伊藤潤二「棺桶」
(1995年9月20日第一刷発行)

 収録作品

・「双一の勝手な呪い」(「月刊ハロウィン」1995年2月号)
「学校でも家でも相手にはされず、双一は学校で気に喰わない奴らに呪いをかけて、ウサを晴らしていた。
 しかも、他人の怨みを呪いで晴らすという、復讐代行のプチ・ビジネスもやっていた。
 が、少し先走りし過ぎたために、窮地に陥る。
 双一は、自分が悪いくせに、逆恨み、自分に恥をかかしたクラスメートに復讐しようとするが…」

・「四重壁の部屋」(「月刊ハロウィン」1995年3月号)
「受験勉強に必死な公一。
 しかし、双一の悪戯で勉強に集中できない。
 父親に相談して、防音工事をしてもらうことにするが、工事に来た職人はどことなく妙な雰囲気がある。
 二日後、公一が帰宅した頃には、もう部屋の工事は終わっていた。
 訝りながら、公一が部屋に入ろうとすると、ドアの向こうにまたドア、それを開けると、またドア…というふうに入れ子方式になっており、四つ目のドアの向こうにようやく部屋があった。
 狭苦しいが、確かに壁は四重で、防音効果は抜群。
 公一は勉強を始めるが、壁と壁の間に忍び込んだ双一が早速妨害を始める…」

・「棺桶」(「月刊ハロウィン」1995年4月号)
「双一の家の祖父が亡くなったので、裕介や路菜の一家も深沢町を訪れる。
 親戚やらと祖父のことについて話していると、前兆らしきものがあったと言う。
 一週間前に、祖父は自分の棺桶を急に作り出した。
 周囲は縁起が悪いと言うが、元気なうちに自分の入る棺を作っておきたいのだと言う。
 棺桶が完成後、双一は自分の入る棺桶も作って欲しいと祖父に頼む。
 双一は西洋風の「とびきり縁起の悪い棺桶」を希望するが、祖父の作る棺桶はどれも期待外れで、首を振らない。
 と、そのうちに祖父はぽっくりいってしまった。
 通夜の時、双一は祖父の死体の耳元でずっと何やら唱え続ける。
 それは死者を甦らす呪文であり、祖父にはまだやり残したことがあると双一は言うのだが…」

・「噂」(「月刊ハロウィン」1995年5月号)
「小学校で、双一に関するいい噂がよく流れるようになる。
 双一と同級の咲山みどりは、双一が故意にその噂を流している場面を目にする。
 双一とみどりが恋仲にあるという噂を流され、みどりは激昂、双一を罵り、真相を暴露する。
 恥をかかされた双一はみどりに対して復讐を決意する…」

平成27年2月7日 ページ作成・執筆

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