楳図かずお「復讐鬼人」(1990年12月20日初版発行)

 収録作品

・「復讐鬼人」(1967年「少年マガジン」掲載)
「戦国時代。
 宇田城城主、宇田文武は、落城の危機に際し、世継ぎの若君である光忠を、剣の達人、近藤無双に託す。
 無双と息子の正吾は、山奥の小屋で、光忠に仕えるが、わがままな光忠は日ごと凶暴性を増し、正吾をいたぶる。
 ある日、光忠が正吾に泥だんごを食べさせようとするのを目にして、無双の怒りが炸裂。
 思わず殴りとばしてしまい、光忠にケガをさせてしまう。
 永禄五年(1562年)、宇田城は援軍を得て、文武の手に戻る。
 文武は、、光忠を傷つけたことへの報復として、登城した無双に、毒入りの食べ物を与え、口をきかせなくする。
 更に、無双の両腕を切り落とし、罪人小屋へと放り込む。
 重労働にあえぎながらも、無双は、正吾のためを思い、自害せず生き続ける。
 一方、正吾は、光忠の家来して仕えさせられていた。
 彼は、殿の命により、光忠の身に何かあれば、それと同じ仕打ちを身に受ける。
 その夏、再び戦が起こり、光忠は初陣として出馬するが…」

・「面」(1968年「週刊少年ジャンプ」掲載)
「武将、鷹影は、激烈な性格で、近隣にその名を轟かせる。
 だが、その息子、鷹輝は、正反対の大人しい性格であった。
 鷹影は、息子を厳しく鍛えようとするが、その度に鷹輝は熱を出して、寝込んでしまう。
 ある時、鷹影は自分の面を彫らせ、それを大広間に飾る。
 それから、数年後、鷹影は長篠の戦いで戦死。
 跡を、鷹輝が継ぐが、徐々に、父親の面の存在が彼の心に影を落とし始める。
 彼は、心の鬱屈を晴らすために、腰元に父の仮面をかぶせ、斬殺するようになるのだが…」

・「人喰い不動」(1967年「少年マガジン」掲載)
「文明九年(1477年)、応仁の乱末期。
 京都近隣の山辺村では、乱に乗じて勢力を拡大した阿久津軍兵衛が、農民達に過酷な取り立てを課していた。
 農民達の代表、鬼丸は、先祖代々の土地を守るために、乱が治まるまで、耐え忍ぶよう説く。
 だが、土地目当ての軍兵衛は様々なあくどい手段を用いて、農民達を苦境に陥れる。
 ある時、鬼丸の弟が、軍兵衛の蔵から米を盗み出したことがばれ、一家皆殺しとなる。
 鬼丸だけが助かり、山中へと逃げ込むが、そこで、海慶という仏師と出会う。
 海慶は、乱世を救うために、山中の山小屋で、長年、不動明王像を作り続けてきた。
 鬼丸は不動明王像に感銘を受け、軍兵衛達に復讐すべく、彼をその中に入れてくれるよう頼む。
 海慶は拒絶し、鬼丸を小屋から追い出すも、結局、軍兵衛達に追われ、傷ついた鬼丸を、像の中に匿うこととなる。
 しかし、軍兵衛にそのことを見破られ、鬼丸は像もろとも、刀で串刺しにされる。
 海慶は、鬼丸の願いを叶えようと、彼の遺体が入ったまま、像を完成させるが、像の顔は憤怒の表情へと変化していた。
 以来、領主の息子や家来が次々と姿を消していく。
 農民達は、彼らは不動にとって喰われたと噂するのだが…」

・「肉面」(1966年「少年マガジン」掲載)
「烏山城主、烏山主水之介は、面の蒐集に凝っていた。
 だが、飽き症かつ我がままで、どの面にも満足できない。
 ある時、彼は、家来から「夜叉面」という面つくり師のことを聞く。
 しかし、夜叉面は、高圧的な殿様に、面は作れないと断固拒否し、斬殺される。
 孫の重太郎は、祖父の復讐を決意し、面の修行に励む。
 バカにされながらも、彼は笑みを決して絶やさず、青年になる頃には、立派な面つくり師となる。
 永禄元年(1558年)、彼は、烏山主水之介に面を献上するが、その面の秘密とは…?」

2020年5月3日 ページ作成・執筆

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