御茶漬海苔「恐怖実験室C」(1996年4月10日初版発行)

・「恐怖実験室 第16夜」
「ドクター魔神 カルテF 美知世」
 徳川中学校。
 菊乃と美知世は親友同士。
 だが、美知世は玲央先輩に報われない恋をする。
 ある夜、美知世は校舎の屋上から飛び降り自殺を図り、身体がバラバラになる。
 謎の男に紹介され、菊乃はドクター魔神のもとに美知世の身体を運ぶ。
 幸い脳は生きており、破損した部分を菊乃の身体で補えば、美知世は生き返ることができる。
 菊乃は片腕・片足・片目を差し出し、手術は成功、美知世は甦る。
 しかし、美知世は玲央先輩への想いをあきらめることはできず…。

・「恐怖実験室 第17夜」
「第一話 ドクター魔神 カルテG バレリーナ」
 私立バレエ学園。
 緑川英里奈は、元・バレリーナの母親から強制的にバレエを習わせられていた。
 だが、彼女にはバレエの才能はなく、母親への恐怖からますます委縮し、失敗を重ねる。
 国立バレエ団へのオーディションを控えたある晩、彼女は謎の男からドクター魔神を紹介される。
 彼女はドクター魔人の屋敷を訪れ、世界中のバレリーナの手足が保存されている部屋に案内される。
 ドクター魔神は「世界一のバレリーナになると言われた14歳の少女の手足」を英里奈の手足に付け替える。
 この少女は踊りたいという欲求が強く、ある惨劇で死んでしまったというのだが…。
「第二話 鏡のハリガネ」
 中学生の大野由貴は朝、鏡を見ると、左目の下から針金のようなものが出ているのに気づく。
 不思議なことに、この針金は彼女にしか見えなかった。
 とは言え、気になって仕方なく、トイレで針金を抜こうとしたら、神経に障ったように痛む。
 彼女は家に帰って、この針金をペンチで切ろうとするのだが…。

・「恐怖実験室 第18夜」
「おばあちゃん」
 木田美雪はおばあちゃんっ子。
 だが、おばあちゃんは90歳で大往生を遂げる。
 葬式が済んだ夜の午前三時、彼女は祖母の助けを求める声で目を覚ます。
 彼女が墓地に行くと、墓石の下から祖母の声が聞こえる。
 墓石を動かすと、下の空間から祖母が現れ、美雪は祖母の復活を喜ぶ。
 しかし、他の死者達も蘇ってしまい…。

・「恐怖実験室 第19夜」
「第一話 ドクター魔神 カルテH 高校受験」
 進学中学校。
 日村照子は生徒会長の岸川一郎に憧れていた。
 だが、彼が進学する予定の栄光高校は照子の頭では到底受からない。
 謎の男に教えられ、照子はドクター魔神のもとを訪れる。
 魔神は照子の脳を「一番頭のいい脳」と取り換えるが、彼女の記憶を残すために、少しだけ彼女の脳みそを残す。
 その弊害とは…?
「第二話 もう一つの口」  湖川愛子はだらしない少女。
 部屋はちらかりまくりで、足の踏み場もない。
 母親に掃除するよう言われ、ブーたれていると、つまずいて、転ぶ。
 その拍子にガラスの破片が右の掌を貫通する。
 しかし、血はすぐに止まり、傷口は口のようになる。
 この口は掃除機のようにあらゆるものを吸い込んでいくのだが…。

・「恐怖実験室 第20夜」
「第一話 幻占術師ミル」
 夢夜中学校。
 今日子は英理子と森田の仲を嫉妬していた。
 ある日の放課後、今日子と英理子が歩いていると、奇妙な女占い師に呼び止められる。
 女占い師は今日子に死相が出ていると告げ、夜中に灯りを消して、鏡を覗くと、死の世界が見えると話す。
 その後、今日子は英理子を崖から突き落として殺害。
 だが、その夜…。
「第二話 傘女2」
 ある雨の日の放課後、中学校の女子生徒三人が川土手の道を歩く。
 この道は傘女が出ると言われているところで、三人のうち二人は傘女を捕まえるつもりであった。
 道を進むと、背後から傘女が現れる。
 三人は傘女に近づき、一気にとびかかろうとするのだが…。

・「恐怖実験室 第21夜」
「幻魔術師メル」
 ある雨の日、幻魔術師メルのテントを青木という女子中学生が訪れる。
 彼女は吉川という青年について知りたかったが、彼は同じクラスの山峰と相思相愛の仲であった。
 嫉妬の炎を燃やす彼女にメルは運命を変えてみるか尋ねる。
 それには、彼女の髪を燃やした灰から作った粉を山峰の食べ物にふりかけ、そして、髪の毛と生き血で編んだ紐を自分と彼の足に結べばよいのであった。
 彼女は運命を変えることができるのであろうか…?

・「不幸の携帯電話」
「森田広美はCDを万引きした帰り、川土手で携帯電話を拾う。
 ツイていると喜んだのも束の間、携帯電話に電話がかかって来る。
 かけてきた相手は広美のことを何でも知っており、親友の彩を殺せば許すと言う。
 単なる脅しと取り合わなかったが…」

 「鏡のハリガネ」「もう一つの口」「傘女2」が御茶漬海苔先生独特な奇想が冴えており、面白く思いました。
 中でも、「鏡のハリガネ」はブラック・ユーモア溢れる佳品だと思います。

2023年5月17日・9月17日 ページ作成・執筆

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