沼田清「魔の十字紋」(1986年9月10日初版発行)

「夏休み、遠山未来(みき)は、父親と共に、父親の親友である田ノ浦氏の経営するペンションに滞在する。
 しかし、ペンションのある小峰沢には、血まみれの武士の幽霊が出るとの噂が流れていた。
 過去、この地の鬼ノ沢には金鉱があり、明治維新の際、薩長連合軍により、金鉱の在処を白状しない侍達が虐殺されたという歴史があった。
 未来は、右掌の中央にある赤い十字紋のせいか、霊感を発揮し、侍の幽霊を幾度か見かけたり、鬼ノ沢に向かう学生達に不吉な運命を感じたりする。
 また、ペンションの向こうの荒れた別荘から助けを呼ぶ声を聴き取り、田ノ浦氏の娘、由加と別荘を訪れる。
 別荘には、顔を包帯で覆った、不気味な絵描きがひっそりと住んでおり、その素性については謎に包まれていた。
 別荘に忍び込んだ二人は地下室に閉じ込められるが、地下室は古びた鉱道につながっていた。
 地下道を進む二人の前に、爛れた顔をした老人が現れ、日本刀を片手に襲いかかってくる。
 この老人の正体は…?
 そして、未来達の運命は…?」

 貸本時代からのキャリアを持つ沼田清先生が単行本で描き下ろした怪奇マンガです。
 ベテランらしく、そつが無い仕事ぶりですが、描き下ろしのためか、冗漫な部分が見受けられるのが残念。
 でも、単行本の半分を、鉱道での緊迫した逃避行に割いており、トータルで見たら、まあまあ面白いと思います。(若干…いや、かなり御都合主義ではありますが…。)

・備考
 カバーに少しネズミが歯を立てたような傷あり。pp28・29、上部のコマ外、何かが挟まって、くっついたための小剥がれ。

2018年7月4日 ページ作成・執筆

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