桑田次郎「怪奇大作戦(全)」(1985年8月30日初版発行)

 SRI(Science Research Institute/科学捜査研究所)に持ち込まれる怪事件の数々。
 科学捜査を駆使する所員達の活躍とは…。

・「第1話 蛾」(金城哲夫・脚本「人喰い蛾」より)
 町田警部が、SRI(科学捜査研究所)に持ち込んだ事件。
 それは、国道で男がどろどろに溶けた事件で、原因がさっぱり不明であった。
 時を経ずして、同様な事件が発生する。
 今回は、被害者の妻が現場におり、彼女の証言によると、「大きな蛾」が事件に関与しているらしい。
 調べるうちに、遺体から、死の謎を解く細菌が発見される。
 更に、被害者は皆、マルス自動車の設計技師であった…。

・「第2話 死を呼ぶ絵」(市川森一・脚本「殺人回路」)
 神谷商事ビルの社長室で、社長の神谷清五郎が白骨死体となって発見される。
 それは、秘書がコーヒーを入れ直している、わずかな間の出来事であった。
 その夜、神谷商事の設立者、神谷清エ門は、三十年前に死んだ妻の声で、彼の家族を皆殺しにすると告げられる。
 長男の後を継いで、社長になった次男の清一も、同じように、誰もいない社長室で白骨死体と化す。
 神谷清エ門は、SRIのメンバーに自分の過去を明かし、清一の妻と子供の命を助けてくれるよう頼む。
 神谷一族を狙う犯人と、その殺害方法とは…?

・「第3話 ふたつの顔の少女」(金城哲夫・脚本「吸血地獄」より)
 人類学者の朝倉博士の養女、ニーナ。
 彼女は、助手の山本の運転する車が事故を起こし、亡くなってしまう。
 だが、葬式の前夜、彼女は生き返り、外で警察官の生き血を吸って、殺害する。
 山本は、ニーナを吸血鬼の謎を解き明かすのに絶好の資料と、博士を説得。
 しかし、博士は警察に連絡しようとして、ニーナに殺される。
 事件は何の進展もなく、数日過ぎた頃、今度は九州の地獄谷で似たような事件が起こるようになる…。

・「第4話 まぼろし殺人事件」
 嵐の夜、SRIのメンバーは、猛スピードで走る車を目にする。
 車はガードレールを突き破り、崖から転落、炎上。
 その時、夜空に、不気味に笑う少年の幻を見る。
 数日後、SRIのメンバーは、その少年が、たけるという少年に似ていることに気付く。
 たけるは、一年前の嵐の夜の一家殺人事件の唯一の生き残りで、記憶喪失症にかかり、ずっと意識不明のままであった。
 そして、彼の命を狙う者達がいるのだが…。

・「第5話 闇からの声」
 夢遊病者による殺人事件が頻発する。
 加害者は、寝ている間に犯罪を犯しているので、どうにも始末に負えない。
 SRIの調査により、事件はある一カ所に集中して起こっていることが判明する。
 更に、加害者が付けていたペンダントをよく調べてみると…。

・「第6話 死霊の家」
 SRIのメンバー、三沢京介に、小さな女の子が訪ねてくる。
 彼とユミは知り合いで、ユミの祖父は植物学者の白山博士であった。
 白山博士は「死霊の家」と呼ばれる屋敷で、何らかの研究をしていた。
 ユミによると、最近、優しかった祖父の様子がおかしく、研究室には血の入ったフラスコがあったらしい。
 京介が、死霊の家に忍び込むと、そこには、見たことのない、大きな怪植物があった。
 そして、日記には、恐るべき事実が記されていた…。

・金田益美・解説「「怪奇大作戦」の誕生から劇画まで」

 円谷プロによる歴史的名作「怪奇大作戦」(注1)を、故・桑田次郎先生がコミカライズしたものです。
 原作の雰囲気を損なわず、また、怪奇マンガとしても一級品で、桑田次郎先生のポテンシャルの高さが窺えます。
 更には、六話中、三話が桑田先生のオリジナルというのは、凄過ぎ!!
 もっと読みたいなあ〜。

・注1
 今から二十年ぐらい前に、ビデオで一通り、観ました。
 非常に面白かったことは覚えてますが、肝心の内容は全く記憶にない…。
 DVDで観なおさなきゃ!

2020年8月9・10日 ページ作成・執筆

朝日ソノラマ・リストに戻る

メインページに戻る