ひたか良
「お祓い探偵団@」(1995年10月10日初版発行)
「お祓い探偵団A」(1996年8月5日初版発行)

 明王寺万樹は小学生五年生の女の子。
 彼女の祖母は金にがめついが、腕は確かな祈祷師。
 そして、ボーイフレンドの真田幸太は霊感少年。
 万樹、祈祷師の祖母、真田幸太の三人が巻き込まれる騒動の数々とは…。

・@「河童の手」(単行本@)
「万樹のクラスメートの水本正夫は「河童の手」が家宝と自慢したため、学校に持ってこなければならなくなる。
 翌日は雨になるが、水本は約束にもかかわらず、登校してこない。
 しかも、彼に「河童の手」を持ってこさせようとした竹内の様子がどうもおかしい。
 態度に落ち着きがなく、河童の幻覚を二度も視る。
 実は、竹内は学校に来る途中、水本に河童の手を見せるようせがみ、そのはずみで河童の手は池に落ちてしまう。
 水本は彼を責めるが、彼は知らんふりをして、その場から逃げたのであった。
 水本が行方不明とわかり、学校は大騒動になる。
 その頃、万樹の祖母は水本の父親に河童の手を捜してくれるよう頼まれていた…」

・A「自己暗示のキューピッド!!」(単行本@)
「女子の間で流行の「キューピッドさん」を行う。
 名前は可愛いが、実際は「コックリさん」であった。
 ある日、万樹のクラスの女子が「キューピッドさん」をした際、おとなしい北川めぐみも断り切れずに参加する。
 すると、彼女の死んだ母親の「キタカワマサヨ」を名乗る霊が現れ、「ニクイコロス」「コロサレタ」と告げる。
 女の子たちはパニックを起こし、めぐみは教室から走り去る。
 万樹は帰宅後、祖母から「コックリさん」はほとんどが「自己暗示」と教えられる。
 それから、幸太と一緒に北川家にめぐみのカバンを届けに行くのだが…」

・B「人魂で銭もうけ…!?」(単行本@)
「3丁目にある火事で焼けた廃屋。
 この家はお化け屋敷で、人魂が出るという噂があった。
 万樹は興味津々で放課後、クラスメート達とその家を訪れる。
 だが、見つかったのは犬のものらしき頭蓋骨だけで、更に、地主と共に様子を見に来た祖母に捕まってしまう。
 それでも懲りない彼女はリーダー格の男子と幸太を加えた三人で夜、廃屋を探検するのだが…」

・C「鏡は異世界への入り口…!?」(単行本@)
「学校の廊下を万樹と幸太が歩いていると、突き当りの大きな鏡に二人が映る。
 ふと見ると、二人の間に見知らぬ男の子の姿がある。
 この鏡には真夜中に別世界への入り口になるという噂があった
 幸太が冗談半分で鏡に触れると、手は鏡に吸い込まれ、彼の霊魂は鏡の向こうに連れ去られる。
 そのまま彼は意識不明となり、万樹は慌てて祖母に相談する。
 二人が夕方の学校に行くと、鏡は古くなったために業者に撤去されていた。
 警備員によると、十年前にも似た事件があったというのだが…。
 この鏡が「別世界への入り口」だという噂は本当なのだろうか…?」

・D「開かずの部屋」(単行本@)
「万樹が幸太と学校のある準備室(?)に行くと、ドアの向こうから彼女を呼ぶ声が聞こえる。
 その部屋はずっと鍵のかかっている「開かずの部屋」であった。
 その声は助けを求めており、万樹がドアノブを回すと、ドアが開く。
 幸太は彼女が部屋に入る時、ドアの向こうに巨大な目を見て、すぐにドアを開けようとするが、何故か開かない。
 先生を呼び、ドアの鍵を開けてもらうものの、相変わらず閉まったままであった。
 幸太は万樹の祖母を電話で呼び出すのだが…。
 「開かずの部屋」に潜むものとは…?」

・E「桜幻想」(単行本@)
「万樹と幸太は校庭にある桜の木のあたりで若い女性の姿を何度も目にする。
 彼女はこの学校の卒業生で、卒業する時にこの桜の木の根元にタイムカプセルを埋めたと話す。
 幸太は彼女のことが妙に気になる様子で、万樹は焼きもちを焼く。
 一方、万樹の祖母は大学生達からある依頼を受けていた。
 彼らの友人に交通事故で恋人を亡くした青年がおり、彼女の霊を呼び出して、彼を慰めてほしいというものなのだが…」

・F「悪霊の棲む学習塾…!?!…」(単行本A)
「幸太に一組の成沢みゆきという少女が塾に入ろうと勧めに来る。
 どうやら彼女は彼に想いを寄せているらしい。
 だが、彼女の父親の経営する成沢能力塾は邪気に満ち満ちていた。
 そんなことはつゆ知らず、みゆきは真田幸太の母親を言いくるめて、彼を塾に通わせようとする。
 一方、成沢みゆきの父親は体調不良の相談のため、万樹の祖母のもとを訪れていた。
 彼は何者かに呪われているようなのだが…」

・G「修行中の浄霊騒ぎ!?」(単行本A)
「万樹は祖母の跡を継ぐため、修行中の身。
 ある日、彼女のクラスは博物館を訪れる。
 この博物館の地下室には焼けただれた人の幽霊が出るという噂があった。
 万樹は幸太からは何もできないのなら、首を突っ込むなと釘を刺されていたものの、プリントが風に飛ばされ、追ううちに地下室に入り込んでしまう。
 そこには熱さに苦しみ、水を求める霊でいっぱいであった。
 その頃、幸太は万樹の姿がないことに気付き、職員と共に地下室に降りるのだが…」

・H「霊感少女美貴の浄霊!!」(単行本A)
「万樹のクラスに羽生田ヨシタカという少年が転入してくる。
 初日から学校を早退し、翌日は学校を休むが、その晩、彼が万樹の祖母を訪ねてくる。
 彼は霊能者になるため、祖母の弟子になりたいと頼みに来たのであった。
 翌日も彼は学校を休むが、放課後、万樹は祖母と共にテレビ局に出かけることとなる。
 テレビ局では今、話題の霊感少女、美貴の番組を収録しているのだが…」

・I「黄泉比良坂」(単行本A)
「万樹のクラスメートの高田なつえが交通事故で亡くなる。
 亡くなった場所は、地縛霊が霊障を起こす「魔の交差点」であった。
 なつえの葬式の帰り、万樹と幸太は佐川由起子を見かける。
 彼女はなつえの親友で、事故を目の当たりにしたショックで、葬式にも出ていなかった。
 二人が彼女を追うと、彼女は「魔の交差点」に向かっていく。
 由起子が事故にあうのをかろうじて防いだものの、万樹と由起子の魂は地縛霊たちの世界に引きずり込まれ…」

・J「笛沼の伝説」(単行本A)
「音楽の石原先生は美人かつフルートが上手で、女子の間で人気があった。
 ある時、彼女はこの町の笛沼に伝わる伝説を生徒達に話す。
 江戸時代の少し前、笛の上手な若者が村一番のお金持ちの娘と恋仲になる。
 だが、娘の親は反対し、二人は駆け落ちをしようとするも、恋敵の男にそれを知られてしまう。
 駆け落ちする日、娘は家に閉じ込められ、青年が池のそばで娘を待っていると、恋敵が現れる。
 二人はもみ合いになり、笛の上手な若者は池に転落、恋敵の男は助けずにその場を去る。
 しばらくして、娘が池にやってくると、若者の姿はなく、池の周辺の様子から若者が池に落ちたことがわかる。
 悲嘆した彼女は池に身を投げるが、実は、彼は池の反対側から岸に上がっていた。
 その後、彼は池のそばに家を建て、生涯娘の菩提を弔って過ごしたという、ちょっとマヌケな伝説であった。
 その話をした翌日、石原先生は急に学校を辞める。
 あまりに突然のことで万樹が不審に思っていると、音楽室に人影がある。
 音楽室には誰もいなかったが、音楽室の窓の下にある木の枝に石原先生のフルートが引っかかっていた。
 石原先生の身に何が起こったのであろうか…?」

・K「あやかしの祠」(単行本A)
「下校途中、万樹はボロボロの古い祠に気が付く。
 柏手を打って、軽くお参りした後、立ち去ろうとした時、彼女の姿は消えてしまう。
 幸太は急いで万樹の祖母を呼ぶが、祠は影も形もない。
 どうやら結界が張ってあるらしい。
 祖母は、万樹が祠の中にとり込まれたと知り、自分の意識をとばして、結界の中に入る。
 万樹をさらったものとは…?」

 「学園ミステリー」に掲載されたコメディ・タッチのオカルト漫画です。
 主人公は単行本の表紙のオババですが、なかなか面白い御仁で、もうちょっと活躍してほしかったものです。
 ノリの軽い内容のため、ホラーが苦手な人でも大丈夫ですが、ヒロインが霊能力を伸ばすようになる二巻の方はダークな話が多めで、こちらの方が読みごたえはあると思います。

2023年6月23〜25日 ページ作成・執筆

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