高階良子「ふしぎな森のマンドラゴラ」(1985年5月30日初版発行)

 収録作品

・「ふしぎな森のマンドラゴラ」(「レッツBONITA」掲載)
「かおりは、恋人の康彦を出産を理由に別の女にとられ、トランシルバニア地方へ失恋旅行に出かける。
 そこは五月祭でにぎわっており、どんな願望でも叶うと言う、伝説のマンドラゴラを耳にする。
 それを手に入れれば、恋人を取り戻せるのに…と思いつつ、彼女は森に分け入り、気が付くと、迷い込んでいた。
 そこで、彼女はガイア(大地神)へのサバトに遭遇し、生贄にされそうになる。
 しかし、彼女の強い願望により、彼女はガイアを身内に取り込む。
 彼女は森の外れで発見されるが、帰国後、康彦の妻が急死し、彼が彼女のもとに戻ってくる。
 また、彼女は妊娠を知るが、妊娠は二か月前のトランシルバニアに旅行中であった。
 十カ月後の五月、かおりは女児を出産し、メイと名付ける。
 メイは不思議な赤ん坊で、ある時、かおりはメイが植物の精気を吸い取るのを目にし、メイがガイアだと知る。
 彼女はメイを恐れ、彼女に惚れている勤め先の坂崎にメイを押し付ける。
 時が流れ、那須の山地。
 並木洋一という少年が父、祖父母と山荘を訪れる。
 森を訪れた彼は、大地にうつぶせに寝そべっている少女に出会う。
 メイと名乗る少女は、植物から取り出した生命のエキスで彼の怪我を治し、彼は彼女を「森の精」だと思う。
 だが、彼が帰宅すると、彼の父親がトリカブトで毒殺されていた。
 枯れたトリカブトを目にして、彼はメイの仕業ではないかと想像する。
 また時は流れ、彼が17歳の時、彼はメイと再会を果たすのだが…」

・「人呼谷伝説」(「レッツBONITA」掲載)
「門脇奈々(16歳)は奇妙な夢を何度も見る。
 それは、厚く霧の立ち込める、深い谷の奥から何かが彼女を呼ぶというものであった。
 ある日、学校の運動場にいると、金網の向こうから、彼女を見つめる青年がいる。
 何故か彼に引かれ、彼のもとに向かうと、彼は成瀬慶と自己紹介をして、一週間の猶予の後に、彼女を必ず迎えに来ると言う。
 何が何だかわからなかったが、帰宅後、奈々に電話がかかってくる。
 それは女性からの電話で、奈々に危険が迫っているので、成瀬慶から身を隠すよう警告する。
 女性によると、奈々は「人呼谷の悪魔」の生贄にされるらしい。
 とは言え、何ができるというわけでもなく、奈々が漫然と日々を送っていると、電話の女性が姿を現す。
 桐島麗という名の女性は、成瀬慶には「人呼谷の悪魔」が憑いており、彼の一族は人の命の犠牲の上に成り立っていると話す。
 そして、彼女を連れて行くために、彼女の家族に危害を及ぼす可能性にも言及する。
 その日、彼女の母親が歩道橋の階段から何者かに突き落とされる。
 どうにか命は助かったものの、妊娠中の赤ん坊は流産する。
 家族を守るため、彼女は成瀬慶と共に、人呼谷に行く決意をする。
 人呼谷で彼女が知る真実とは…?」

2021年11月11日 ページ作成・執筆

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