風間宏子「美食倶楽部」（1995年12月20日第1刷発行）
収録作品
・「美食倶楽部」（「月刊ハロウィン」1994年6月号）
「ある学校では、理事長の娘、有沢美雪が我が物顔に振る舞っていた。
彼女は、松谷久美子を標的にして、陰湿ないじめを行う。
取り巻きの浩美、有紀も、自分に害が及ぶのが怖くて、良心の呵責を覚えながらも、いじめに加担する。
ある日、美雪は久美子に虫を食べさせようとするが、久美子は涙を流して拒否。
逃げようとした彼女は道路にとび出して、トラックに轢かれて死んでしまう。
さすがに耐えかねて、浩美は、久美子の両親に対して謝ろうと、美雪に言うが、まるで他人事のよう。
その後、久美子の通夜に行った美雪、浩美・有紀の三人は、クラスメートの南山蘭子に出会う。
南山蘭子の父は「美食倶楽部」という、漢方を使った中華料理の店を経営しており 蘭子は通夜の食事の手伝いに来ていた。
三人は、彼女に点心を勧められ、食べてみたところ、絶品で目を丸くする。
お近づきのしるしにと、蘭子は日曜日、三人を美食倶楽部へ招待する。
彼女達に用意されたのは「Ｄコース」であったが、その内容は…？」
・「美食倶楽部２ 聖食」
「室生かすみとあゆみは双子の姉妹。
妹のあゆみはモデル出身の人気アイドルなのに対して、姉のかすみはその付き人で、我がままに振り回されてばかり。
また、マネージャーである母親もあゆみの肩ばかり持ち、あゆみはますます増長する。
それでも、かすみは自分さえ我慢すれば、全てがうまく回ると堪え忍ぶ。
ある日、あゆみと人気俳優、加賀達彦が共演することとなる。
だが、撮影中、あゆみが足を挫いて、病院に運ばれ、スタッフ達は大慌て。
すると、弁当を配達していた南山蘭子が、かすみをあゆみの代役に勧める。
ただ、かすみは加賀達彦に想いを寄せていて、妹のように振る舞う自信がない。
落ち込む彼女に、蘭子は、強力な媚薬効果のある虫のさなぎを差し出し、これを食べる勇気があるかどうかを問うのだが…」
・「魔ヶ魂」
「美緒は、地下迷宮で、牛の仮面をかぶった男に斧で殺される夢を見るようになる。
同時に、奇怪な赤ん坊の幻もまた彼女の前に現れる。
その幻が言うには、二人は双子の姉妹で、美緒を自分の代わりに、クノッソスの迷宮に送るために捜し続けてきたらしい。
美緒は、両親から、彼女が両親の子供でなく、考古学者、足立教授の娘であることを明かす。
母親は美緒を出産後に死亡し、父親は美緒を預けた後、クレタ島に向かう途中、事故死。
そして、彼女には真緒という妹がいたが、未熟児だったため、生後七週間後に亡くなっていた。
彼女の妹とクノッソス宮殿、この二つの接点とは…？」
・「黒の迷宮」
「修学旅行を間近に控えて、浮かれ気味の松沢菜々。
そんな彼女に、一人の男が目を付ける。
彼は、病気の妹のために、年頃の娘を殺しては、目・鼻・耳等を切り取る連続殺人犯であった。
今度は、菜々の髪を狙い、彼は虎視眈々とチャンスを窺うものの、なかなか機会は訪れない。
そこで、彼は、彼女の修学旅行先にまで付いて行く。
そんなとこは露知らず、菜々と友人達は生蓮寺（注１）を訪れる。
生蓮寺の地下には魂所という場所があり、その中心の魂柱に触ると、未来が視えると言われているのだが…」
ベテランだけあって、しっかりした内容です。
個人的には、「魔ヶ魂」が、凝った内容、かつ、グロ描写も頑張っていて、一押しです。
・注１
この「生蓮寺」について調べましたが、よくわかりませんでした。
北政所のお墓があるとのことですが、それは高台寺では？
詳しいことをお知りの方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけると幸いです。
2021年3月17日 ページ作成・執筆