楳図かずお「おそれ」(1985年8月30日初版・1986年8月5日第3刷発行)

 収録作品

・「おそれ」(1969年「ティーンルック」掲載)
「三つ違いの姉妹、一ノ瀬桃子と藍子。
 姉の桃子は小さい頃からその美しさで周囲の人々を魅了していた。
 その半面、妹の藍子は、比較され、無視されることを繰り返し体験し、不快感や悲しみを募らせる。
 桃子はそんな藍子に気を遣うが、藍子にとってはそれが何よりもつらい。
 やがて、二人は成長するが、自分の美しさに目覚めた桃子は更に美しくなる。
 藍子が高校三年生の頃、桃子に高也という恋人ができ、二人の仲はどんどん深まる。
 だが、ある日、桃子は階段から転落し、顔面をズタズタに切り裂く重傷を負う。
 手術が行われるものの、桃子の顔にはひどい傷痕が残ってしまう。
 以来、桃子は部屋に閉じこもるようになり、藍子に対して凶暴かつ残忍になる。
 しかし、高也への想いに悶え苦しむ姉を藍子はどうしても憎む気にはなれない。
 そのうちに、美しさを取り戻したいあまり、桃子は徐々に常軌を逸していき…」

・「恐怖人間」(1963年「残酷物語」掲載(注1))
「生命の神秘を解き明かすべく、長い年月を費やしてきた老科学者。
 死体のパーツを組み合わせた人造人間に生命の灯を灯す実験は遂に成功せず、研究をあきらめる。
 しかし、人造人間を屋敷から崖下へ投げ捨ておいたところ、その夜、人造人間は復活。
 人造人間は出会ったもの全てを八つ裂きにしながら、老科学者の助手の家へと向かう…」

・「地球最後の日」(1966年「少年画報」掲載)
「19XX年、夏。
 地球に接近する彗星のため、地球は最後の日を一か月後に控える。
 混乱の最中、ある一人の少女が手術により視力を取り戻す。
 だが、その頃には、人類は次第に獣化していた。
 少女は、同じく家族を失った少年と出会い、生き延びようとするのだが…」

・「イメージポエム スクール」
 「校庭」「鉄棒」「砂場」「二学期」「黒板」「校門」「ちぎれ雲」

 メインは、楳図かずお先生のエッセンスの詰まった名編「おそれ」でありますが、個人的には「恐怖人間」が一押しです。
 これって、出来損ないの人造人間が生き返って、殺戮を繰り返すだけの話なのです。
 犬も、ホームレスの母子も、科学者の助手の夫婦も、泥棒達もみ〜んな、問答無用で惨殺。
 数々のバラエティー豊かなスプラッター描写に、幼少時〜小学生時代にスプラッター映画・ブームの「洗礼」を受けた私のハートはがっちりアイアン・クローされました。
 楳図先生の作品で、ここまで露骨に「バッド・テイスト」な内容って、逆に珍しい気がしております。
 また、楳図かずお先生のテーマの一つである「人類滅亡」を扱った初期の作品「地球最後の日」も味わい深いです。
 ページの都合のせいか、詰め込み過ぎ、かつ性急に過ぎる展開が残念でありますが、後の作品への萌芽はすでに現れているのではないでしょうか?(注2)
 「SF」的な内容なのに、気が付けば、「モンスター・ホラー」になっているところが流石であります。
 あと、ハロウィン少女コミック館での単行本も、内容は同一です。

・注1
 サン・コミックスでは「昭和28年」、ハロウィン少女コミック館では「1953年」となっておりますが、これは明らかに誤植だと思います。
 「楳図かずお大解剖」の年譜では、「昭和38年(1963年)」の欄に「恐怖の一夜」(改題「恐怖人間」)が載っておりますので、これが正確だと思います。

・注2
 ここで告白しておかなければいけないのですが、私、楳図かずお先生を好きではありますし、尊敬もしておりますが、熱心な読者ではありません。
 「わたしは真吾」「14歳」は未だ読んでない有様なのであります。
 ですので、思い付き半分、推測半分でものを言っている時があると思いますので、御注意くださいませ。

 
2017年2月17・19日 ページ作成・執筆

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