御茶漬海苔「恐怖実験室B」(1995年12月1日初版発行)

・「恐怖実験室 第11夜」
「第一話 願い箱」
 徳聖学園。
 放課後、美雪に秋代が「願い箱」の話をする。
 これは神山の奥にあり、願い事を書いた紙を入れると、その願いが叶うという。
 美雪は迷信扱いするが、秋代は信じているらしい。
 翌日、美雪の恋人の誠が秋代とカップルになっていた。
 秋代も誠に想いを寄せており、彼女は「願い箱」に願掛けをして、彼を奪ったのであった。
 その日の放課後、雨の中、美雪は神山に向かうのだが…。
「第二話 ドクター魔神 カルテE 怜子」
 横浜小学校。
 三年生の室田怜子は貧しい母子家庭の娘。
 父親は借金を作り、逃げてしまい、母親は働きづめで遂に倒れてしまう。
 怜子が入院した母親を見舞っていると、謎の男が病室に現れ、ドクター魔人の名刺を渡す。
 彼女はドクター魔神を訪ね、自分の手足を買ってくれるよう頼むのだが…。

・「恐怖実験室 第12夜」
「第一話 パイプ男」
 私立女子中学校の夏苗は帰りが遅くなり、駅に到着したばかりの電車に飛び乗る。
 電車は人気がなかったが、隣の車両から奇妙な男がやって来て、彼女の前に座る。
 男はチューリップハットを目深にかぶり、暑い日にもかかわらず、コートを着ていた。
 開いたコートの中は裸で、男の腹からパイプが突き出ている。
 パイプからは腸がどんどん溢れ出てきて…。
「第二話 ドクター魔神 カルテF 目」
 夏、赤井静は妹の沙希と共に川に来る。
 だが、静は妹と遊ぼうとせず、妹は彼女の口に石を入れる悪戯をする。
 怒った静が妹を突き飛ばすと、妹は下の岩場に転落。
 静は妹を殺したと思い、川に落とすと、実は妹はまだ生きており、助けを求める彼女を川に蹴り落とす。
 以来、彼女はその情景を何度も悪夢に見る。
 そこで、ドクター魔人のもとで「純粋な人の目」と入れ替えてもらうのだが…。

・「恐怖実験室 第13夜」
「バスルーム」
 花織、夕子、京子の三人はハイキングで道に迷う。
 日は暮れ、雨に降られ、途方に暮れていると、古い無人の洋館を見つける。
 何故か洋館のバスルームは豪華で、蛇口を捻ると、お湯が出る。
 雨に濡れ、震える夕子を先に入れるが、蛇口から奇妙な虫が無数に現れ、彼女を襲う。
 無数の虫が彼女の身体に潜り込み、彼女は花織と京子に助けを求めるが、彼女達はバスルームに夕子を閉じ込める。
 バスルーム内には虫が充満し、夕子の身体は虫に食い尽くされ、彼女は虫人間と化す。
 花織と京子は洋館から逃げ出すも、途中、虫に刺されていた京子も虫人間になり、花織に襲いかかる。
 花織は京子を撃退し、どうにか麓で救出されるが…。

・「恐怖実験室 第14夜」
「第一話 ビデオカメラ」
 私立山中中学校。
 紀子、雪子、美由紀は演劇部。
 ある日、紀子がハンディビデオを持ってきたので、自分達の演技を撮影する。
 その後、ビデオを再生すると、紀子の姿が血まみれであった。
 顔中、刺傷だらけで、左目が抉れており、更に、腹からは内臓が溢れ出る。
 これを見た雪子と美由紀は紀子を「悪魔憑き」扱いにして、紀子はショックで教室から走り去る。
 帰宅後、彼女がビデオの映像をもう一度確認すると…。
「第二話 蝶と蛾」
 畑中葉子は蝶に夢中の少女。
 今日も森で昆虫最中にいそしんでいると、穴に転落する。
 穴底近くで服が木の枝に引っかかり、墜落死はまぬがれたものの、手足が折れたのか動かず、この場から動けない。
 この場所は美しい蝶や蛾でいっぱいであった。
 蝶や蛾は彼女の身体にとまり、卵を産み付けていく…。

・「恐怖実験室 第15夜」
「第一話 怪奇幻想館」
 夏海と小雪は東町中学校の生徒。
 下校中、二人は「怪奇幻想館」というお化け屋敷を目にする。
 入場料はたったの百円。
 二人はお金を払い、エスカレーターで地下に向かう。
 地下は水路になっており、順路に従って進むと、奇妙な図書室や墓場がある。
 突き当りは鉄格子があり、そこには小さな象やワニがいた。
 可愛らしい外見とは裏腹に、象やワニは人間を食べ、小雪は幾つものワニに吸い付かれ、呑み込まれていく。
 夏海は小雪を見捨てて、鉄格子を登り、上の窓から脱出するのだが…。
「第二話 英理子」
 西岡中学校。
 真美と英理子は大の親友。
 二人は翌日の放課後、買い物に行く約束をしていた。
 だが、当日の朝、英理子は遅れて学校にやって来る。
 彼女は真美を呼び出し、今日は買い物に行けないとだけ告げ、立ち去ろうとする。
 英理子の顔の右半分は包帯で覆われていた。
 真美は、詳しいことを知ろうと、英理子の手を握り、引き留める。
 すると、真美の手に奇妙なできものが広がっていく。
 同じできものは英理子の顔半分を覆っていた。
 真美はできものを移されたことで英理子をなじるのだが…。
「第三話 死神」
 美川蛍は聖メリア中学校の生徒。
 彼女に早瀬直斗という彼氏ができるが、彼はとびきりの美少年。
 蛍は彼を姉に紹介するが、一つ心配事があった。
 姉は美人で、しかも、昔から妹のものをよく奪う。
 彼女の不安が的中したのか、直斗は姉と二人きりでよく会っているように思える。
 遂には、ある日曜日、蛍は姉と直斗が買い物している場面を目撃する。
 嘆く彼女に謎の男が「死神」を紹介する。
 それは男のミイラで、願い事を唱えた後、生き血を一滴垂らせばよい。
 蛍は姉の死を願うのだが…。

 「ドクター魔神」シリーズはバッド・エンドの嵐なのですが、「怜子」は普通にいい話で、ちょっとのけぞりました。
 また、「英理子」もブツブツはモ〜レツに気持ち悪いのですが、不思議な味わいです。

・備考
 あちらこちらの折れあり。

2023年9月28・29日 ページ作成・執筆

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