高橋葉介「学校怪談A」(1996年1月10日初版発行)

・「第19話 お告げ」
「山岸は何故か、学校中の皆に命を狙われる。
 生徒も先生も皆、「山岸を殺せ」と呟き、夢遊病者のように追ってくる。
 どうやら、上からそういう「お告げ」があったらしい。
 追い詰められた彼が屋上へと逃げると…」

・「第20話 髪」
「風になびいた女生徒の黒髪が、山岸の顔にかかる。
 彼女は一言謝って立ち去り、彼女に見とれた彼の手に一本の髪の毛が残る。
 翌日、彼は彼女を捜して教室を回るが、彼女は下校途中に何者かに殺害されていた。
 彼はその現場を訪ね、彼女の髪の毛を右手の薬指に巻く。
 その後、学校の廊下である男子生徒とすれ違った時…」

・「第21話 水辺の情景」
「山岸は、通い慣れた通学路を変えて、川土手を通ってみる。
 すると、川で一人の女子学生が溺れていた。
 大人が三人、それを土手からじっと見ているが、助けに行く様子はない。
 仕方なく、山岸は彼女を助けに川に入るが、何かに足を取られて、引きずり込まれる。
 それは「黒くモヤモヤしたかたまり」で、「この世の物では無い」。
 彼は溺れそうになり、土手の三人に助けを求めるが…」

・「第22話 回転」
「車に跳ね飛ばされた女子生徒。
 その場に通りがかった山岸は、一瞬、少女と目が合った後、頭がガッチンコする。
 山岸が気が付くと、少女は既に亡くなっていた。
 彼が少女の死顔を覗き込むと…」

・「第23話 スイカお化け」
「夏の浜辺。
 山岸が目覚めると、砂浜に身体が深く埋められ、身動きができない。
 助けを求めても、あたりには誰もおらず、暑くてたまらない。
 すると、向こうからスイカの皮の面をかぶった少年達がやって来る。
 彼らは、山岸を目標にして、スイカ割りを始め出し…」

・「第24話 日記」
「図書館で山岸は「日記」を見つけ、読み始める。
 気が付くと、目の前の席に少女が座っていた。
 彼女は自分のことを知ってもらうためにこの日記を書き、誰かが手に取るのをずっと待っていた。
 日記に従い、山岸はそれを読みながら、彼女の後について行くと…」

・「第25話 脳侵略」
「山岸は、同じクラスの蔵石に「ブレインバンド」を勧められ、取り寄せる。
 「ブレインバンド」は「頭に付けるだけで脳の働きがぐんぐん向上する」という。
 実際、これを使い始めてから、頭が冴え渡り、どんどん知識を吸収していく。
 ただ、これを付けたまま、夜、寝ないよう注意される。
 どうやら「嫌な夢」を見るらしいのだが…」

・「第26話 壁がある」
「山岸とクラス担任の教師は、登校しなくなった神田の家を訪問する。
 神田はすっかりやつれていた。
 彼の話によると、十日ほど前、外出した際に、「目に見えない壁」の存在に気付いたと言う。
 その壁から先にはどうしても進めず、道を変えても、ダメであった。
 しかも、その壁はどんどん狭まり、今や彼の家の玄関まで来ているという。
 数日後、山岸は、神田の母から電話で呼び出され、彼に会うと…」

・「第27話 カエル」
「日曜日、山岸は御泥ヶ沼(みどろがぬま)を訪れる。
 すると、沼の中から、生物教師の反町が現れる。
 明日、学校で使う解剖用のカエルを取りに来たと話す。
 深みにはまってびしょ濡れになったものの、一匹、大きいやつを捕まえていた。
 山岸は反町と一緒に帰るが、別れ際…」

・「第28話 おしゃべりな卵」
「放課後、鳥羽京子という女子生徒が校舎の屋上から跳び下り自殺をする。
 翌日、発見された時には、彼女の死体には多くのカラスがたかっていた。
 だが、直後に起こったハイジャック事件により、自殺事件はすぐに忘れられる。
 ある日、山岸は立石という女子生徒に声をかけられる。
 鳥羽京子の下駄箱に何かがいるらしい。
 彼が開けると、中からカラスが現れ、飛び去る。
 中には卵が残されていたのだが…」

・「第29話 マンホール・マン」
「下川龍平は奇妙な話をするが、本人は至って真剣であった。
 その話とは、十年前、子供だった彼は父親と雨の中を歩いていた。
 父親は突如、疲れてしまったので、これからは「マンホール・マンの世界」で暮らすと言い出す。
 そして、いつか彼を迎えに行くと言い残し、マンホールの中に姿を消した…というものであった。
 雨の日、龍平の父親(本当は継父)が山岸を訪ねてくる。
 龍平は「父さんの所に行く」と書置きを残して、行方不明になったのであった。
 山岸は龍平の父親に「マンホール・マンの世界」について話すのだが…」

・「第30話 骨喰い滝」
「夏休み、山岸は友人二人と田舎にキャンプに行く。
 友人二人は滝壺で泳ぐが、気が付くと、首から下が骨になっていた。
 二人の骨はバラバラになり、彼らの姿はどこを探しても見つからない。
 山岸がパニックを起こしていると、地元の人が通りがかる。
 彼によると、ここは「骨喰い滝」と呼ばれる所で、何も知らずに泳いでいると骨にされると言う。
 呆然としたまま、山岸は帰路に就くが…」

・「第31話 掘れ〔Dig!〕」
「夏休み。
 学校の校庭に、山岸や立石といった生徒達が六人集まる。
 彼らの手にはスコップやらツルハシやらが握られていた。
 彼らは早速、校庭の地面を掘り始める。
 彼らは昨晩ずっと「掘れ!掘れ!」という声を聞かされていた。
 そこに埋まっているものとは…?」

・「第32話 炎天」
「夏休みも半ばを過ぎ、だらけた生活に喝を入れようと、山岸は朝のジョギングを始める。
 通りがかった学校で、彼は、若い娘に声をかけられる。
 彼女は、ダイエットのため、校庭でランニングをしていた。
 山岸は彼女と一緒に走ることになるのだが…」

・「第33話 人魚」
「夏の海岸を訪れた山岸。
 彼は岩場に打ち上げられた魚を目にする。
 魚は若い娘に変身し、彼に笑いかける。
 地上の世界を見たがる彼女に、山岸はシャツを着せ、バスに乗せようとする。
 だが、バス停で待つ間に…」

・「第34話 座敷童子」
「中井有紀は夏休み、田舎の祖母の家に泊まりに行く。
 夜一人で、広い日本間に寝ていると、彼女の頭上に着物姿の女の子が現れる。
 少女は「ココニイルノアキタ」ので「アタシトカワッテ」と頼む。
 以来、少女は有紀につきまとうようになり…」

・「第35話 契約」
「プールの授業時間。
 山岸は、金網の向こうの秋山に話しかけられる。
 秋山は授業を見学していた。
 山岸が体調が悪いのかと尋ねると、彼は夏休みに海で溺れかけた体験を話す。
 彼は沖で泳いでいて、溺死者達の霊に捕まってしまったのであった。
 その彼が何故、生きているのかというと…」

・「第36話 蛭」
「肥田が山岸に奇妙な話をする。
 夏休み、母方の実家に泊まった彼は沼地で遊ぶ。
 帰り道、蛭が幾匹か彼に吸いついており、首筋にいた蛭が彼の全てを吸い尽くしてしまう。
 気が付くと、彼は素裸で、萎びた死体のそばにいた。
 その死体は衣類から判断すると、彼のものらしい。
 彼はその服を着て、死体を沼に沈める。
 その後、蛭は彼の記憶までも吸収するのでは、と考え、自分は蛭だと疑い始める…」

 「水辺の情景」「日記」「座敷童子」が個人的に好きです。
 「おしゃべりな卵」はE巻以降、レギュラー・メンバーとなる立石双葉の初登場回?

2022年3月15・16・25日 ページ作成・執筆

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