廣瀬周「淫蘭島 〜日本禁忌秘境列伝〜」(2017年11月1日初版発行)

 収録作品

・「淫蘭島」
「倉本翔は民俗学専攻の大学生。
 彼は岡島という学生を捜しに女主島を訪れる。
 女主島は別名「淫蘭島」と呼ばれ、この時期、島の女性が男性を求めるという噂があった。
 旅館で聞いたところ、岡島は網元である塔島の屋敷にいたが、塔島の女主人は彼は数日、逗留した後、帰ったと話す。
 何の収穫もなく、翔が帰ろうとした時、瑞姫という娘に声をかけられる。
 瑞姫も翔と同じく、この島への観光客であった。
 彼女はこの島には女性ばかりだと指摘し、更に、この島の女性達は男性の1.7倍の筋力を持っており、彼女はその原因を探りに来たと明かす。
 翔はバカバカしいと思うが、翌朝、彼の泊まった旅館に塔島の女主人の死体があった。
 死体は惨たらしく、腹がばっさり引き裂かれていた。
 婦警が調査するも、本土から応援が来るのは明日とのことで、翔はもう一泊することになる。
 その夜、旅館の女将の浦上七海が彼の身体を求めてくる。
 その目的とは…?
 そして、淫蘭島の秘密とは…?」

・「竜宮村」
「翔は瑞姫に呼び出され、N県の魚舘村を訪れる。
 ここは別名「竜宮村」と呼ばれ、不老不死の村と噂されていた。
 早速、調査に出ると、村は若い人たちで賑わっていて、年寄りの姿が見えない。
 村長の小池幸寿によると、ここの温泉には若返り効果があり、そのせいだと言う。
 旅館に戻り、翔は川・池・井戸の水のサンプル採取、瑞姫は温泉を調べに行く。
 すると、ここで知り合った内田舞衣と瀬戸結奈が温泉に入るところで、瑞姫も一緒に入る。
 瑞姫は足湯だけして、部屋に戻り、翔は舞衣と結奈の部屋に酒を飲みに行くのだが…。
 この村の若返りの秘密とは…?」

・「予母都村」
「予母都村(よもつむら)は別名「ゾンビ村」と呼ばれ、死んだ人間を蘇らせて、労働者として使役しているとの噂があった。
 翔と瑞姫はそこに向かう途中、ゾンビの集団に襲われる。
 翔はどうにか神社へと逃げ込み、飲み水を捜していると、池で裸の娘が水浴びをしていた。
 彼女に銭剣を投げつけられたことから、翔は彼女と祝言を上げることとなる。
 彼女は遊佐綾目という名で、この神社の神主であった。
 彼女が教えてくれたところによると、翔を襲ったゾンビは「饗屍(きょうし)」といい、冥環寺の和尚により術がかけられていた。
 「饗屍」は「屍吸粉」を使って魂を奪われた死体で、これに襲われた人は仮死状態になり、和尚に施術されると同じく饗屍になってしまう。
 和尚に囚われた瑞姫を助けるため、翔は綾目と契りを結び、この村に一生いることを約束するのだが…。
 瑞姫の運命は…?」

・「エピローグ 予母都村…その続き」
 一言で言うと、まあ、その、ヤッてます…。
(「チャンピオン クロス」2017年7月〜8月掲載)

 「大巨蟲列島」で作画を担当されている廣瀬周先生。
 先生の資質のためか、「大巨蟲列島」は前作の「巨蟲列島」に較べてエロが三倍満になってますが、この単行本もエロ多めです。
 でも、内容的にはミステリー仕立てのストーリーをほどよくまとめており、なかなか面白いです。
 個人的なお気に入りは「予母都村」。
 これに出てくるゾンビがもろ「キ※※シー」で、小学生時分にはまっていた身としてはとても懐かしかったです。
 「額にお札」だけでなく、「銭剣」「息を止めると気づかれない」「鶏の血を混ぜた墨」といったトリビアまで押さえていて、唸らされました。
 廣瀬周先生も「霊※※士」とかのファンだったのでしょうか?

2024年1月8・10日 ページ作成・執筆

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