楳図かずお「恐怖B」(1972年2月10日初版・11月30日8版発行)

 収録作品

・「みにくい人」
「みやこ高校一番の美人、阿利砂ミカと、一番の醜女の石川土子。
 二人は何故か気が合い、いつも一緒にいた。
 土子にとってミカの美しさは自分の憧れの全てであり、たまに、彼女の優しさがにくらしくてたまらない時がある。
 ある日の通学時、駅のホームで、土子は発作的にミカを電車の前に突き落としてしまう。
 ミカは、轢死はまぬがれたものの、全身打撲で、病院に運ばれる。
 面会謝絶でミカとは会えず、罪の意識に苛まされながら、土子は、今の自分から脱け出すために、整形手術を受ける。
 手術は成功し、美しい顔を得るが、喜びも束の間、顔に醜い傷を負ったミカが彼女の前に現れる。
 二人は以前のように付き合い始めるも、今までとは関係は逆転。
 そして、ミカは、ホームで自分を突き落としたのは誰か、執拗に土子に問う…」

・「サンタクロースがやってくる」
「一男は、産まれてすぐに母親を亡くし、父親は既に亡くなっていたので、祖父に育てられた。
 祖父はもと大工で、ハト笛を作っては、細々と生活を支える。
 しかし、祖父は病のために、床に臥せるようになる。
 おばの女性が祖父の面倒みるが、おばは二人に対して冷たかった。
 祖父は、おばに隠れて、おもちゃを用意し、それを皮でつくった袋に詰める。
 そして、12月25日、祖父は一男に手作りのハト笛を渡し、つらい時はこれを吹くよう告げて、この世を去る。
 祖父は、遺言に従い、革袋と共に埋葬。
 一男はおばに引き取られるが、おばは実は根は良い人で、彼は祖父のことを忘れていく。
 活発な少年時代を過ごし、大人になった今、彼は教師となり、佳司という息子もいた。
 クリスマスの夜、彼は、懐かしいハト笛の音色を聞いたような気がする。
 そして、佳司のベッドのわきには、古びたおもちゃがあった。
 佳司の周囲に、いつの間にか、古びたおもちゃは増えていくのだが…」

・「われたつり鐘」
「みやこ高校新聞部の新井エミ子は、父の実家で大晦日を迎える。
 彼女は、いとこの豊と共に、近くの寺に除夜の鐘を突きに行く。
 だが、この寺のつり鐘は割れるとよくないことが起きると言われ、誰も鳴らそうとはしなかった。
 エミ子がたわむれに鐘を突くと、鐘はものの見事にぶっ壊れてしまう。
 小さな村は正月早々、大騒動になるが、エミ子と豊は完全黙秘。
 エミ子は東京に戻るが、エミ子と豊にはこれといった禍もなく、正月を終える。
 しかし、エミ子は、あるもしない鐘の音が聞こえるようになり、奇怪なトラブルが次々と降りかかるようになる…」

・「コンドラの童話」
「小児麻痺の男の子、正は怪獣が大好きで、特に、コンドラがお気に入りであった。
 足の不自由な彼は、ある日、一人で外を出歩いて、自動車事故にあい、コンドラの人形が遺品となる。
 以来、その周辺では、夜中に車が潰されるという、原因不明の事故が相次ぐ。
 しかも、被害に遭った車はどれも「エンゼルタクシー」であった。
 新井エミ子は、正の姉のさち子の家を訪ねた際、さち子から家になにものかがいると聞かされる。
 正が死んだ日から、仏壇のある間から、何か動物のようなものが家を出入りしているらしいのだが…」

・「イヌ神つき」
「みやこ高校新聞部のエミ子と夏彦は、犬部という青年から、ほら穴を案内される。
 このほら穴は、道路工事の振動で、城跡の石垣が崩れた際に、見つかったものであった。
 その奥には、二つの棺があり、阿矢姫と記された方は空で、犬部典膳と記された方には、生きたまま、閉じ込められたと思しき男性のミイラがあった。
 更に、このミイラの周りには、人間のものではない毛が散らばっていた。
 数日後、エミ子と夏彦は犬部から電話で呼び出される。
 彼が調べた所によると、犬部典膳は、恐ろしい病気を持っており、皆から恐れられていた。
 そして、彼は、阿矢姫をむりやり自分の妻にしようとするも、阿矢姫には、青之進という許嫁がいたらしい。
 その話をしているうちに、犬部の様子がおかしくなっていく。
 犬部典膳の恐ろしい病気とは…?」

・「灰色の待合室」
「杏子は、学校の休憩時間にスッ転んで、左額にコブをつくる。
 傷が残っては困ると、病院に行くが、ようやく見つけた「中央病院」は陰気な場所であった。
 しかも、患者達も看護婦も皆、彼女を怯えた眼差しで見る。
 彼女を診察した医者は、明らかに挙動不審で、彼の治療ミスで、彼女は翌日も病院に来なければならなくなる。
 その日の三時、彼女は病院を訪れるが、患者は誰もいない。
 彼女が昨日落とした万年筆を拾おうとかがんだ時、医者と看護婦の会話が耳に入る。
 どうも、待合室には幽霊が出るという噂が流れているようなのだが…」

 とにもかくにも、「サンタクロースがやってくる」、最悪です!!
 これ、読んだ人は片端からトラウマになっているんじゃないでしょうか? そのぐらい、危険です。
 あと、「灰色の待合室」は、雰囲気で読ませる佳作です。
 ドアがしょっちゅう「ギーギー」きしっているところが味わい深く思います。

2020年7月31日 ページ作成・執筆

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