古賀新一「エコエコアザラクQ」(1979年7月10日初版発行)
・「愛しのマネキン人形」
「ミサがデパートで出会った、奇妙な中年男。
彼は婦人服売り場のマネキンをユリと呼び、家に連れて帰ろうとする。
彼は、十数年前、デパートで守衛をやっていた。
ある夜、婦人服売り場のマネキンが彼に笑いかけて来て、彼は気絶。
目を覚ますと、見知らぬ家にいて、そばには美しい女性が座っていた。
彼女は自分はマネキンだと言うが、マネキンとは似ても似つかない。
それでも、美人なことは確かなので、二人は結婚する。
しかし、彼女の楽しみは最新流行のファッションを着飾ることで、家事なんかしやしない。
赤ん坊が産まれても、同じ生活が続き、とうとう彼は癇癪を爆発させるのだが…」
・「運のない男」
「ホモっ気のある社会教師、戸影。
放課後、帰宅途中、彼は中年男性を轢き殺してしまう。
死体を車のトランクに詰め、処理方法に悩んでいたところ、近所で家を建てる工事が行われていた。
その夜、建築現場に忍び込み、基礎部分に死体を収め、セメントを流し込む。
後は、大工さん達が家を建てれば完全犯罪なのだが、何故か、大工達はちっとも働こうとしない。
戸影は気が気でならないが…」
・「ライオンが逃げた!!」
「由利子の祖父は数億円の財産持ち。
祖父は病気で幾ばくもない命で、財産は由利子といとこの男性で分配される予定であった。
ある時、いとこの男性に言い寄られ、由利子は彼をナイフで刺してしまう。
だが、サーカスのライオンが逃げたというニュースを聞き、由利子は一計を案じる。
居間に飾られてある、ライオンの首の剥製を、男性に噛みつかせ、無数の歯傷をつけた後、死体を表に運び出す。
その時、サーカスのピエロが彼女に声をかけてくる。
ライオンが人を殺したと知って、ピエロは大慌て。
大金を渡し、かつ、死体も処理するから、このことを内密に済ますよう懇願する。
しかし、由利子は欲を出し、もっと強請り取ろうとするのだが…」
・「正夢と読唇術」
「桜田まゆみ(15歳)の恋人は、大学生の山口しげる。
県立病院に入院している彼の見舞いに行くが、昨晩から彼の具合が良くないという。
そばで見守っているうちに、彼女は居眠りするが、目を覚ますと、ベッドに彼の姿がない。
看護婦によると、彼はすっかり元気になって、退院したという。
訝りながら、彼女は病院を後にするが、行く先々で、人の考えていることがわかり、彼女に心を読まれた人は皆、死んでしまう。
ようやく彼女は彼と再会を果たすのだが…」
・「夜に木を切る」
「不満を抱きながらも、決まりきった、退屈な生活を繰り返しているサラリーマン男性、貞男。
ある夜、彼はミサから、「自分から変化を作ったら」どうかと勧められる。
日曜日の晩、彼は、自分の部屋から見える大木をこっそり切り倒す。(切り倒した木をどうしたかは謎。)
以来、彼のルーティーンな生活に変化が現れるようになり…」
・「欲望の保険金」
「ミサは電車で、ガラスに姿の映ってない女性を目にする。
驚いているミサに、女性はその理由を話す。
女性の名はさよりといい、幼い頃に両親を亡くし、祖母と二人暮らし。
彼女は男には興味がなく、ただただ金が欲しかった。
そんな彼女の願いを叶えたいと、鏡の中から、もう一人の彼女が現れる。
鏡の彼女は、彼女が多額の生命保険に入れば、代わりに死んでくれると言う。
受取人を、いとこの良一に決め、彼女は彼と一緒に生命保険に入る。
そして、鏡の彼女と良一は登山に出かけるのだが…」
・「奇妙な殺人者」
「ユーモアあふれる語り口で人気の人相学者。
彼は、人の顔を見るだけで、相手の考えが手に取るようにわかる。
そして、これから悪事を行うであろう人間を見つけると、躊躇なく殺害していくのだが…」
・「呪われた船」
「四国に向かうフェリーで殺人事件が起きる。
被害者は中小企業の社長で、船室で身体中を滅多刺しにされていた。
しかし、乗客の誰もがアリバイがあり、更に、彼と関係のある者はいない。
刑事が困り果てた時、ミサは、被害者が手にしていた印籠から、ある推理をする。
それは、犯人が、江戸時代初期の「過去の人間」だというものであった。
それを証明する為、ミサと刑事は、三百年以上も前の、讃岐の国(香川県)へと移動する…」
・「コメディシリーズそのC 眠り薬と浮遊術」
「ミサは、学校に行くのがイヤで、サボることにする。(優等生じゃなかったのか?)
チンピラのサブと子分の留吉は、ミサをキャバレーに売っぱらおうと、誘惑。
どうにかこうにか、逆さクラゲ(ラブホテル)に連れ込んだものの、ミサに調子を狂わせられぱなし。
退屈して帰ろうとするミサに、二人は黒魔術を教えてくれるよう頼む。
人里離れた山中で、ミサは二人に浮遊術をかけるのだが…」
・「密室殺人」
「ある女性は、恋人の男性が自分を殺そうとしていることに気付く。
密室となった倉庫で、彼女は彼に、数年前に彼女が恋をした男性について話す。
彼は、地方を巡業するナイフ投げ芸人であった。
彼女は彼のナイフ投げの的であったが、二人は恋仲となる。
だが、彼は他の女性と結婚することとなり、彼女が邪魔になる。
ある日の舞台で、彼女は彼のナイフに殺意がこもっていることを知る。
ナイフは彼女を傷つけていき、最後の一本が、彼女の心臓目がけて、飛んでくるのだが…」
ちょびっと考察。
・「運のない男」→石が人の顔になって襲うのは、過去の作品にあったけど、ど忘れ…。
・「ライオンが逃げた!!」→A・E・コッパードの短編にインスパアされたのかもしれないけど、その短編が確認できず…。
・「欲望の保険金」→古賀しんさく・名義「奇妙な葬式」(「オール怪談・35」)のリメイク。
2021年5月20日 ページ作成・執筆