高橋葉介「学校怪談L」(1999年12月10日初版発行)

・「第212話 死者が帰る夜」
「夜の東町第一中学校。
 九鬼子が遅くまで仕事をしていると、OBを名乗る男性が訪ねてくる。
 彼は卒業時に埋めたタイムカプセルについて尋ねる。
 タイムカプセルを埋めた場所には体育館が建ち、中身は校長室に保管されていた。
 校長室で彼は、自分が描いた「未来の家」の絵を見つけ出す。
 その絵のような「でかい家を建ててそこで暮らすのが」彼の夢であった。
 彼の夢は叶ったのであろうか…?」

・「第213話 魔物封じの宴」
「川土手で八千華は、桜木神社の神主から花見に誘われる。
 だが、その桜の木は枯れかけていて、花はほとんど咲いていなかった。
 八千華は山岸、双葉、九鬼子を花見に呼ぶ。
 よく見ると、対岸にも桜の木があり、向こうは満開であった。
 満開の桜の木の下にいるものとは…?」

・「第214話 赤坊主 白坊主」
「双葉は桜木神社の神主に民話や伝承について聞く。
 その中に「赤坊主 白坊主」の話があった。
 太平洋戦争中、若い娘が夜道を歩いていると、赤坊主・白坊主が茂みから現れる。
 赤坊主・白坊主は遊ぼうと両側から手を引っ張り、娘は真っ二つに裂けてしまったのであった。
 夜が遅くなり、双葉が帰ろうとすると、草むらから赤坊主・白坊主が出てきて…」

・「第215話 呪っちゃうから」
「桜木神社ではしばしば木の幹にワラ人形を打ち付けられ、困っていた。
 実は、八千華が神社の近くで、ワラ人形を露天販売していたのである。
 ワラ人形は九鬼子に没収され、焼却炉で焼かれることとなる。
 八千華がふてくされて、保健室で寝ていると、そこに鬼が現われて…」

・「第216話 ゴースト・ライター」
「双葉の書いた小説が「言霊出版」という出版社から単行本化されることとなる。
 彼女は見本をもらい、山岸と双葉がそれを手に入れる。
 読み始めると、いつの間にか、双葉は見知らぬ大きな書店に迷い込んでいた。
 そこに、出版社の社長が現れ、彼女をサイン会に連れていく。
 会場には読者が殺到しているのだが…」

・「第217話 雨ふり花嫁」
「大雨の日、山岸は八千華と相合傘をして帰ることとなる。
 八千華は傘をなくしてしまったのであった。
 そこに、白無垢の花嫁衣裳の女性が現れ、八千華の傘を借りると断って、姿を消す。
 翌日、双葉にこの話をすると、それは「雨ふり花嫁(aka 傘くれ花嫁)」らしい。
 昔、婚礼の日に男に裏切られた花嫁が、雨の中、男を捜し続け、最後は懐刀で自分の喉を突いて、自殺したのであった。
 そして、幽霊に傘を貸した次は…」

・「第218話 もののけ刑事」
「九鬼子は、若い女性の「自然死」に遭遇する。
 だが、禿で赤ら顔の中年刑事は九鬼子が「犯人」を視たと見抜く。
 刑事は、数年前の連続ナイフ殺人事件の犯人を追い続けていた。
 この犯人は交通事故死した後も、人を襲って、殺し続ける。
 刑事は、九鬼子が次に狙われると警告するが…」

・「第219話 夢で逢いましょう」
「日野出先生達と飲みに行って、カラオケでアニソンを五十曲歌って、それから、飲み屋をハシゴして、気が付くと、九鬼子はラブホテルのベッドに裸で寝ていた。
 彼女の隣にはミゾロギがいて、「夢なら醒めてェ〜」と絶叫すると、夢だった…。
 そんな夢を何度も繰り返し見て、さすがの九鬼子もグロッギー。
 何故、そんな夢を見るのかというと…」

・「第220話 吸血鬼ハンター」
「満月の夜。
 山岸が公園を歩いていると、木の上から吸血鬼がとびかかり、彼の首に噛みつく。
 そこに、吸血鬼ハンターの老人が現れ、吸血鬼をメタメタのギタギタにする。
 ハンターは今度は山岸に襲いかかり、山岸はその場から逃げ出す。
 だが、彼は吸血鬼の毒に侵されていて…」

・「第221話 トオル」
「通学途中、山岸は、トオルという名の男の子に話しかけられる。
 トオルはバスが海に行くかどうか尋ね、気が付くと、山岸は彼と一緒に海に向かっていた。
 海に面する崖に立ち、トオルは山岸に海に飛び込むよう言う。
 海の底には、彼の両親がいるらしいのだが…」

・「第222話 真夜中のパフォーマー」
「日曜日の夜。
 双葉と八千華が、プールから帰る途中、公園を通りかかる。
 そこには、誰もいないのに、ピエロ姿の男性がパフォーマンスしていた。
 ピエロは自由自在に身体を動かし、どう見ても、普通ではない。
 八千華は彼に金を投げるが、実は、ビールの王冠であった。
 ピエロに追われ、二人は逃げるのだが…」

・「第223話 第4号棟」
「山岸はふとしたきっかけで、ヒラサカ・ヨモコという女子大生から相談を受ける。
 彼女は両親と団地に住んでいたが、その団地の様子が最近、おかしいという。
 奇怪な出来事ばかりか、彼女の両親でさえも目を離した隙に「別のモノ」になっている。
 彼女は山岸と共に「第4号棟」に行くのだが…」

・「第224話 コーチは半魚人」
「八千華はインスマス・スイミング・スクールに入学する。
 そこで、インストラクターの鱗谷という女性からマン・ツー・マン方式で泳ぎを習うが、彼女の正体は半魚人であった。
 九鬼子が調べたところによると、鱗谷は去年の夏、スキューバダイビング中に行方不明になっていた。
 八千華は双葉の家に身を寄せるが、入浴中、八千華の身体に異変が起こる。
 翌日、鱗谷が八千華を捜して、中学校に来るのだが…」

・「第225話 人魚の卵」
「満月の夜。
 臨海学校に来ていた山岸が浜辺を歩いていると、人魚(♀)が陸に上がって来る。
 人魚は砂浜に穴を掘り、その中に口から卵を産み落とす。
 そこに、魚型モンスター(頭は魚で、胴体はタコ?)が現れ、人魚を襲う。
 人魚は逃げ出し、モンスターは穴に産んだ卵を貪り食う。
 山岸は卵を一つ抱えて、モンスターから守ろうとする…」

・「第226話 ホテル・くだん(前篇)」
「臨海学校にやって来た一行。
 九鬼子のクラスの面々は次々と奇怪な体験に見舞われる。
 一方、旅館にいた九鬼子に「ホテル・くだん」から電話がかかってくる。
 「ホテル・くだん」は旅館に近い廃ホテルで、今は心霊スポットと化していた。
 九鬼子は「ホテル・くだん」と深い関係があるようなのだが…」

・「第227話 ホテル・くだん(後篇)」
「九鬼子は「ホテル・くだん」を訪れる。
 彼女はパーティの終わりを告げ、秘書のコイズミがいる部屋に入る。
 そこには罠が仕掛けられていた…。
 一方、ホテルに山岸が向かっていた。
 山岸には、九鬼子と縁の深いあの人が憑いているのだが…」

・「第228話 花火」
「夜の公園。
 浴衣姿の九鬼子が花火セットを持って、やって来る。
 山岸、双葉、八千華は先に来て、花火をしていたが、彼らには、太平洋戦争の空襲で焼け死んだ親子がとり憑いていた。
 彼らのために、九鬼子は打ち上げ花火を上げる…」

 「呪っちゃうから」「夢で逢いましょう」「真夜中のパフォーマー」といったギャグよりの作品も面白いのですが、個人的なベストは「花火」。
 心にしみ入る、珠玉の一編です。

2022年5月11・14日 ページ作成・執筆(三日かけて書いたデータを消してしまい、泣く泣く書き直し。オー・マイ…)

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