川口まどか「やさしい悪魔の物語@」(2000年9月25日初版・2002年1月5日4版発行)

 「やさしい悪魔」は悪魔が嫌いで、人間が好きという「悪魔の世界のクレイジー兄弟」。
 一生に一度の扉が開く時、悪魔は人間達の願いを何でも叶えてくれる。
 ただし、彼らの魔法はとってもお金がかかるものであった。
 低予算なら低予算なりに「やさしい悪魔」は最善を尽くすのだが…。

・「♯1:透けて見えた心」
「女子高生の田島サヤカの願いはアイドルグループ「スターズ」のメンバーと結婚すること。
 だが、銀貨三十枚ではペットのタツノオトシゴになるぐらいが関の山。
 他の方法を尋ねると、悪魔(兄)は透明人間になるという選択肢を教えてくれる。
 それもたったの一時間だけだが、ビデオの持ち込みは可。
 サヤカと悪魔の兄弟は悪魔の世界に降り、すったもんだの末、ペドロンの葉を手に入れる。
 この葉を一枚噛むと、透明人間になり、一時間後もう一枚噛むと、元に戻るが、一時間を過ぎると、この葉は猛毒になるため、時間は厳守であった。
 学校に戻ったサヤカは透明人間になり、スターズのライブに向かおうとするのだが…」

・「♯2:ふたりで恋を」
「柿本梅子は栗山に片想いをしていた。
 もうすぐ卒業してしまうので、彼女は彼と二人きりで楽しく過ごしたいと願う。
 そんな彼女が「やさしい悪魔」から手に入れたのは、魔法のガラスのステッキ。
 使い方は簡単で、彼の身体をステッキで触れるだけでいい。
 ただし、周囲三メートル以内に人がいないことが条件であった。
 彼女は機会をうかがうが、栗本の幼なじみの桃田陽次がうろちょろして、邪魔で仕方がない。
 桃田陽次は軽薄な男で、女をとっかえひっかえしていた。
 遂に、彼女は栗本が男子トイレに入る時にステッキを彼に当てる。
 だが、トイレの個室には桃田陽次がおり、三人は南の孤島にとばされてしまう。
 更に、この場合、桃田陽次は彼女の恋のライバルになってしまうのであった。
 この奇妙な三角関係の行く末は…?」

・「♯3:涙の彼方には」
「女子高生の森山みずき(16歳)は極度の男性恐怖症であった。
 そんな彼女の救いになったのは、八雲サヤというクラスメートの存在。
 彼女は頭脳もスポーツも得意で、例外的に家庭科は苦手だったが、ちっとも気取らず、とにかく明るい。
 みずきとサヤは好みがほとんど共通していたこともあり、二人は急速に親しくなる。
 また、サヤはみずきの男性恐怖症に理解を示し、一緒に頑張ろうと励ましてくれる。
 二人はより一層親しくなるも、みずきはサヤに恋愛感情に覚えるようになり…」

 名作「やさしい悪魔」(未読ですが…)の続編です。
 作品の根底にあるのは「人間に対するどこまでも温かい眼差し」で、読むと心が休まります。
 また、川口先生のあまりに独特(奇怪)なユーモア・センスも盛り込まれ、「ふたりで恋を」とかギャグ漫画としてもいい線いっているように思います。

2023年6月27・28日 ページ作成・執筆

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