つのだじろう「恐怖新聞B」(1974年6月20日初版・1984年7月25日37版発行)

・「第七話 百物語」
「鬼形のクラスメート達が「百物語」をしようという話になる。
 参加人数は十人で、鬼形も誘われるが、さすがに断る。
 その夜、鬼形のもとに恐怖新聞が届く。
 その見出しには「百物語に死霊が?」とあり、クラスメート三人が怪我をすると書かれていた。
 翌日の夜、怪談会がたけなわの頃、鬼形が現れる。
 彼は三人が怪我をすると警告するが、級友達は逆に面白がって、百物語を続ける。
 そして、ロウソクが二本になった時…」

・「第八話 北極点の謎」
「銭湯の帰り、鬼形はエリナ松岡と再会する。
 彼女は火星に行ったはずであったが、実は地球から離れていなかったらしい。
 彼女の話によると、彼女を乗せたUFOはずっと北上して、北極あたりを飛んでいた。
 突然、黒いチリに周囲を覆われ、何も見えなくなり、視界が開けた時には、自然豊かな大地が広がっていたと言う。
 彼女の話を総合すると、どうやら地球の裏側に行ったようなのだが…。
 「地球空洞説」とは…?
 そして、地球の裏側には、UFOの基地があるのだろうか…?」

・「第九話 うらみの火が燃える」
「鬼形の住む町内で連続放火事件が起きる。
 恐怖新聞には、犯人は鬼形のクラスの誰かと書かれていた。
 五番目の放火事件が起こった際、クラスメートの戸室タカシは火事に巻き込まれ、左頬に火傷をする。
 火傷の形は女性の横顔のようで、タカシの両親はそれを見て、顔色を変える。
 しかも、放火事件の犯人を彼と疑っているらしい。
 翌日の夜、タカシは鬼形のもとに相談に訪れる。
 彼は両親の内緒話を聞いて、何かの祟りらしいと知り、霊能者を紹介してくれるよう頼む。
 鬼形はとりあえず彼を帰らせるが、新聞配達員の霊に警告され、タカシの後を追うと、彼がゴミ箱に火をつけたところであった。
 タカシが女言葉で「あたしのうらみの火を燃やしているだけよ」と言い、鬼形に殴られると、我に返る。
 鬼形が彼を両親のもとに連れて行くと、彼のせいではなく、何かにとり憑かれていると主張する。
 彼の父親は有難矢教という新興宗教の教祖に除霊を頼み、タカシと鬼形は共に修行を受けるのだが…」

・「第十話 黄金百枚」
「鬼形のクラスで埋蔵金が話題となる。
 クラスメートの日高という女子の家に、埋蔵金のありかを歌ったような歌があると聞き、彼は日高家を訪れる。
 日高家の祖先は大金持ちで子孫のために黄金をどこかに隠したと古い書付にあった。
 彼女の祖父の東一郎は隠し金の発掘に三十年も夢中になり、数年前に行方不明になる。
 鬼形がその歌を唄いながら帰っていると、東一郎の幼友達を名乗る畠山忠親という男に呼び止められる。
 彼は東一郎と一緒に隠し財宝を探していたが、東一郎が行方不明となり、記憶を頼りにずっと探し続けていた。
 そして、隠し財宝まであと一歩のところまで来ていると話し、その証拠を見せる。
 鬼形は隠し財宝探しに協力することとなるが、実際は単なる労働力で、竪穴に閉じ込められ、穴掘りをさせられる。
 だが、恐怖新聞のお陰でどうにか脱出し、畠山忠親を穴に突き落として、逃亡。
 その途中、鬼形は東一郎と出会う。
 東一郎は歌の謎を解いたと断言し、鬼形は彼に協力することとなる。
 埋蔵金の在処を示す歌の意外な解釈とは…?」

 「うらみの火が燃える」「黄金百枚」は非常によく練られたエンターテイメントで、今読んでも面白いと思います。
 特に、「うらみの火が燃える」は「恐怖新聞」でも屈指の傑作エピソードの一つです。

2022年5月24日 ページ作成・執筆

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