高橋葉介「学校怪談G」(1998年2月10日初版発行)

・「第127話 暗い夜道と甘い声」
「立石双葉は帰宅途中の夜道で、奇妙なポスターを目にする。
 そのポスターには「危険 暗い夜道と甘い声」という標語と、奇怪な人物が描かれていた。
 夜道を進むと、同じポスターがあり、絵は、双葉らしい少女をその人物が襲おうとしているものに変わっていた。
 その先にもまたポスターがあり、次は、少女はその人物に首を絞められていた。
 双葉は自分が同じ場所を堂々巡りしていることに気付く。
 そこに山岸が現れるのだが…」

・「第128話 ずっと水の底にいる」
「少女がプールから顔を出すと、そこには誰もいなかった。
 彼女の服は更衣室からなくなっており、仕方なく、水着姿で学校に戻る。
 何故か、彼女の姿は誰にも見えず、声も聞こえていなかった。
 その時、彼女は自分の名前を思い出せないことに気付く。
 思い出せるのは、プールの底まで潜った時、何か黒いものが沈んでいたことだけ。
 その「黒いもの」の正体は…?」

・「第129話 海婆(あまんば)」
「山岸達のクラスは臨海学校にやって来る。
 山岸は崖から海にダイブすると、海の底で奇怪な老婆の姿を見る。
 慌てて、海から上がるが、それは「海婆」という妖怪であった。
 「海婆」で、昼間は暗い海の底にいて、若い男を海に引きずり込むが、捕まえ損ねた時は、夜、男を捜しに来ると言われる。
 その夜、山岸達が寝ている部屋に海婆がやって来る。
 「海婆」を退治する方法とは…?」

・「第130話 鮫人」
「臨海学校の夜。
 露天風呂でのぼせた山岸は旅館で迷ってしまう。
 適当に襖を開けると、ワイルドな男が飯を手づかみで食べていた。
 すると、男は鮫に変化して、山岸に襲いかかる。
 山岸の入ったのは「鮫人の間」で…」

・「第131話 トンネル」
「臨海学校が終わり、一行はバスで帰る。
 途中休憩が終わり、出発しようとした時、山岸の姿がない。
 彼は立石に、さっきバスで通ったトンネルが気になるから戻って見てくると話していた。
 その頃、山岸はそのトンネルの前に立ち、中に足を踏み入れる。
 中には男の子がいて、山岸は彼に話しかける。?
 山岸は彼が幽霊だと思っていたのだが、実際は…」

・「特別編 夜の声/黒い天使」
「夜の声(一)」
 夏休み中の学校。
 豪雨の中、教室には九段九鬼子と峠美勒の二人のみ。
 九鬼子は美勒とのことをカタをつけるつもりであった。
 九鬼子は美勒の待つ屋上へと向かう…。
「黒い天使」
 中学生の九鬼子の前に黒づくめの男性が現れる。
 彼は探偵で、自称「すてきなお兄さま」。
 二人の前に、九鬼子の嫌いなものが様々な形をとって次々と現れる。
 彼女にはそれを嫌う理由があった。
 気が付くと、九鬼子は学校にいた。
 ここは峠美勒の世界で…。
「夜の声(二)」
 屋上で、九鬼子と美勒は対峙する。
 九鬼子がとった行動とは…?

・「第132話 貝飾り」
「立石双葉は臨海学校の最終日、療養に来ているという少女から貝殻をもらう。
 この貝殻を水を張った洗面器に入れて、顔を付けると、海の底が見えると言う。
 山岸と映画に行った夜、双葉はそれを試してみる。
 すると、少女の言葉通り、双葉は海中の中にいた。
 彼女はあまりの美しさに魅了されるが…」

・「第133話 地獄舟」
「洪水の中、山岸と立石双葉が溺れている。
 双葉は気絶して、山岸が彼女を助けるのも限界に近い。
 そこに和風な漕ぎ舟が現れ、船頭が竿を伸ばし、どちらか一方だけを助けると言う。
 船頭は山岸に双葉を見捨てるよう勧めたところで、山岸は夢から目覚める。
 翌日の始業式は洪水警報で中止となる。
 山岸は双葉と帰る途中、夢と同じ状況に巻き込まれ…」

・「第134話 年を盗む」
「このところ、山岸は憔悴していく。
 と言うのも、彼は老婆の幽霊にとり憑かれていた。
 毎夜、彼は公園へと呼び出され、老婆をおぶって、池の周りを時計とは逆回りに走らされる。
 すると、老婆は彼の若さを吸収して、若返るのであった。
 遂に、山岸は学校で倒れ、九鬼子は彼を問いつめる。
 その夜…」

・「第135話 コインロッカーの怪」
「生まれたばかりの赤ん坊の死体が捨てられた、駅前のコインロッカー。
 立石双葉は知らずにそのコインロッカーを利用して、赤ん坊の霊にとり憑かれる。
 学校の図書館で彼女が仕事をしていると、巨大化した赤ん坊の霊が現れる。
 双葉は山岸と一緒に逃げるのだが…」

・「第136話 肉怪」
「おデブな男性が自分の身体から肉をもぎ取る。
 それから、銭湯から帰る途中の九鬼子の頭から髪の毛を一本抜きとる。
 その肉塊に髪の毛を入れると、九鬼子の姿に変化するのだが…」

・「第137話 迷惑な転校生」
「登校途中、山岸は、見知らぬ少女に学校へ案内するよう命令される。
 彼女の名は神宮司八千華で、転校生であった。
 だが、二人は何故か、知らない場所に迷い込む。
 そこには焼け焦げたバスがあるのだが…」

・「第138話 一人がいっぱい」
「一匹狼の八千華は屋上で昼食をとろうとする。
 そこに、同じく一人の女子生徒が一緒に弁当を食べようと寄ってくる。
 八千華は即拒否するも、女子生徒はなかなかしつこい。
 八千華がキレると、女子生徒はその正体を現し、八千華に一緒になろうと迫ってくるのだが…」

・「第139話 廊下を走るな」
「午後の授業は生物で、生物学教室へと移動。
 転校したばかりの八千華は勝手がわからず慌てるが、教室には男子生徒が一人まだ残っていた。
 八千華は彼に生物学教室の場所を聞くが、彼は何も答えずに廊下に出て、走り出す。
 八千華も走って、彼を追うのだが…」

・「第140話 胃袋怪物」
「八千華と山岸は、生物の日野出先生に生物学教室の掃除を命じられる。
 だが、八千華は標本に興味津々で掃除はいつまで経っても終わらない。
 しかも、八千華は標本の入ったガラス瓶を落として割ってしまう。
 その中に入っていたのは胃袋みたいなものなのだが、それが動き出し…」

・「第141話 幽霊タクシー」
「何だかんだで帰りが遅くなり、また、家の場所がわからないので、八千華はタクシーで帰ることとなる。
 だが、いつまで経っても家につかず、タクシーの運転手に聞くと、すぐに病院に連れて行くとの答え。
 気が付くと、八千華は血まみれになっていた。
 運転手はかまわず話を続けるのだが…」

 高橋葉介作品屈指の名トラブル・メーカー、神宮司八千華の登場です?
 最初の方は、意外とクールなキャラだったのに、回を重ねるにつれ、パワフルかつ能天気な小悪魔キャラへと変化していきます。
 彼女の登場で、コメディ色が強くなっていくのですが、「八千華がトラブルを起こし、山岸が巻き込まれ、九鬼子が解決」という鉄壁のパターンが実にスラップスティックで、かなり好きです。

2022年3月24・27日/4月1日 ページ作成・執筆

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