古賀新一「魔女黒井ミサ」(1982年11月5日初版発行)

・「第1話 復讐」
「ミサは、通りで急な熱を出した女性を助け、黒井医院に連れて行く。
 女性は盲腸炎で、手術により全快。
 だが、彼女は、遺産目当ての兄弟達に命を狙われていた。
 一方、彼女の美しさに心奪われた院長は、人体に影響がない程度に腸を大目に切り取っていた。
 彼が、彼女の腸を丹精込めて世話すると…」

・「第2話 死を予言された男」
「毎夜、霊柩車の幻を視る青年。
 彼は死の予感に怯えるが、身体は健康そのもの、また、彼に恨みを抱く人間もいない。
 しかし、黒井ミサは、ある女性の絵を見せ、彼女には絶対近づかないよう警告する。
 ある日、彼がビルの屋上のビアガーデンで飲んでいると、彼はビールをおごられる。
 その人物こそ、ミサが警告した女性であった。
 彼女は彼にお礼をしたいと言うが、その理由とは…?
 そして、彼の運命は…?」

・「第3話 悪霊人形」
「ミサはクラスメートの勇作に告白されるが、自分は魔女だからと断る。
 帰り道、二人が、ふと見かけた古道具屋に入ってみると、そこに悪魔アストロトの人形があった。
 慌てて店を出るも、その後、勇作は行方不明となる。
 一週間も経った頃、勇作から連絡があり、ミサは深夜喫茶に呼び出される。
 そこで、彼は、右手と左手がそれぞれ意志を持ち、互いに喧嘩をすると話す。
 しかも、それには、あの悪魔の人形が絡んでいた…」

・「第4話 死霊の唄」
「ミサが転校した高校は恐ろしく陰気な学校で、一週間経つのに、クラスメート達となじめないまま。
 唯一、数学の女教師、桜田先生はその美しさで明るさをもたらす。
 だが、彼女はグロテスクな虫を集めており、その理由がわからない。
 また、彼女は周囲の影響を特に受けやすいという奇妙な癖があった。
 ある時、ミサはクラスメート達の関心を惹こうと、「クシャ顔」をする。
 ちょうどその場に現れた桜田先生は、ミサのクシャ顔にひきずられて、顔面が凄まじいことになる。
 教室から走り去った先生の後をミサが追うと、音楽室で奇怪な歌が聞こえ、そこで桜田先生が首を吊っていた。
 しかし、翌日、首吊り死体はなく、桜田先生は授業に現れる。
 でも、どこか様子がおかしい。
 教頭先生によると、これは呪いらしいのだが…」

・「第5話 ツキを逃がした男」
「自分の会社が倒産し、多額の借金を背負った男。
 ミサは、今夜から明日の朝にかけていいことがあると占うが、その通り、彼はゴミ箱から五百万円の札束を発見する。
 これで会社を立て直すのかと思いきや、人に渡すのが急に惜しくなり、彼はこの金で遊び倒すことを決意。
 ミサと一緒に温泉町に出かけ、派手に豪遊する。
 金が尽きた時、彼は自殺するつもりであったが、やはり、死ぬのは怖い。
 ミサは彼を崖から突き落とすも、釣り人に救助され、生還する。
 このままでは再び、借金取りに追われる生活になるので、彼は、強盗に襲われ、五百万円を奪われたと嘘をつく。
 すると、その夜、彼の家に、五百万円が投げ込まれていた。
 これに味をしめて、彼はもう一度、狂言強盗をするのだが…」

・「第6話 たたり」
「ミサには、三歳で亡くなった妹の黒井恵理がいた。
 盆の墓参りの帰り、公園で、恵理にそっくりな少女を目にする。
 少女は記憶喪失らしく、ミサは彼女を家に連れて帰る。
 少女は様子がおかしく、舌が長く伸びたり、顔が蛙のように見えたりする。
 その晩、ミサの父親はミサ達をあるレストランに行くが、そこで、少女は、鬼頭という料理人の娘、明美であることが判明する。
 それを聞き、何故か、両親は顔色を変える。
 その夜、ミサの顔にも蛙のようなデキモノができる。
 ミサと明美は、明美の父を捜して、奥谷村へと向かうのだが…」

 ちょびっと考察。
・「復讐」→「内臓フェチ」が扱われてますが、このネタは何度も使われております。「悪魔のはらわた」の影響があるように思うのですが…。
・「死を予言された男」→モーリス・ルヴェル「ある精神異常者」が元ネタ。ルヴェルは「新青年」の作家に多大な影響を与えているので、他にもあるかも。

2021年6月19日・7月1日 ページ作成・執筆

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