高階良子
「シャンバラ@」(1988年7月5日初版発行)
「シャンバラA」(1988年11月5日初版発行)
「15歳の誕生日を十日後に控えた小宮瀬里のもとに、青いケシの鉢植えが届く。
鉢の送り主は、レフリという青年からで、彼女の部屋に(断りもなしに)入り込む。
彼は「はるか遠い国」からやって来たと言い、瀬里に「ブリルスティック」(ライトセーバーっぽいもの)を渡す。
更に、瀬里は両親の子供ではなく、産まれてすぐに取り換えられたということを教え、彼女の生まれ故郷である「青いけしの咲く地」のビジョンを見せるが、混乱した瀬里が彼をブリルスティックで打つと、彼の姿は消えてしまう。
翌日、登校途中の瀬里は、二人のラマ僧(ベンバとラーニ)に出会う。
彼らは、彼女を「シャンバラの選ばれた御子」と呼び、彼女をチベットの寺院に連れて行こうとする。
次々と知らされる意外な事実に、瀬里は呆然自失となるが、事態は急を要していた。
闇を操る、破壊の力「ジャンザ」がその力を増しつつあり、世界各地で天変地異や紛争が起こりつつあった。
レフリによって、瀬里は、自分の内に備わる「ブリルの力」(光の力ってこと?)に目覚めていく。
彼女は徐々に彼に惹かれていくが、彼の姿は虚像で、実体は「青いけしの咲く地」にあると告げ、消える。
彼女は、家族と別れ、ラマ僧達と、叔父の田島高志と共に、「シャンバラ」を目指す。
だが、彼女の行く先々で、ジャンザが彼女を陥れるべく、罠を張っていた。
瀬里は無事にシャンバラに辿り着き、レフリと再会できるのであろうか…?
そして、彼女と取り換えられた、本物の小宮瀬里は…?
人類が破局を迎える瀬戸際で、光の御子と、闇の戦いが始まる…」
(「ボニータ」連載)
「スーパー伝奇ロマン」と銘打っているだけあって、壮大なストーリーです。
恐竜に雪男、チベットの奥地にあるシャンバラ、ドーム型都市、光と闇の戦いと、てんこ盛りな作風な高階良子先生の作品の中でも、特に大盤振舞な一作です。
でも、やっぱり基本は「ハーレクイン・ロマンス」で、そこからはみ出ることはなく、それが読みやすさにも、また、こじんまりした印象にもつながると思います。
個人的に感銘を受けたのは、ヒマラヤ越えの描写。
これが実にリアルで、もしかして、先生ご自身の実体験なのでしょうか?(海外旅行好きなので、可能性は大です。)
2021年2月18日 ページ作成・執筆