楳図かずお「偶然を呼ぶ手紙」(1990年7月20日初版・1991年2月28日第3刷発行)
・「偶然を呼ぶ手紙」(1968年「ティーンルック」掲載)
「踏んだり蹴ったりの一日。
頭に来た洋子は、鬱憤を晴らすべく、学校の女教師に対する罵詈雑言に満ちた手紙を書く。
そして、封筒にでたらめな住所、でたらめな女性の名前を書いて投函する。
ところが、でたらめのはずが、同じ住所・名前の女性が実在しており、その人物に手紙が届いてしまう。
受取人は、醜い容貌と不具がありながらも、結婚を控えていた女性で、手紙にひどく傷つき、自殺をするために行方不明になる。
事態は手紙に書かれた内容に沿うように悪化。
洋子は自分の手紙が引き起こした事件を知り、良心の呵責に苦しみ続ける。
罪の意識に苛まされ、高熱を出して寝込んだ洋子にある考えがひらめくのだが…」
・「雨女」(1967年「別冊少女フレンド」掲載)
「女優の母親を持つマミは、いつも独りぼっち。
ある日の午後三時、マミが絵本を読んでいると、いつの間にか外は雨になっている。
誰か来たよう気配があり、マミの部屋のドアが開くと、びしょ濡れの見知らぬ中年女が部屋に入ってくる。
中年女はマミを自分の娘であると言い、連れて行こうとする。
マミが悲鳴を上げ、婆やが駆けつけても、そこには誰もいず、外は快晴、雨が降った気配などない。
同じことが翌日も繰り返されるが、婆やも母親も子供の夢と信じてくれない。
そして、三日目の雨の降る、午後三時…」
「偶然を呼ぶ手紙」はストーリーもさることながら、合間合間の描写(妹、グループサウンズ、お茶の間のテレビの団欒風景、郵便局)が面白いです。
作中のテレビ番組で、楳図かずお御大が出演して、「御飯を食べるのを忘れて、漫画を描いている最中に失神した」と話しておりますが、事実なのでしょうか?
2015年1月31日 ページ作成・執筆
2021年1月21日 加筆訂正