永久保貴一「生き人形」(1989年4月20日初版・1990年7月10日6版発行)
収録作品
・「生き人形」(語り・稲川淳二)
「稲川淳二さんが座長を務めることになった人形芝居「呪女十夜」。
その芝居に用いられる、少女の日本人形と関わった人々が、次々と怪奇現象に見舞われる。
人形にとり憑いているものとは…?」
・「描いた私も呪われた」
「生き人形」執筆中の心霊体験を描いた漫画。
・「呪い釘」(松竹映画「愛の陽炎」をもとに創作)
「埼玉県飯能市。天覧山の中にある小さな町。
新井ルミ子は、製材所の事務員として働く。
彼女は、運送会社のトラック・ドライバーの関口岩松と結婚を約束する仲であった。
二人は木材の送り状をごまかして、600万円もの貯金を貯める。
それは二人の新居のための費用で、ルミ子も自分の貯金から200万円を出す。
だが、ルミ子の耳に、関口の悪い噂が次々と入ってくる。
女子校生を妊娠中絶させたこと。
過去、東京でスナックの女に結婚詐欺を働こうとしたこと。
二人の新居の土地についての言葉が実際と違うこと。
更に、彼には別の女がいた。
嘆くルミ子に、祖母は「丑の刻参り」をするよう勧める…」
・「遊ぶ踏切り」
「ある高校の新聞部で、人身事故の多い「魔の踏切」について取材することになる。
二十年前、この踏切で水野加奈という七歳の少女が亡くなり、以来、子供の事故が多く、それも「下り」ばかりであった。
取材と言っても、部員達は遊び半分で、真剣なのは、先日、事故を目撃した美雪と、その事故で甥を亡くした竜野の二人だけ。
バカ騒ぎをしている部員達のことを、美雪は卒塔婆に向かって謝り、手を合わせる。
解散した後、美雪は帰宅するが、誰かが家までついてくる。
それは少女の幽霊で、彼女と遊んでくれるよう迫ってくる…」
・「学校」
「放課後の学校で、「学校の七不思議」について話す四人の少女。
話の流れで、里美は「隣の教室のべニアがはっている窓の話」をする。
五年前、ある少女がクラスメート達にいじめられ、跳び下り自殺をする。
以来、ロング・ホーム・ルームの時間になると、少女の顔がガラスに浮かび上がるようになる。
ガラスをいくら替えても、顔は現れ、最終的に、べニア板を窓に貼り付けたのであった。
その話を聞いて、四人は隣のクラスに行く。
広美は、その話が本当かどうか確かめようとするのだが…」
永久保貴一先生の代表作の一つである「生き人形」。
稲川淳二さんの怪談は程度の差はあれ、フィクションとのことですが、「生き人形」はどうも本当にヤバイ模様。
そして、そんな話を禍々しさMAXで漫画化した永久保先生は「本気」は今読んでも全く色褪せない。
「生き人形」のように読んで呪われそうなマンガってありそうで、あまりないですよ!!(注1)
他の収録作品も「呪い」をテーマにしておりますが、凡百のオカルト漫画とは迫力が違います。
個人的に、「遊ぶ踏切り」は意外な展開で面白く思いました。
ただ、ラストがよくわからないのが惜しい…。(あの二人は線路内にいるのか?いるとしたら何故?)
・注1
「描いた私も呪われた」で紹介された読者の手紙で、「生き人形」を読んで霊障が起きた旨、書かれてあり、興味深いです。
でも、霊能者によると、霊的なものとは関係ないそ〜な。
2021年11月12日 ページ作成・執筆