広永マキ「悪魔の復讐」(1986年5月25日初版・1988年12月20日第3刷発行)

「影山はるみは陰のある少女であった。
 彼女の父親は、会社が起こした、詐欺まがい商法の責任を取らされ、自殺。
 その負い目のため、クラスでは孤立し、一部の女子生徒からいじめを受ける。
 家庭では、母親は日中働きに出ており、妹のみちよと二人きりになることが多かった。
 妹は以前から、オカルト的なことを口走っていたが、母親が勤めに出てから、ひどくなり、ある日、悪霊から父親と同じように自殺すると予言されたと話す。
 それを聞いた、はるみは、自分には家族があり、父親のような死に方はしないと決意を固め、いじめを受けても、ひたすら堪え忍ぶ。
 しかし、親友に裏切られ、ひどく傷心した時、彼女は古本屋で「敵をたおす魔女の呪術」という本を手に入れる。
 その本を頼りに、はるみは、
 親友のはるみを裏切り、罪をなすりつけた、時田早苗
 はるみをいじめる中心人物、山村かおり
 金持ちで美人であることを鼻にかけ、憧れの森本君にすり寄る、酒井美子
 の三人に呪いをかけていくのだが…」

 「いじめられっ子の復讐」テーマの作品です。
 前半、百ページも、ヒロインがいじめられる描写で占められており、作者の「るさん・ちまん」がひしひしと伝わってきます。
 でも、後半の復讐がちと地味で、盛り上がりには欠ける気がします。(藁人形なら派手な演出ができますが、蝋人形ではちょっと…。)
 また、ヒロインを陰で操る悪霊の正体もはっきりせず、もやもやが残ります。(悪霊のシーンはばっさり削って、父親の霊がヒロインを救うという展開にした方が良かったのでは?)
 同じテーマなら、好美のぼる先生の「悪魔のすむ学園」の方が面白いように思います。

2018年10月4日 ページ作成・執筆

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