高橋葉介「学校怪談H」(1998年6月1日初版発行)

・「第142話 モンスター・ダンク」
「八千華の下駄箱に入っていたラブレター。
 八千華が差出人に会いに、体育館に行くと、相手はトカゲ人間のような化け物であった。
 引き返そうとする八千華に彼は賭けを申し出る。
 それは遠く離れた場所からバスケットボールをダンクできたら、付き合うというものであった。
 絶対に無理だと思ったら、彼は腕を長く伸ばして、あっさりダンク。
 慌てた八千華はもう一勝負と、九鬼子の協力を求めるのだが…」

・「第143話 魔人」
「渋川先生から九鬼子はお見舞いをしないかと持ち掛けられる。
 相手は溝呂木(みぞろぎ)という、渋川の昔の教え子で、臨海学校の写真を見て、彼女を気に入ったらしい。
 九鬼子が溝呂木の写真を見ていると、写真の彼が「一度お会いしませんか さもないと 大切な生徒さんがどうなっても知りませんよ」と九鬼子に告げる。
 時同じくして、山岸、立石双葉、八千華が学校から消える。
 その晩、九鬼子は溝呂木の待つ料亭を訪れる…」

・「第144話 幽霊教師」
「おむすびと一緒に、家庭科の後片付けを脱け出した八千華。
 彼女が昼食をとるために美術室に忍び込むと、男性が絵を描いていた。
 彼は美術の教師で、長い間、学校を休んでいたという。
 彼は八千華にかなりの興味を示し、どうもロリコンっぽい。
 また、彼の妻も同じことを言っていて、女子生徒に嫉妬し、灯油をかぶって自殺していた。
 そして、彼も…」

・「第145話 おいてけ森」
「日曜日。
 山岸は八千華に乗せられ、近所の案内をする破目となる。
 あちこち行った後、胃の頭公園で、二人はしめ縄を巻いた巨木を目にする。
 木の根元には多くの果物が供えられていた。
 よく見ようとした時、山岸は胸に抱いていた果物を、八千華は胸のブローチを落とす。
 拾った時、どこからか「おいてけ」という声が…」

・「第146話 人形の森」
「九鬼子と立石双葉は偶然出会い、胃の頭公園を散歩する。
 そこに、日野出先生がおろおろしながら現れる。
 彼は、娘のトモ子(5歳)とはぐれてしまい、一緒に捜してくれるよう二人に頼む。
 その頃、トモ子は遊んでいたが、その相手とは…?」

・「第147話 水の中の顔」
「佐々木奈々子は塚原護郎と胃の頭公園で待ち合わせ。
 だが、護郎は、母親のバーゲンに強制的に付き合わされ、なかなかやって来ない。
 ふと、池の水面を見ると、護郎が顔だけ出して、奈々子に笑いかける。
 そこに、娘を捜している日野出先生が現れると…」

・「第148話 此処じゃない何処かへ」
「八千華にからかわれ、玉川三樹夫は日曜日、胃の頭公園にUFOを呼ぶと宣言する。
 当日、公園の野外舞台でしきりにUFOへ呼びかけを行うも、ちっともその気配はない。
 気が付くと、そばにパジャマ姿の少女が立って、彼を見つめていた。
 誰と問いかけても、少女は記憶がないらしい。
 会話を交わすうち、少女は彼にどうしてUFOを呼びたいのか、理由を尋ねる。
 彼は「此処じゃない何処かへ」、「違う世界に行きたい」と熱く答える。
 少女もどうやら彼と同じらしいのだが…」

・「第149話 悪魔の箱」
「クリスマス・イブ。
 サンタの格好をした八千華が山岸の家を訪ねてくる。
 彼女は、イブの夜にサンタのコスプレをして、プレゼントを配るというアルバイトをしていた。
 配達先がわからないものが一つあると言うが、その届け先は彼らの通う中学校であった。
 中学校では、イブにも関わらず、九鬼子が一人、テストの採点をしている。
 プレゼントは彼女宛てで、二人が立ち去った後、プレゼントの箱を開ける。
 すると、九鬼子は中に吸い込まれるが、そこは…?」

・「第150話 干支の神」
「山岸と初詣に行こうと、八千華は山岸家を訪れる。
 しかし、山岸は立石双葉と既に出かけていた。
 一方、九鬼子は、学校で渋川先生と会う約束があり、学校に向かうと、校門の前で双葉と出会う。
 双葉は山岸と神社ではぐれてしまい、学校で彼を待っていたのであった。
 その頃、山岸は見知らぬお堂の前に何故かいた。
 お堂から、白い衣を来た牛が現れ、引継ぎを頼むと、立ち去る。
 すると、その場に「次は誰だ?」と干支の神々が集まってくるのだが…」

・「第151話 ママが怖い」
「職員室の九鬼子に、日野出先生の娘、トモ子が会いに来る。
 トモ子は、自分のママは、母方の実家に住むカエルだと話す。
 冬眠し損ねたカエルは、母親に化け、日野出先生の勤める学校の女子生徒を食べようと狙っていた。
 日野出先生はカエルに催眠術をかけられており、生物学教室の掃除をさせられていた八千華を屋上へと連れて行く。
 九鬼子と山岸が屋上に駆け付けると…」

・「第152話 鬼が来る」
「節分の前夜。
 九鬼子は道に倒れている老人を目にする。
 入院した老人は九鬼子に鬼の面を預け、「お勤め」を果たすよう頼む。
 そして、節分の日。
 八千華は家庭科で炒った豆を職員室に持って行った際に、その面を無断で借りて、持ち帰る。
 山岸が彼女を呼び止めた時、空に無数の鬼が現れ、「かくまってくれ」と迫る。
 このお面の秘密とは…?」

・「第153話 雪入道」
「学校を出てから数時間、山岸はいまだ吹雪の中をさまよっていた。
 おかしいと感じ始めた矢先、かまくらを目にする。
 中には八千華がコタツに入って、酔っ払っていた。
 その時、足音が聞こえ、外を見ると、巨大な臼に顔と手足のついた化け物がやって来る。
 かまくらはトラップで、化け物はかまくらに入った人を食べてしまうのであった。
 山岸は八千華を引っ張り出し、その場から逃げる。
 外には、かまくらがたくさんあり…」

・「第154話 アルフレドさま」
「バレンタインデー。
 八千華にチョコをもらった山岸に、立石双葉は冷たい態度をとってしまう。
 だが、双葉は彼にチョコを用意していて、仕方なく、誰も使わない一番下の下駄箱に入れる。
 この下駄箱には「アルフレドさま」という学校伝説があった。
 勇気がなくて、男子にチョコを渡せなかった女生徒がここにチョコを入れるようになり、チョコが百個たまると、「チョコレート色の肌をした理想の王子さまが実体化」するというのだが…」

・「第155話 感染経路」
「三日前、山岸は通りすがりの男性に風邪を移される。
 風邪は山岸を見舞いに行った双葉に移り、今度は八千華に移る。
 八千華は九鬼子のもとを訪れるが、その風邪の正体とは…?」

・「第156話 蜘蛛」
「体育倉庫で八千華が、家庭科教室で双葉が、そして、音楽室で山岸が蜘蛛の化け物に襲われる。
 その頃、九鬼子は塚原護郎と佐々木奈々子と出会う。
 奈々子が九鬼子に、助けた蜘蛛を見せると…」

・「第157話 ゾンビ―マン」
「八千華は学校をサボって、公園のブランコに座って、時間を潰していた。
 その横のブランコには、会社をリストラされたサラリーマン…のゾンビ。
 半年前に自殺した彼は会社にも家にも行けず、成仏できずにいた。
 しかも、八千華の学校にまでついて来て、可愛い娘を紹介しないととり憑くと脅す。
 八千華が九鬼子に相談すると…」

・「第158話 ハッピーエンド」
「学校の焼却炉の中から現れた、黒焦げの男女。
 九鬼子は「普通の幽霊」ではないと感じ、彼らが通った後を調べると、焼けた原稿用紙のかけらがあった。
 どうも立石双葉の書いていた小説に関係しているようなのだが…」

 新登場した神宮司八千華が山岸にあれこれちょっかいを出して、立石双葉とのドタバタした三角関係が描かれます。
 山岸は、作者が前袖で「しっかりせんか山岸、立石さんはどうするんだ!」と心配するぐらいのヘタレっぷり。
 でも、「アルフレドさま」で立石双葉との関係が改善されて、ちょっぴり安心。

2022年3月27・29日/4月2日 ページ作成・執筆

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