菊川近子「美食の罠」(1995年7月20日初版発行)
収録作品
・「闇への片道切符」(「月刊ハロウィン '94年9月号」掲載)
「木内さとみのクラスに転入してきた大角瞭子。
彼女は社長令嬢で、成績優秀、しかも、とびきりの美人であった。
さとみはふとしたきっかけで瞭子と友人となるが、逆に劣等感を刺激され、彼女に憎しみを覚えるようになる。
週末、瞭子の家に泊まりに行った夜、さとみは庭の植え込みに何か光るものを見る。
それは、きれいな丸い石であり、さとみはその石を幸運のお守りとする。
直後、瞭子は体調を崩し、良くなったのも束の間、何者かに殺害される。
不思議な石の正体とは…?」
・「美食の罠」(「月刊ハロウィン '94年12月号」掲載)
「SSフーズによる、若い女性向けの試食モニターのアルバイト。
七日間泊まり込みで、14万円という、なかなかの好条件。
女子大生の橋本まどかは最終選考に残り、面接を受け、モニターに選ばれる。
他にも二人の娘がモニターに選ばれ、彼女達は極秘裏に山中のペンションに連れて行かれる。
そこで社長の宮澤に会うが、非常に美しい女性であった。
また、旅の途中、山中で迷子になった佐野弓子という娘が、さとみ達と合流する。
彼女達は、レストランの料理のモニターとして、毎日の体重測定、適度な運動、毎食の感想といったことをする。
だが、このアルバイトには別の目的があった…」
・「月光の迷夢」(「月刊ハロウィン '95年2月号」掲載)
「病気で失明した、安積由花は、角膜移植で視力を回復する。
しかし、以来、月が赤く視えた翌日には、必ず誰かの死に遭遇するようになる。
そんな時、彼女の前に、館野あゆみという娘が現れる。
館野あゆみは、由花に角膜を提供した館野祥子の妹であった。
死を予見する能力は祥子に備わっていたもので、どうも彼女は、遺産を狙う叔父夫婦に殺されたらしい。
次に命を狙われている、館野あゆみを救うために、由花は館野家に家庭教師として入り込むが…」
・「邪悪の墓標」(「月刊ハロウィン '95年4月号」掲載)
「はるかは、別荘の庭で、熱帯魚のお墓を作った際、少女の幽霊を封印から解いてしまう。
少女は、百数十年前、飢饉で人肉を食べたために、村人達に殴り殺されていた。
更に、逆さに埋められ、迷って出ることがないように、穴の上に石を置かれたのである。
少女の幽霊は、長い年月、この世を呪い続けた、膨大な恨みのパワーを、解放してくれたお礼として、はるかに渡す。
このパワーは強力で、もしも、殺したい人物がいれば、その相手を思い描き、その死を願うだけでいいと言う。
半信半疑のまま、はるかは、両親を殺した容疑者の死を願うと、その通りとなる。
調子づいた彼女は、他にも凶悪犯を二人、このパワーでこの世から葬り去るが…」
2019年2月19日 ページ作成・執筆