怪談であった。
 停電のせいで最後まで観れなかったものの、俳優の演技に感動したミサは、翌日の放課後、撮影所を訪れる。
 そこで、出演した俳優にサインをもらうつもりであったが、あの映画に出演した俳優は皆、引退したと言われて、ガッカリ。
 ミサが帰ろうとすると、映画の関係者を名乗る男性と老婆が彼女に話しかけてくる。
 彼らはミサを俳優の所に案内するが、行く先々で、俳優の死が明らかになる…」

・「強情っぱりの老人」
「ミサが祖母の田舎を訪れると、ちょうど村で騒ぎが起こっていた。
 原因は、頑固な老人が、道の真ん中にある大木を斬ることを決して許そうとはしないこと。
 ミサの祖母が老人と話し合うものの、最後には掴み合いの大げんかとなる。
 腹の虫のおさまらない祖母はミサに呪い術を教えるよう頼み、呪いの人形に針を刺す。
 そのためかどうか、老人は心臓麻痺で急死し、ミサの祖母は悔恨に苛まされ、遂には寝込んでしまう。
 十日後、ミサが野鳥観察のため、双眼鏡を覗いていると、土葬された老人が墓から起き上がるのを目撃するのだが…」

・「ミサの消滅術」
「魔術ショーに出演した黒井ミサ。
 彼女の出し物は消滅術で、箱に入った人物を消すというものであった。
 だが、奇術マニアの青年が彼女の魔術にいちゃもんをつける。
 彼も消滅術に参加してみるが、二重板のトリックだと信じて疑わず、ミサをけなして、舞台を降りる。
 その帰り道、彼はプティックに立ち寄り、服を試着する。
 しかし、店の主人にそれを怒られ、更には万引き犯扱い。
 試着室で彼が慌てていると、彼は試着室の鏡が二重板になっていることに気付くのだが…」

・「夢を売ります」
「小岩は三年もの間、浪人生。
 彼が気になっているのは隣に住む、彼と同じく三年浪人している青年、田宮。
 料理をきっかけに彼と親しくなるも、田宮は受験の失敗のショックで、何も言わずに姿を消してしまう。
 落ち込む小岩の部屋に、花売り娘に扮したミサが、ある花を投げ入れる。
 その花は思い通りの夢が見られる花だと言うが…」

・「魔物の棲む森」
「夫婦喧嘩ばかりしている夫婦。
 ヒステリー気味の母親は子供が泣きだすと、ある森に連れて行くと脅かす。
 その森は「さびしい場所」で、子供達は皆、恐れていた。
 ある日、母親が折檻で子供を森に縛り付けたところ、子供が行方不明になってしまう。
 ミサは夫婦に子供の行方を占うよう懇願され、彼らは森へと向かうのだが…」

・「殺されたパートナー」
「辺鄙な田舎に住む、怠け者の男。
 彼は何をするのも億劫がって、村の鼻つまみ者であった。
 ある夜、自動販売機会社の者を名乗る男が、彼の家を訪ね、自動販売機を設置していく。
 不思議なことに、皆、この自販機の前を通ると、買わずにはいられず、売り上げは上々。
 そのうちに、男は自販機がかわいくなり、せっせと手入れをして、話しかけるようになる。
 すると、また売り上げが伸び、男は最高のパートナーを得たと喜ぶのだが…」

・「大食漢と料理人」
「ド田舎の無人駅で、ミサは、口髭の男性と、列車に乗る。
 客車は座るところがなく、二人は食堂車へと移動。
 そこで彼は食べるは食べる、ひたすらに食べる。
 料理人は大喜びするものの、今度は材料が足りなくなる。
 それでも、どこからか材料を調達して、料理を作る。
 その材料は一体何なのであろうか…?」

・「海が知っている」
「ミサは浜辺でスイカ割りをしている時、割れたスイカが血まみれの老婆の頭に見えて卒倒する。
 その晩、ミサは例の老婆を見かけ、呼び止める。
 老婆は、非常に執念深い金貸しであった。
 翌日、その老婆が、若者達の乗ったボートから落ちて、行方不明になる。
 ミサは老婆が殺されたと感じるのだが…」

・「コメディー・シリーズ その2 はみだすパパの悪酔い」
「ミサのパパは、残業と言いながらも、実は、キャバレーでいちゃいちゃしまくりであった。
 ミサはパパをとっちめるために、魔術を使う。
 魔術でパパは錯乱し、キャバレーの用心棒も巻き込んで、スッチャカメッチャカになる…」

・「偉大なる胃袋」
「胃弱の探偵は失踪人の依頼を受ける。
 失踪人は大口胃太郎という青年で、大食いの賞金で生計を立てていた。
 食べ物屋を回るうち、探偵は胃の調子が悪くなり、その場に倒れてしまうのだが…」

 ちょびっと考察。
・「怪談鍋島猫騒動」→古賀しんさく・名義「切れたフイルム」(「怪談・65」)をアレンジしたもの。
・「魔物の棲む森」→オーガスト・ダーレスの名編「淋しい場所」が下敷きになっているように思います。
・「大食漢と料理人」→べレズフォードの名編「のど切り農場」が下敷きでは?
・「偉大なる胃袋」→古賀しんさく・名義「胃弱」(「怪談・70」)のリメイク。同系統の作品として「魔法手術」(「エコエコアザラクB」)もあります。

2021年4月13・14日 ページ作成・執筆

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