楳図かずお「楳図かずおの呪い」
(左/1986年8月30日初版・1988年7月15日7刷発行 右/1989年4月20日初版・10月20日4刷発行)

・「楳図かずおの呪い」
「第一話/ビデオカメラに何が写ったか?」
「メキシコからの帰国子女小川リマを一目見た時、まさみは異様な戦慄を受ける。
 その夜、悪夢にうなされ、まさみが目を覚ますと、部屋の窓が開き、首に小さな傷ができていた。
 次の夜も、恐ろしい夢を見て、何者かが侵入したかのように、窓が開き、首の傷は大きくなっていた。
 まさみは、男友達の謀図に頼み、部屋にビデオカメラを仕掛けて、寝ている間のことを撮影するが…」

「第二話/4の恐怖」
「水月理子は定期券を取りに夜の学校に忍び込んだ時、体育館に先生達が集合しているのを目撃する。
 先生達は、学校の安寧のために、いけにえを捧げるという話をしていた。
 そして、その犠牲者を表す数字は「4」。
 理子は、「4」がテストの順位だろうと見当をつけるが…」

「第三話/幽霊屋敷」
「塾の帰り道、幽霊屋敷に寄ってみる四人の女の子。
 入ってみると、壁の方を向いている謎の人物がいる。
 慌てて逃げようとするが、中の一人がその人物に向かって、石を投げる。
 と、急に入り口のドアが閉まり、謎の人物が振り返った…そこには腐乱した顔。
 四人はドアを叩いて、逃げようとするが…」

・「悪夢の数式」
「数学オタクの少年。
 彼は、意識を別の物体に転移させることができる方程式を偶然に発見する。
 蝿になったり、蝶になったり、パンティーになったりと試行錯誤を重ねて、徐々に高度なものに転移できるようになる。
 彼の目的は、近所のアパートの管理人である未亡人(三十歳)。
 彼女に近づくため、彼は最後の転移をする…」

 1980年代に描かれたと思しき「楳図かずおの呪い」は当時のホラー映画の影響を受けたのでしょうか、残虐描写が半端でなく、一種の清清しささえ覚えます。楳図かずお先生の半世紀にも及ぶキャリアの中では、ちょっと埋もれている感がありますが、名作揃いの怪奇短編集「怪」「恐怖」に匹敵するグロさです。
「悪魔の数式」は、「まことちゃん」で花開く、楳図先生の変態的なギャグ・センス(?)が一部で炸裂する作品であります。男なら心躍るパンティーというものを作品に用いても、ちっともエロくなく、ひたすらエグくおぞましいところが、楳図先生の楳図先生たる所以であります。

平成27年1月25日 ページ作成・執筆

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