ひたか良「白狐奇譚」(1998年4月5日初版発行)

 収録作品

・「白狐奇譚」
「第1話 奇岩山の白狐・玉藻参上!!」
 白狐の玉藻は、奇岩山で黒羽と戦っていたはずが、気が付くと、現代日本の教会にいた。
 しかも、陰玉(陽玉とセットで、玉藻の力の源)をなくし、子供の姿になる。
 シスターの話によると、陰玉は、彼が教会にワープして時に、いあわせた清貴という少年が持っているらしい。
 だが、彼は全寮制の学校に戻っていて、週末にならないと帰ってこない。
 途方に暮れる玉藻の前に、モンスターが現れる…。
「第2話 玉藻は天使か、悪の化身か!?」
 仕方なく教会に住み込むことになった玉藻。
 その代わりに、教会の掃除をさせられるが、礼拝堂には不良中学生がたむろしていた。
 その中の一人にとり憑いた妖怪を退治したのも束の間、今度は黒羽が現れる。
 黒羽は、玉藻の陽玉を奪おうとするが、そこに清貴が帰って来て…。
「第3話 双玉の正体とは!?」
 玉藻は何故、この世界にワープして来たのか考えて、ようやく一つの答えに行き当たる。
 彼は黒羽と戦っている時、陽陰玉のパワーを全開にしたために、時空が歪んでしまったのであった。
 元の世界に戻ろうと、彼は双玉を合わせる。
 元の世界に戻れたものの、陽玉と清貴を黒羽にさらわれてしまい…」
「第4話 玉藻と清貴の運命は!?」
 清貴と玉藻は現代社会に戻る。
 清貴は、玉藻が両方の玉を持たない方がいいと考え、陰玉をこっそり隠す。
 だが、陰玉は彼の胸に寄生し、闇の気や魔物達を吸収していく。
 玉藻は陰玉の暴走を止めて、清貴を救うことができるのであろうか…?

・「緑の異邦人」
「矢島知美は、クラスメートの森山祐一と下校途中、トラックに轢かれる。
 本来は助かるはずのない傷なのに、実際はすり傷だけで、骨も内臓も異常なし。
 だが、彼女と一緒にいた森山祐一は事故を境に姿を消してしまう。
 姿だけでなく、彼の存在そのものがなくなり、知美は戸惑うが、その頃、彼女は身体の異変に気付き始める…。
 一方、知美の治療を手伝った医師の神田は、彼女の服に緑色のゼリーのようなものが付着するのを見つけ、それを採集する。
 また、知美の血の中には、血液細胞とは異なる細胞が混じっており、これが彼女の回復の秘密ではないかと考える。
 知美の身に起こった出来事とは…?
 そして、森山祐一の正体とは…?」

 「白狐奇譚」は明らかに練り込み不足のように感じました。
 ラストもハッピーエンドとは言い難いのでは?(何故にあのラストなのか理解に苦しみます。)
 それよりも「緑の異邦人」の方が面白いと思います。
 作者の興味故か、環境問題の要素が若干入っております。
 後書きの漫画では、食べ物に対する「こだわり」がムンムンと伝わってきます。

2021年10月12日 ページ作成・執筆

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