木々津克久
「兄妹@」(2015年4月15日初版発行)
「兄妹A」(2015年6月15日初版発行)
「兄妹B」(2015年8月15日初版発行)
「兄妹C」(2015年10月15日初版発行)
「兄妹D」(2016年1月15日初版発行)
「兄妹E」(2016年3月15日初版発行)
「兄妹F」(2016年5月15日初版発行)





単行本@(「週刊少年チャンピオン」2014年51号〜2015年7号)
・「第1話 再会とはじまり」
 赤木蛍は赤木家の大黒柱。
 裕福ではないのに大所帯で、父親は町工場、母親は夜の仕事で忙しく、弟妹達(和也・節・四か月の舞)の世話は蛍の仕事であった。
 彼女には圭一という兄がおり、彼は誠実かつ裏表のない性格で、正義感の強い警察官であったが、二年前、謎の失踪を遂げる。
 警察は自殺扱いとしたものの、赤木一家は彼の生存を信じ、いまだに行方を捜していた。
 だが、蛍だけは兄がどうなったのか知っている。
 何故なら、彼女のそばには骸骨化した兄の幽霊がいるからであった。
 彼はいまだ警察官のつもりであったが、失踪前後の記憶は失われていた…。
・「第2話 もう一つの兄妹」
 蛍は、ミッション系名門校の聖マルス学園に入学する。
 彼女はコツコツ勉強をして推薦を取ったのであった。
 入学式の日、蛍に付いて来た圭一は血まみれの少女を目にする。
 兄に頼まれ、蛍はその少女に接近し、知り合いになる。
 彼女の名は「志田りか」で、兄のことを忌み嫌っていた。
 彼女の友人によると、兄は重度のオタクで、彼女のことを家庭内でストーキングしていると話していた。
 圭一は志田家を直に調査するが…。
・「第3話 もう一つの兄妹2」
 両親が留守ということで、志田りかは蛍に家に来るよう頼まれる。
 しかし、彼女に関しての情報を得れば得る程、疑念は深まるばかりであった。
 圭一に止められるものの、結局、蛍は彼と共に志田家を訪れる。
 志田りかが血まみれになった理由とは…?
・「第4話 恐喝王」
 新学期初日に蛍は眼鏡をかけ、そばかすの男子生徒に誤ってお茶をかけてしまう。
 その男子生徒は一年F組の見場創太で、後で蛍に声をかけ、学校を案内してくれる。
 創太には良くない噂があり、彼のクラスメートは皆、彼に逆らえないという。
 しかし、そんな風には見えず、蛍は彼と幾度か付き合うのだが…。
・「第5話 恐喝王2」
 見場創太の正体が明らかとなり、蛍は窮地に陥る。
 このままでは特待生の境遇を受けることができない。
 蛍は創太に関し、聞き込みを開始し、圭一は彼を尾行して、その行動をチェックする。
 創太は想像以上に危険な相手であったが…。
・「第6話 恐喝王3」
 「汚い手」には「汚い手」。
 蛍は志田りかと担任の塞田康平に協力を仰ぎ、創太を罠にかけようとする。
 計画は順調に進んでいるように見えたが、圭一は胸騒ぎを抑えることができない。
 それは離れたところで何度も見かけた「巨大な眼を持った人影」のせいらしい…。
・「第7話 恐喝王4」
 創太の悪賢さは蛍の想像以上であった。
 人気のない場所に連れてこられ、両手には手錠をはめられ、蛍は絶体絶命。
 だが、創太の武器が彼にとって諸刃の刃となる。
 そこに兄が「巨大な眼を持った人影」と共に現れる。
 「巨大な眼を持った人影」の正体とは…?

単行本A(「週刊少年チャンピオン」2015年8号〜16号)
・「第8話 兄の死のナゾ」  あるきっかけで、蛍は兄の後頭部に陥没した痕を発見する。
 兄はもしかすると何者かに殴られて、殺されたのかもしれない。
 兄にその日のことを尋ねると、11人の男が訪ねてきたことを思い出す。
 しかも、その男達の一人は獣だと言う。
 兄の言葉に混乱しながらも、彼女は怒涛の日常生活をこなさなければならない。
 そんな時、ふと蛍は自分が普通なら見えないものが形を持って見えることに気付く…。
・「第9話 初恋と殺人装置」
 蛍の父親の経営する町工場は倒産の大ピンチ。
 と言うのも、会計士の実山隆生が資金を持ち逃げし、行方不明になったからであった。
 それだけでなく、実山が蛍の母親と仲の良かったという噂を聞き、事態はますます不穏さを増す。
 実山会計事務所では、金を持ち逃げされた被害者が集まって、大騒動。
 そこに実山から電話があり、「これから私は責任をとる」と告げるのだが…。
・「第10話 初恋と殺人装置2」
 圭一は幽霊の身をいかし、実山のマンションの部屋に侵入する。
 そこでは、意識不明の実山が首吊り機械にかけられつつあった。
 圭一はそれを目前としながらも、なす術はなく…。
 一方、部屋の外で蛍は同じクラスの緑川楓に見つかってしまう。
 緑川楓は警察の家系を持つ探偵少女であった…。
・「第11話 初恋と殺人装置3」
 蛍の幼なじみの真島真一の協力もあり、蛍は実山殺しの犯人を突き止める。
 警察に連絡し、後は任せようとするも、緑川楓が犯人と鉢合わせしているのではないかと考え、マンションに戻る。(ちなみに、楓がマンションの部屋に何故入れたのか、何回読んでも、よくわからない。最初から鍵が開いていたのか、犯人の後について入ったのか?)
 蛍と圭一は楓を救うことができるのであろうか…?
・「第12話 探偵女と病院と殺人」
 先日の件で、蛍は緑川楓にすっかり目を付けられてしまう。
 ある日、学校から帰宅途中、圭一は猫が大勢集まって鳴いているのを不審に思い、様子を見に行く。
 その猫は一つ目で「悪運」が形を持ったものであった。
 鳴き声が聞こえる先には廃病院があり、「204号室」に男の刺殺体が…。
・「第13話 探偵女と病院と殺人2」
 蛍も廃病院に行き、死体を発見する。
 間の悪いことに、そこに緑川楓も現れ、蛍に詰め寄る。(蛍は楓をまいたんじゃなかったの?)
 蛍は自分も少女探偵をやっていると嘘をつき、そのせいで、事件を解決しなければならなくなる。
 死体の身元は末為良則(38歳)、場津間高校の教師であった。
 死因は腹部をナイフで刺されたことによる出血多量。
 圭一によると、末為はかなりの麻薬の常習者だったようだが…。
 そして、もう一つの手がかりは、どこからか聞こえてきた口笛…。
・「第14話 探偵女と病院と殺人3」
 蛍は調査を進め、末為についての情報を集める。
 彼は合成ドラッグを作り、生徒達と閉鎖的なコミュニティを形成していたらしい。
 ただ一つ気になるのは圭一の聞いた「口笛」で、夜、再び病院を訪れる。
 蛍は死体を発見した204号室のベッドの上に、謎の女性の幽霊を視る。
 彼女について知るため、蛍はその病院の関係者とコンタクトを取る。
 あの女性と場津間高校のつながりとは…?
・「第15話 探偵女と病院と殺人4」
 蛍と圭一は204号室で末為の幽霊と対峙し、ここで何が起こったか聞かされる。
 この事件の根底にあるのはある女性のした「約束」であった。
 「約束」は果たされるのか…?
・「第16話 桐島静香の秘密」
 ある日、蛍はコンサートを訪れる。
 その会場の別の場所で、第63期警視庁壮行会が行われていた。
 その中に桐島静香というキャリア組の女性がおり、彼女は蛍に声をかける。
 静香は圭一の同期で、一時期、彼と付き合っていた。
 蛍は彼女に頼み、情報収集のため、壮行会に潜り込む。
 その最中、密室で静香が心臓麻痺を起こした状態で発見される。
 応急処置が早かったため、一命は取り留めたものの、その部屋には彼女と共に黒づくめの男が入ったとの目撃情報があり…。

単行本B(「週刊少年チャンピオン」2015年17号〜26号)
・「第17話 桐島静香の秘密2」
 密室から消えた黒づくめの男。
 ものものしい確認作業が行われるが、黒づくめの男は発見されず、また、鑑識も静香が倒れた部屋には他の人物のいた形跡を見つけることができなかった。
 調べを進めるうちに、蛍は彼女と南具署の大島という男性しかその男を目撃していないことに気付く。
 ことをはっきりさせるため、蛍と圭一が静香の運ばれた米城警察病院に向かうと…。
・「第18話 桐島静香の秘密3」
 静香の病室の前で、蛍は黒づくめの男と出会う。
 その正体を知るも、蛍にとって静香は兄の情報を握る貴重な存在であった。
 彼女を救うため、蛍は黒づくめの男とある賭けをする…。
・「第19話 消える人々」
 桐島静香から聞いた、圭一の立てた仮説。
 それは「東京で頻発する行方不明事件の未捜査案件」についてで、「そのうちのいくつかには関連性がある」節があった。
 彼は失踪した友人について個人的に調べるうちに、あるカメラ映像におかしなところがあることに気付く。
 その映像は公園のカメラのもので、フードをかぶった男と他の人間が展望台に向かうが、戻る時にはフードの男の姿しかない。
 同じような映像が五回確認されただけでなく、別のカメラ映像にもフードの男が映っており、状況は同じであった。
 しかも、フードの男と一緒にいた人達は行方不明者リストに載っており…。
・「第20話 怪物のセオリー」
 圭一は町中で「見るからに怪物のようなもの」と「それにつき従う人間」を目にする。
 怪物の後を尾行し、そのアパートの部屋に忍び込むと、何人ものバラバラ死体が入ったゴミ袋が置かれていた。
 その話を聞き、蛍は緑川楓にその住人の調査を依頼した後、自らもそのアパートへと向かう。
 だが、彼女に目に見えたものとは…?
・「第21話 怪物のセオリー2」
 犯人の襲われるも、圭一により蛍は危機を脱する。
 その場に残されたのは、圭一が撃ち落とした。、怪物の右腕。
 次の犠牲者を出さないためにも、この腕を利用して、蛍は犯人をおびき出す…。
・「第22話 高い塔の男」
 聖マルス学園のシンボルである教会の鐘楼。
 この塔のタワリングに挑戦する者がたまに現れるが、ある日の朝、冒険部の千葉(二年生)が三年ぶりに挑戦する。
 彼は鐘楼の裏側を登って行き、頂上に到達するも、皆の声援にこたえて顔を出した時に墜落して死亡する。
 単なる事故と思われたが、圭一は登る時と落下した時の靴が違うことが引っかかると話す。
 蛍は調査を開始するが…。
・「第23話 高い塔の男2」
 蛍は歴代のタワリング成功者のことが気になり、新聞部で調べる。
 成功者は五人で五島洋太郎、町高慎二、守安功次郎、木谷悟志、一ノ瀬哲太で、皆、卒業生であった。
 靴についても調べているうちに、千葉の履いていた靴がサークルスポンサーのメーカーのものでないことに気付く。
 それがある人物へとつながり…。
・「第24話 高い塔の男3」
 恐らく、原因は塔の上にあると蛍は考える。(数年前の地震のため、塔は出入不可能。)
 日の暮れた後、蛍は鐘楼の頂上を目指すが…。
 そこで彼女が見たものとは…?
・「第25話 鬼のいる村」
 蛍は桐島静香が圭一の上司だった山木巡査長に連絡しようとしていることを知り、ある村を訪れる。
 その村の交番に山木巡査長は勤めているはずであった。
 しかし、村は幼稚園帰りの子供が行方不明になって、交番には誰もいなかった。
 蛍が途方に暮れていると、森の中から手が伸びて来る。  その先には「オンミヤ」と呼ばれる巨大な岩があった…。

単行本C(「週刊少年チャンピオン」2015年27号〜35号)
・「第26話 鬼のいる村2」
 オンミヤから子供らしき骨が出て来て、蛍は犯人扱いされる。
 山木巡査長も村の人々もあからさまに様子がおかしい。
 しかも、圭一は蛍が頭から血を流し、炎に包まれるビジョンを視る…。
・「第27話 鬼のいる村3」
 村からの脱出を図るも、蛍は村人達に追いつめられる。
 蛍は車で運ばれるが、圭一は車をすり抜けて置き去りにされ、蛍は孤立無援。
 オンミヤに連れて行かれた蛍は村人達の頭に触手のようなものが差し込まれていることに気付く。
 そのクモの糸のようなものは遺跡から伸びているのだが…。
・「第28話 鬼のいる村4」
 「魔女裁判」にかけられ、蛍は絶体絶命。
 そこに圭一が駆けつけ、「神」と対決する。
 圭一に「神」の記憶が流れ込むが、その正体とは…?
・「第29話 十二人委員」
 一段落済んだ後、蛍は山木巡査長からある秘密を打ち明けられる。
 それは圭一が「十二人委員」に所属しているのでは?という疑惑であった。
 「十二人委員」とは戦後、一人の若手警察官僚が各分野から仲間を集めて結成したもので、目的は法で裁けない悪人を抹殺すること。
 これに関しては警察内部でもタブーで、伝説的な存在のため、詳しいことは全くわからない。
 ただ、最近、これがまた復活したという噂があった…。
・「第30話 謎の桃園」
 登校時、蛍は妙な気配を発する女子生徒を目にする。
 彼女は二年の桃園霧子、眉目秀麗、学業優秀、更に、上品な元貴族のお嬢様だという。
 蛍は彼女のことが気になり、また、圭一も彼女のクラスに偵察に出かける。
 だが、この日に限って、何故か蛍は全校の生徒達に異常なほどモテモテで…」
・「第31話 謎の桃園2」
 全校生徒に追っかけられ、蛍は体育用具室に身を隠す。
 何が起こっているのか訝っていると、頭に矢らしきものが刺さっていることに気付く。
 この矢は一体何なのか…?
 そして、彼女をこの騒動に巻き込んだのは誰…?
・「第32話 節の反抗期」
 次女の節は父親の膝の上に乗って、一緒にテレビを観るほど、甘えんぼ。
 だが、最近、妙にツッパって、笑顔もほとんど見せず、態度がよそよそしい。
 一見反抗期っぽいが、蛍は節が巻き込まれやすい体質であることを心配して、圭一が小学校での生活を監視することとなる。
 小学校での節は実に健全で、特に変わった様子がない。
 蛍は家庭に原因があるのかも?と考えるが…。
・「第33話 崖の下の呪い家」
 圭一が失踪事件に関心を持つことになった展望台。
 蛍と圭一はそこに行き、崖下に家があることに気付く。
 ここなら人を崖から突き落とし、下の家で処理することも可能であった。
 圭一は幽霊の身を利用して、展望台からその家の庭に飛び降りる。
 しかし、圭一はそのまま姿を消してしまう。
 兄の行方を調べるため、蛍は緑川楓の協力を仰ぎ、その家に入る。
 不動産屋によると、その家の前の持ち主はエリート官僚の鏡二郎で、空家になって一年経っていた。
 蛍がその家の中で視たものとは…?
・「第34話 崖の下の呪い家2」
 圭一に助けられ、蛍と楓はその家から命からがら脱出。
 しかし、楓は家の操る異形に憑かれてしまっていた。
 このままでは楓の身が危険が及ぶが、そこに桃園霧子が現れる。
 蛍は桃園霧子の手を借りようとするが…。

単行本D(「週刊少年チャンピオン」2015年36+37号〜45号)
・「第35話 崖の下の呪い家3」
 蛍はあの手この手で桃園霧子を挑発するも、相手ももさるもの、蛍の考えの一つ上を行く。
 そこで、蛍は強硬手段に打って出る。
 彼女はあの家に向かうが、そこでは取り壊し作業が行われようとしていた…。
・「第36話 緑川楓の誤算」
 蛍の出現以来、緑川楓はスランプ気味であった。
 ある日、彼女は占い館を訪ね、「ジュエル」という占い師と会う。
 彼女は事件を予告する紙を楓に渡し、それで楓は次々と犯罪者を捕まえ、探偵女子高生として有名となる。
 だが、次の予告された犯罪現場に行くと、女性の刺殺体を発見。
 しかも、凶器には楓の指紋、現場には彼女の痕跡しかなく、彼女は第一容疑者に…。
・「第37話 緑川楓の誤算2」
 楓に泣きつかれ、蛍と圭一は事件の解決に乗り出す。
 どう考えても怪しいのが占い師で、蛍はその占い館を訪れる。
 占い師の指名は券売機で買うことになっているが、「ジュエル」を押しても、楓が言っていたのとは違う部屋番が出る。
 そこで楓の行った部屋番「Hー5」を指名すると、「カラスアゲハ」という占い師の部屋に通される。
 この「カラスアゲハ」こそ楓が会っていた占い師で間違いないようだが、この占い師には特殊な能力があった。
 蛍は楓の無罪を証明できるのであろうか…?
・「第38話 騙された死神」
 死神の次のターゲットは丹波七郎(35歳/スマホ・ショップ店員)。
 仕事の後、七郎は死神から余命は三時間だと教えられる。
 女性と付き合ったことがないと嘆く彼に、死神は童貞を捨てるまで猶予してくれる。
 七郎はそれを利用して、死から逃れようと企むが、姪の真利奈が彼の代わりにされてしまい…。
・「第39話 恋する桃園」
 蛍は楓から浮気調査を依頼される。
 相手は二年の東条春道で、その日の朝、古のラブコメのように蛍は彼と曲がり角でぶつかっていた。
 蛍が彼に突撃インタビューをしたところ、どうやら浮気の可能性が濃厚。
 後は圭一に調べてもらおうと思っていたら、依頼主はあの桃園霧子であった。
 やがて事態は思わぬ方向に…。
・「第40話 フックマン」
 マルス学園と提携する学校(城町西高、領内高、東池高)との交流会。
 出席者は皆、成績上位者で、マルス学園からは創、野間と特待生の蛍が参加する。
 会の最中、圭一は奇妙な霊を目撃する。
 その霊はコート、帽子、マフラーに身を包み、右手にはフックが付いていた。
 霊は城町西高きっての秀才、能美功次の背後におり、圭一に気付くと、姿を消す。
 会合の後、蛍が彼に話しかけると、彼は自分がこの会合に出る資格はないと思っているらしく、非常に控えめな態度であった。
 だが、会合から帰宅途中、会に参加した女子生徒が何者かに襲われる。
 彼女は背中をフックのようなもので切り裂かれていた…。
・「第41話 フックマン2」
 交流会に参加した生徒たちが同様の手口で次々と襲われる。
 恐慌を来した生徒達は公園に集まり、今後のことを相談。
 その時、蛍は能美の姿がないことに気付く。
 城町西高からは彼しか参加していなかったため、事件のことを知らない可能性があり、蛍は彼の家を訪ねようとする。
 彼が住んでいる町止地区は過去、何か事件があったようなのだが…。
・「第42話 フックマン3」
 蛍と圭一はカギ爪の悪霊の正体を突き止める。
 そして、その悪霊は町止地区で起こった惨事と関係があった。
 圭一は悪霊と対決するも、悪霊の本体は別にあるらしく、銃が効かない。
 悪霊の力の源とは…?
・「第43話 緑川楓の冒険」
 フックマン事件に巻き込まれたことから、緑川楓は行方不明中の殺人犯に興味を持つ。
 そこで、その殺人犯が昔、常連だった飲み屋を訪れ、彼の飲み仲間に会おうとする。
 飲み屋の手伝いをさせられながらも、その飲み仲間からようやく情報を得る。
 更に、彼が行方不明になる直前、どこに行ったか知っている人も現れるが…。

単行本E(「週刊少年チャンピオン」2015年46号〜2016年2+3号)
・「第44話 母の父」
 蛍の母の父親は認知症で、老人ホームに入っていた。
 ある日、父親は意識不明になり、蛍たちは家族で面会に行く。
 彼女には姉が二人いたが、彼女達は父親に好意を抱いていなかった。  父親の死後、母親と姉二人は口論になる。
 この場を収めに来たのは…。
・「第45話 ザ・ボディガード」
 郷里良子は美人で心優しい娘さん。
 ある日、老婆に親切したところ、その写真がネットに上げられ、大きな話題になる。
 それにつれて、彼女の周囲ではストーカーまがいの行動が急増。
 彼女は緑川楓に助けを求め、蛍も楓の協力をすることとなる。
 だが、腕力に自信がなく、ここは男手が欲しいところ。
 そこで蛍が目に付けたのは謎の格闘マニア、黄多川礼であった…。
・「第46話 ザ・ボディガード2」
 蛍、楓、礼の三人は郷里良子をボディガードしながら下校する。
 ネットの掲示板では良子を拉致しようとする計画が書き込みされていた。
 どうやら良子が狙われる原因となっているのは、スマホから現れるヒモのような寄生虫のせいらしい。
 圭一はそれを引っ張り出そうとして、逆にスマホの中に引きずり込まれてしまう。
 更に、蛍たちはストーカー集団に取り囲まれ…。
・「第47話 ミステリアスな死」
 あるタワーマンションでの不可解な事件。
 被害者は赤沼茂樹(28歳)で、額に22口径の銃弾を受け、屋上から墜落する。
 第一の謎は彼はマンションの住人でなく、更に、屋上は外側から鍵が壊されて、出入りができないこと。
 そして、第二の謎は凶器の拳銃が見当たらないことであった。
 緑川楓に誘われて、蛍と圭一も独自に調査を開始する。
 まず、圭一は赤沼の霊とのコンタクトを図るが、何故か、赤沼は接触をかたくなに拒む。
 調べるうちに、赤沼は服部大学の研究生で、優秀であったが、非常に影が薄い人物であった。
 彼には広重将美という同期がいて、名のある科学者であったが、彼の家の近くから凶器が発見され、しかも、彼の指紋が付いていた。
 しかし、蛍はある動画から赤沼の死の真相を解き明かす…。
・「第48話 オバケの出る公園」
 元木公園にオバケが出るという噂が立つ。
 夜、圭一が見回りにに行くと、女性が倒れているのを発見する。
 その女性は首筋から血を流しており、何かに襲われたらしい。
 そこで、蛍は桃園霧子をどうにかこうにか公園に誘い出し、オバケが現れるのを待つ。
 二人はそこで長い時間待つが…。
 オバケの正体とは…?
・「第49話 捏造怪談」
 あるお寺での町内子供キモだめし大会。
 メインの肝試しの前に、怪談を話すのだが、担当者が遅れて来ない。
 そこで、蛍はネットで怪談を漁り、怪談をでっちあげる。
 それは「この寺の墓にでる幽霊は腕が七本頭が三つで、見た人間を時速百キロのスピードを追いかけるが、捕まっても、『裁判費用はこちらが持つ』と言えば消える」というものであった。
 しかし、肝試しの最中、ある少年が蛍の話したオバケを目撃する。
 蛍がその目撃場所に向かうと、女性の死体が…。
・「第50話 捏造怪談2」
 少年以外にも、肝試しに参加した少女の寝床に蛍のオバケが現れたという。
 理由はわからないが、オバケは蛍が話した内容を忠実になぞっていた。
 更に、オバケの顔は殺された女性(奥宮サキ・27歳)の顔だったという。
 彼女は独身で、荒井忠良、君近良雄という男性と交際していた。
 圭一は墓場で逃げる男を目撃しており、どちらかが犯人のようなのだが…。
 オバケの正体とは…?
・「第51話 霊感少年と黄多川礼の事情」
 C組で話題になっている霊感少年、紫水宗徳。
 彼は事故を予言して、それを当てたという。
 その彼に関して、蛍は黄多川礼から相談を受ける。
 礼の武道の師匠である伯父が原因不明の病気で倒れ、入院するが、彼の周りに黒いモヤのようなものが視えるのであった。
 蛍は礼に付き添い、紫水宗徳と会うのだが…。
・「第52話 黄多川達也を救え!」
 蛍は礼の伯父、黄多川達也の見舞いに行く。
 その黒いモヤは行方不明者たちで、彼はどうやら「十二人委員」と何らかの関係があるらしい。
 しかし、話を聞こうにも、意識はなく、更に、容体が急変し、猶予がなくなる。
 黄多川達也を救うにはあの人の手を借りるしかなく、蛍は大胆かつ危険すぎる手段に打って出る…。

単行本F(「週刊少年チャンピオン」2016年4+5号〜13号)
・「第53話 十二人委員への糸口」
 蛍の作戦が功を奏し、黄多川達也は順調に回復する。
 圭一は彼について、十二人委員と接触しているかどうかを探るが、その様子はない。
 ある日、蛍は黄多川礼と共に病院に見舞いに行った帰り、病院からフードの男が出てくるのを目にする。
 彼女はフードの男を尾行するのだが…。
・「第54話 赤木蛍裁判」
 翌日、蛍は黄多川礼に理科室に呼び出される。
 礼にフードの男について聞かれ、緑川楓をだしにして言い逃れをしようとしたところ、その楓が理科室に現れる。
 楓もフードの男に興味を持っていた(第43話参照)。
 蛍は一旦逃げて、態勢を立て直そうとするも、桃園霧子までもがこの場に乱入。
 皆に事情を説明するよう詰め寄られ、窮地に陥った蛍に思わぬ助けが現れる。
 それは学校一の天才、青葉真琴であった…。
・「第55話 12対5」
 青葉真琴の取りなしにより、蛍は全てを四人に打ち明ける。
 整理するための時間を取り、放課後、彼女達はもう一度理科室に集まる。
 そこで青葉真琴は提案したのは、蛍のことを検証する意味を含めて、彼女達四人も圭一の謎を解く手伝いをするというものであった…。
・「第56話 フードの男の正体」
 彼女達は各自、自分にできることを考え、行動を開始する。
 その中で、楓には圭一の警察内部での交友関係の調査するよう真琴から指示がある。
 圭一の同僚に聞き込みをすると、圭一には子供の頃からの親友がいて、同じ警察官に進むんだが、彼は事故か何かで亡くなったという。
 その彼と蛍は昔、会ったことがあるのだが…。
・「第57話 黄多川礼対黄多川達也」
 礼は十二人委員への件で達也に勝負を挑む。
 この勝負の行方は…?
 また、達也と十二人委員の関係は…?
 一方、緑川楓は恐るべき事実を発見し、自身の存在意義が揺らぐほどの衝撃を受けていた…。
・「第58話 鏡二郎との対決」
 桃園家は代々政治につながる占いをやって来た家系であった。
 真琴はそれを利用して、桐子に巫女の格好をさせ、鏡二郎(崖下の家の元・持ち主)に会わせる。
 真琴と蛍は別室に控え、髪の毛に隠したカメラ付きヘッドセットを用い、逐一、霧子に指示を出す。
 真琴は十二人委員のことを臭わせ、鏡二郎に揺さぶりをかけるが、彼のバックには黒い影が憑いていた。
 その影はどんどん増えていき…。
 一方、圭一は楓の様子がおかしいことに気付き、彼女のそばにつく。
 礼も楓の異変を察し、学校の屋上で話を聞くのだが…。
・「第59話 十二人委員の正体」
 緑川楓のジレンマ。
 桃園霧子と鏡二郎の対決。
 様々なことが明らかになる中、蛍は目が見えなくなるトラブルが発生する。
 彼女は十二人委員のうちの一人が経営する病院に行くのだが…。
・「第60話 兄の行方」
 この病院にフードの男がいる可能性が高い。
 目の見えない蛍を待合室で休ませ、真琴、霧子、礼は各自、病室を調べる。
 遅れてやって来た緑川楓により、遂にフードの男の詳細と居場所が暴かれる。
 一方、蛍はドクロのヘアピンが割れていることに気付く。
 このヘアピンは兄の親友に買ってもらったもので、これを付けてから、彼女はおかしなものを視るようになったのだが…。
・「最終話 大団円と新しいはじまり」
 圭一の手により全ての決着がつけられる。
 全てが一段落し、落ち着いた頃、蛍たち五人は…。

 要領のいい少女、赤木蛍が警察官の兄の幽霊と共にいろんな事件を解決しつつ、兄の死の真相に迫るという「ホラー・ミステリー」です。
 事件は人外のものによって引き起こされるのがほとんどで、本格的なミステリーとは言い難いものの、実にバラエティに富んでおり、飽きさせません。
 ただ、「十二人委員」に関しては、最終巻で一気に話が進み、作者も「あとがき」に述べているように「駆け足ぎみ」なところは否めません。
 それでも、全体を通して見ると、目立つような破綻はなく、とても「きれい」に終わっており、凄いと思います。
 「ホラー」としても「ミステリー」としても「エンターテイメント」としても十分成立している作品なので、じっくり読み込む価値は大いにあります。
 ちなみに、個人的なお気に入りキャラは幼馴染の青年にベタ惚れで、その嫉妬心を蛍に利用されまくる桃園霧子です。

2023年8月7・10〜12・16・17・21日 ページ作成・執筆

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