坂田靖子「闇夜の本B」(1985年3月30日初版発行)
収録作品
・「part11 夜のタンゴ」(「デュオ」1984年5月号)
「ヒッチハイクをしながら旅をしている男。
徒歩で峠にさしかかったところで日が暮れ、山中で迷ってしまう。
野宿をしようとしていると、物音が聞こえ、ランタンを持った手が現れる。
ランタンの持ち主は男から事情を聞き、自分の家へ招く。
しかし、彼は巨大な鬼であった。
鬼は男を「バケモノ」と思い込んでおり、男は生きた心地がしない。
鬼は酒をふるまってくれるが、少しの間、留守にすると言って出かける。
男は逃げるか、ここに残るか選択に迫られるが、テンパっている間に、鬼のトモダチがやって来て…」
・「part12 テルテルボーズの怪」(「デュオ」1984年7月号)
「中本高司という青年の住んでいるアパートの部屋は梅雨時になると一面カビだらけ。
ある日の午後、見知らぬ男が高司の部屋にやって来て、テルテル坊主を窓に吊るすよう頼む。
以来、彼の部屋ではおかしなことばかり。
どうもテルテル坊主を押し付けた男が怪しく、高司はテルテル坊主を吊るすことを拒否するのだが…」
・「part13 盂蘭盆会」(「デュオ」1984年9月号)
「お盆。
町はずれの道楽寺の墓地では大勢の幽霊がたむろしていた。
幽霊のサユリは人を脅かそうとハッスルするも、人通りがほとんどない。
それでも粘っていると、いたずら狸にからかわれる。
意気消沈し、他の幽霊たちが集まっている河原に行こうとすると、川北タマオという迷子の少年と出会う。
彼を家に送るも、彼の両親は深夜仕事でおらず、サユリは彼を河原に連れて行く。
河原では幽霊たちだけでなく、河童も加わって、ディスコ大会が開かれていたが…」
・「part14 紅葉おろし」(「デュオ」1984年11月号)
「室町時代(なのかなあ?)。
宗近は山に鹿狩りに来て、迷ってしまう。
彼が寒さと空腹に苦しんでいると、空を食べ物が入った鉢が飛んでいる。
鉢を射落とし、中の食べ物を食べると、空っぽの鉢はまた浮かび始める。
その後を追うと、山中にお屋敷があった。
屋敷は若い男と幼い女の子が住んでおり、宗近は一夜の宿を乞う。
屋敷の住人は空飛ぶ鉢の持ち主で、どうも人間ではなさそうであった。
しかも、彼らは日暮れには里に下り、古寺で何かをしているようなのだが…。
彼らの正体とは…?」
・「part15 クリスマス配達員」(「デュオ」1985年1月号)
「クリスマス。
ある青年がおもちゃ屋の配達のバイトをする。
サンタクロースの恰好をして、バンで家々を回るも、どこもあっさりしていて、サンタに対する驚きも感動もない。
プレゼントを配り終え、彼は事務所でバイト料を受け取り、家に戻ると…」
・「part16 百鬼夜行」(「デュオ」1985年3月号)
「ある貴族と従者が人気のない薄野を進む。
貴族の目的は化野の古寺で化物を見ることであった。
夜更けにようやく古寺に着くと、先客がいる。
先客はムジナを名乗る男で、貴族は嘘八百を並べて古寺に上がり込む。
そこに、旅の者が一夜の宿を求めて訪れる。
旅人が蓑と笠を取ると、それは骸骨で…」
個人的に「盂蘭盆会」がサイコー!!
土田よしこ先生の漫画キャラばりにヒロイン(幽霊)がパワフルで、いい塩梅に悪ノリしていて楽しい。
お盆が本来の意味を失いつつある今、幽霊たちは幽霊たちで此岸に戻ってきたら、自由にバカ騒ぎするのもいいかもしれない。
2024年5月20・21日 ページ作成・執筆