楳図かずお「蝶の墓」(1990年7月20日初版・1991年2月28日第3刷発行)
・「蝶の墓」(1968年〜1969年「ティーンルック」掲載)
「丘の上めぐみは幼い頃から蝶を病的に恐れていた。
彼女の家庭は生活は豊かだったが、父子家庭で、母親は彼女が赤ん坊の時に二階のバルコニーから転落死する。
彼女の胸にはめぐみがしっかり抱かれており、這い這いしている赤ん坊を捕まえようとして、誤って転落したものと考えた。
そのため、めぐみは、心の片隅に、母親の死に対する責任をずっと抱き続ける。
めぐみが別荘にある母親の墓参りに行った帰り、彼女は車を運転する父親の周りを飛び回る黒い蝶を見る。
車はブレーキが故障しており、すんでのところで、崖に転落するところだった。
それ以降、めぐみが黒い蝶を見ると、その蝶の周囲にいた人は必ず災難に見舞われる。
周囲の人間から気味悪がられ、めぐみも黒い蝶を見ないよう人から距離を置くようになる。
そんなある日、めぐみの父親に再婚話が持ち上がる。
再婚相手の女性の写真を見ると、その写真から黒い蝶が浮かび上がり、黒い蝶は父親に止まる。
めぐみは写真を引き裂き、再婚しないようヒステリックに主張するが、それがもとで家族からもおかしいと思われるようになる。
めぐみは父親の再婚には気が進まないが、突如、父親が原因不明の失明を患い、父親の再婚が決まる。
再婚相手の女性はめぐみと仲良くしようとするも、めぐみは彼女に対する恐怖心を抑えることができない。
ある夜、めぐみは継母に謝ろうと彼女の寝室を訪れる。
ベッドで目にしたものは巨大な黒い蝶であった。
以来、継母のめぐみに対する態度が変わり…。
黒い蝶に秘められた秘密とは…?」
2015年1月31日 ページ作成・執筆
2023年11月20日 加筆訂正