たみ「ガゼル松本の心霊占い」(1994年6月20日初版発行)

・「1.シーリングスケッチ」(1992年「ハロウィン」10月号掲載)
「小野寺ふたばは15歳の女子高生。部活は美術部。性格は銭ゲバ。
 あるデパートのアルバイトの面接に行ったところ、ガゼル松本という占い師の助手を勤めることになる。
 ガゼル松本はデパート三階の占いコーナーにて、一回三千円の見料で相談にのっていた。
 彼は霊視、透視、過去視と「視る」ことなら、何でもござれ。
 そして、ふたばの仕事は、彼が「視た」霊を、客にもわかるようスケッチすることであった。
 早速、仕事を始めると、松本は、ふたばのスケッチに悪霊が封印されていくことに気付く。
 ふたばは、彼女自身は気が付いていなかったが、松本よりも遥かに高い霊能力を持っていた。
 しかし、大量の霊にとり憑かれた女子高生がやって来た時、霊達が松本に襲いかかる。
 松本の身体に別の霊が入り、彼の霊魂はふたばのスケッチに封じ込められてしまうのだが…」

・「2.マネーデヴァイン」(1993年「ハロウィン」2月号掲載)
「ある日、松本のところに、トラとその助手、翌子(あすこ)がやって来る。
 トラは、高齢であったが、非常に高名な霊媒師で、一回の料金は百万円以上という売れっ子であった。
 彼女はふたばの霊能力を一目で見抜き、今回の仕事の助手をしてくれと頼む。
 その仕事は、トラが「神」を降ろしている間、低級霊が近づかないよう、魔除けの結界を張ることであった。
 アルバイト料金に目がくらみ、仕事内容もわからないまま、ふたばは引き受ける。
 今回のトラの客は、近々、選挙に出る政治家であった。
 トラの降ろした「神」は、あくどい選挙戦術を政治家に教える。
 しかも、「神」は政治家に憑依し、ふたばに襲いかかる…」

・「3.アーマードッグ」(1993年「ハロウィン」5月号掲載)
「今回の、ガゼル松本の客は、太っちょの女性。
 三年前に太り出し、どんなダイエット法も効果がないと言う。
 だが、その体型にかかわらず、体重はたったの36キログラム。
 松本が彼女を霊視すると、彼女を犬の霊が物質化して覆っていた。
 どうも、三年前に行方不明になったジャッキーという飼い犬らしい。
 更に、霊視を進めると、彼女の周囲には、隠れキリシタンの悪霊集団が取り巻いていた。
 彼らは、その女性の先祖の密告により、拷問の末、火あぶりとなり、その女性の血縁に火災事故をもたらしていた。
 松本は隠れキリシタンの悪霊集団を除霊しようと試みるのだが…」

・「4.ダディ―バインド」(1993年「ハロウィン」8月号掲載)
「トラが引退し、フリーになった翌子は、ガゼル松本のボックスの隣に、タロット&水晶占いのボックスを開く。
 ある日、彼女のボックスに、ふたばと同じ学校の大石園子が訪れる。
 園子は男の子と話をしたことがないと話すが、彼女には、40歳代くらいの男性の強力な生き霊がとり憑いていた。
 松本はとっさの判断で、その生霊をふたばのスケッチに封印する。
 その生霊は、彼女の父親で、彼女は幼い頃、母親を事故で亡くしてから、父親と二人暮らしであった。
 これで一安心かと思いきや、その夜、園子が父親に刺殺される。
 松本が霊視すると、園子の霊は父親の近くにいた。
 このままでは成仏できないと、松本は、翌子の霊媒能力を借りて、園子の霊を呼び出すのだが…」

・「5.オンリーキューピッド」(1993年「ハロウィン」11月号掲載)
「ふたばの女子高で「キューピッド様」が大流行。
 これは恋愛版「こっくりさん」と言うべきもので、カップル成就率は100%という代物。
 松本は霊視すると、絵で見たようなキューピッドがカップルの縁を取り持ちしていた。
 別に悪霊ではないが、何かひっかかるものがある。
 そして、ふたばの友人、琴子はキューピッドのお陰で相思相愛になった男性に急に捨てられてしまう。
 彼女にはキューピッドがまた憑いていたが、その場所に問題があった。
 キューピッドの正体とは…?」

 個人的に、久々のヒット作品でした。
 この表紙に食指が動かない人も多いと思いますが、なかなか面白いです。
 霊視専門の主人公が、高い霊能力のあるけど、性格に問題のあるヒロインをあの手この手で使う描写がツボでした。
 また、つのだじろうの女キャラばりに、口からエクトプラズムを吐きまくる翌子さんもいいなあ。
 未単行本化のエピソードはあるのでしょうか?
 あるなら、是非とも読んでみたいものです。

2021年7月6・8日 ページ作成・執筆

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