楳図かずお「恐怖A」(1971年12月10日初版・1991年6月30日57版発行)

 収録作品
・「魔性の目」
「直美は、二学期末テストの勉強のし過ぎで、高熱を出し、失明する。
 大晦日の夜、彼女は、奇妙な老人から目をもらう夢を見る。
 その夢を見てから、彼女は視力を回復するが、彼女の目は、人の真実の姿が映るようになっていた。
 様々な人が異形に見える中、学園一の美女、えり子の顔は恐ろしく醜いものに見える。
 えり子の「真実の姿」とは…」

・「とりつかれた主役」
「みやこ高校演劇部では「地獄変」に取り組むこととなる。
 発表会当日、良秀の娘を演じる女優が急性盲腸炎で倒れ、大ピンチ。
 急遽、彼女の代役になったのは、大根扱いの中村であった。
 彼は女性のメーキャップを施され、劇に出るが、まるで女性のように振る舞い、発表会は大成功。
 会の後、ドーランを落とした中村はメーキャップをしたら、女性のような気持になったと話す。
 部員の一人が戯れに、歌舞伎のようなメーキャップを彼にすると、中村の性格が豹変。
 自分を嘲笑したと思い込み、取材に訪れていた新聞部員の新井エミ子に襲いかかる…」

・「800年目のミイラ」
「みやこ高校の女子生徒、神奈月京子は古本屋で降霊術の本を手に入れる。
 数日後の夜、図書館裏で京子は降霊会を催す。
 その際、京子に静御前の霊が憑りつく。
 京子は、新聞部の青木夏彦を義経と呼び、慕う。
 一旦は普通に戻ったものの、京子は徐々に衰弱、そして、夏彦に付きまとう…」

・「枯れ木」
「みやこ高校のグラウンドのへりにある桜の枯木。
 御神木として祀られていたが、体育館建設のために切られることになる。
 しかし、ある男性教師がこの桜を切ろうとしたところ、斧の柄が折れ、重傷を負う。
 この事故以降、桜の木を切ることを主張していた人々が次々と事故にあい、祟りの噂が広まる。
 新聞部のえみ子は祟りがあるかどうか証明するために、御神木のしめ縄を剥がすことを決行。
 ところが、御神木のしめ縄は外れて、崖下に飛ばされており、えみ子がしめ縄を手にした途端、崖が崩れ、下敷きになってしまう。
 意に反して、この事故が祟りの噂をより広めてしまうが、えみ子は、事故直前の校長を写した写真にある発見をする…」

・「孤独なヨット」
「宮下久美はみやこ高校のヨット部。
 ある夜、彼女は同じ部の聖子とヨットで沖に出る。
 二人とも、先輩の剛三に惚れており、その話し合いをするためであったが、あっさり言い争いになり、そのうちに天候が急変。
 ヨットは転覆し、泳ぎの得意な久美は、聖子を見捨てて、一人助かる。
 久美は聖子の死に責任を感じ、ヨット部をやめ、剛三に会わないように努める。
 しかし、剛三への思慕は断ち切りがたい。
 そんな時、海から聖子の幽霊が戻って来て、剛三に決して会わないよう久美を脅迫する…」

・「夜あるく者」
「夏休み、バレー部は合宿を兼ねて、キャプテン、森本花代の田舎でキャンプをする。
 夜、恒例の肝試しで、花代はこの地で起こったと伝わる怖い話をする。
 その話とは、大人しい嫁が夢遊病にかかり、墓場で土葬された死体を貪り食っていたという内容であった。
 肝試しが終わり、皆が寝静まった頃、新人部員の葉子はふと目を覚ます。
 見ると、何故か自分の両手は土塗れ、そして、口の周りには血が付いていた。
 恐る恐る墓地に出かけると、墓地には掘り返した跡があり、自分のハンカチが落ちていた。
 あの話のように、自分も夢遊病にかかったと思い込んだ葉子は決して眠らないように努めるのだが…」

・「雪山のまねき」
「御殿場スキー場。
 武内裕也は恋人の女性と心中をしに雪山に来る。
 しかし、心変わりをして、女性をクレバスに突き落とし、一人逃げ帰る。
 だが、以来、彼は暖かな部屋にいても、ひどく凍えるようになる。
 そして、彼が殺した女性が、彼を雪山に引きずり込もうと現れる…」

2018年2月6日 ページ作成・執筆

秋田書店・リストに戻る

メインページに戻る